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小学校でのある場面

作者: 金色の車

キンコンカンコーン

キンコンカンコーン

「お前なんで佐藤を殴ったんだ?」

「あいつが調子のって俺の悪口言うから」

「馬鹿‼理由はなんであれ先に殴った奴が悪いんだ。」

「……はい、反省してます。」


俺はこうなることを想像していた。担任とはいつとこんな感じだからだ。もうこんなの慣れている。でも、この日は違った。俺の担任が研修(?)だかで出張に行っていたのだ、だから貴重な放課後を68歳ハゲで白髪のヒョロヒョロ爺さんと会議室で過ごさなきゃいけない。まー、俺が昼休み佐藤を殴んなきゃよかったんだけどさ。佐藤はひどい怪我じゃなかったし、もとはといえば佐藤が俺の悪口を言ったのが悪いのだ。大した問題ではない。後は俺が担任代行のヒョロ爺に怒られればストーリー完結だ。怒られる脚本も俺が作った。完璧だ。

……のはずだった。俺の部屋には青いタヌキ型ロボットはいない、よく当たると有名な何とかの母だっていない。もっとも口うるさい鈴木の母だけで十分だ。つまり俺が言いたいのは未来はわからないということ。脚本の作家はヒョロ爺だということ。


俺は会議室に入った。ヒョロ爺の隣にイスがあった。

「ああ、君か。鈴木くんというのは。さぁ、座りなさい。いやー、実に悪ガキそうだ。ちなみに鈴木くん君私の名前わかるかね?」

「え…あっすいません。わかりません。」

「あー、そうか。君はこんな爺さん興味ないもんな。でも聞いたらビックリするぞ。実はな高橋っていうんだ。」

「え…?あっ、そうなんですか。」

いつもの俺ならビックリなんてしねーよとボソッと言うのだが状況が状況なのでこらえた。

「なんだ、つまらんな。君。感動が少ないぞ。トキメキを失った爺さんは死ぬしかないんだぞ。全く、しょうがない。トキメキを倍増させる秘訣は他人とトキメキを共有することだ。喜べお前をトキメカせてやる。」

ヒョロ爺は俺のズボンに手をおいた。

「あっ…はい。」

「心して聞けよ。この物語。昼休みに悪口を言われてかっとなった鈴木くんが佐藤くんをなぐりました。放課後、高橋先生に怒られました。」

「はい…反省してます。すいません。」

「違うわい。アホ。このドアホ。君の反省でワシがときめくと思ってるのか?全く、一から教えてやろう。この物語で内容はどうでもいいんだ、重要なのは登場人物。鈴木、佐藤、高橋。日本で多い苗字ベスト3じゃないか‼これはスゴイことだ。」

「え…、はい。」

「なんだよ。つまらん奴だな。」

「俺怒られに来たんじゃないんですか?」

「え?あー、ワシはなぁ。今から十年前つまり50歳の時、六年生には説教しないと決めた。」

ここで、年齢のサバ読みはツッコまない。ヒョロ爺は話続ける。 「つまりだ。人を殴ってはいけない理由も人を殺してはいけない理由もないんだ。でも、人を殴ったり殺したりする時は覚悟しろよ。今の世の中、法律があるからな。」

「…はい。」

俺は会議室を出た。お前に決めたってなんだったんだ?何気なくスボンのポケットに手を入れると紙が入っていた。覚悟と二文字だけ書かれていた。

そんなことがあった一週間後、夕飯を食べている時、テレビから信じられないような映像が流れていた。

72歳ノーベル賞、受賞者の高橋亨とかいう奴が警察に自首したらしい。昨日の夜、元いた研究室の同僚を殺したらしい。でも、驚くべきことは高橋亨とかいう奴の顔はヒョロ爺だったことだ。そのニュースの後、二週間は学校や近所で講師のお爺さんがノーベル賞受賞者で人を殺したということが話題になった。俺は何でヒョロ爺がそいつを殺したのかなんてどうでもよかった。俺はにこやかだった。疑問に思っていたことは何となく晴れたからだ。もっとも、ず

っと年を誤魔化していたことにはやられたーという感じだが…。


「ああ、君か。高橋くんというのは。さぁ、座りなさい。いやー、実に悪ガキそうだ。ちなみに高橋くん君私の名前わかるかね?」

「え…あっすいません。わかりません。」

「あー、そうか。君はこんな爺さん興味ないもんな。でも聞いたらビックリするぞ。実はな鈴木っていうんだ。」



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