20階
「今、ここから飛び降りたらどうなるかな?」
一人の女が、20階建ての高級マンションのベランダで、そんな事を考えていた。
女は今年で25になる、未婚のキャリアウーマンだ。
女には、自殺願望があるわけでは無い。
生活に困っているわけでも無いし、会社でもそれなりの成績は残している。
しかし彼女には今、自分を試したいという好奇心があるらしい。
ここから飛び降りる事で、あっさりと死んでしまうのか。
そしたら何処へ行くのか
目の前に起こるすべての出来事が、女にとっては幸せであった。
いつしか女は、不幸を求めるようになっていた。
そんな感情が、まさに今のこの状況を生み出したのであろう。
女はベランダのフェンスに足を掛けた。
「試してみよう。」
女は遂に飛び降りてしまった。
さて、ここで物語が終わってしまったのなら、この小説を書く意味が無いだろう。
この小説には、とんでもない裏があるのだ。
何故ならこの女は、20階から飛び降りたのではなく、20階建てのマンションの1階から飛び降りたのだから…
女は今も、元気に暮らしている。




