第十六話:お風呂はテンションが上がる
すみません、またしても【変態な表現】が含まれます。
もうちょっとでこの甘ったるいのも終わると思うんですが…。
こういうのが嫌いな方、本当に申し訳ございません。
というか好きな方でもいい加減お腹いっぱいかもしれませんね…。
更新速度の速さでどうかお許しください…。
――――カッポーン
って効果音が温泉なりお風呂なりのイメージの中にあるが、一体なんの音なのだろうか。トイレの詰まりにカッポンするなら分かるんだが。
実は獅子脅しとか? いや、温泉で獅子脅しはないよなぁ…。
まぁ、俺が間違えて覚えてるだけで温泉関係ない効果音かもしれないが。
「うぅ~…。ほんとにおよめにいけません……」
真っ赤になって俺の隣で湯船につかるエリシアに、今更お嫁にいけないも何もないと思うのだが…。何も言わないでおいてやろう。
まぁ、色々あったのだ。
しばらく前……。
始まりは俺がちゃんと体を洗わないとかで、エリシアが俺の体を洗い出したのだ。
妙なところで気合を入れ、俺の全身をちゃんとピカピカにするとのたまったエリシアに俺はされるがままになってあげた。で…。
「アル、きれいになりましたよ」
「そっか、ありがとな」
真っ赤になったエリシアの頭を撫でてやってから、俺はエリシアを持ち上げて桶に座らせ、手に石鹸をつけた。何が起こるのか察知したエリシアが慌てふためく。
「…ア、アル…!? 私は自分で洗えます!」
「嘘だな。俺がぴっかぴかにしてやんよ…!」
「――――だ、だめ…ひゃぁ!?」
大人しくされるがままになってやったのは全てこの時のため…!
エリシアは慌てて逃げようとするが、耳に息を吹きかけてやると力が抜けて、俺はタオルを剥ぎ取ってそのままエリシアの背中を磨き始めた。
俺は、雪のように白いエリシアの背中に石鹸をつけた手を滑らせ、丁寧に磨いていく。
にしても、ほんとエリシアの肌はつるつるだな。
おっと、ちゃんと前も洗ってあげないとな。
「そういえば、揉まれると色々いいって言わないか?」
「――――な、なんの話で―――ふひゃぁ…!?」
俺は優しくエリシアの胸を揉ん―――もとい、丁寧に磨いてあげる。
エリシアは恥ずかしそうに身をよじるが、逃げはしない。
「…むぅ、柔らかい」
「ひゃぅぅ……。アルっ…えっちです…!」
「いやだなぁ、エリシアだって俺の胸とか洗ってくれただろ?」
「あうぅっ……アルは…おとこのこですっ!」
「だからこそ…! 男の胸に興味はねぇ!」
「話が通じてないで―――くひゅん……!?」
俺がエリシアの(耳の)穴に指を入れてやると、エリシアはぴくりと体を震わせた。
「フハハハッ! エリシアの(耳の)穴の奥の奥まできれいにしてやるよ…!」
「ふぁぁ…っ! アル…っ、そんなところ……だめ―――っひゃぁっ!」
…………
結局、エリシアは全身ぴかぴかになり…。
「……あぅ~~…」
「よし、湯船に浸かるぞ~」
俺はエリシアの軽い体をお姫様だっこっぽく持ち上げた。
体を洗い始めるときからタオルを没収されたままだったエリシアは慌てて胸を腕で隠すが、残念ながらもう色々遅いと思う。
「…ア、アル……、タオルをかえしてください……っ」
「風呂に入るときはタオルを取るのが常識らしいぞ~?」
俺はそのままエリシアを湯船までお姫様だっこで運んでから解放した。
何故かエリシアは顔を半分お湯につけて、息を吐いてぶくぶくしながら俺に近づいてくる。怒りのアピールなのだろうか。怖くないけど。
むしろ可愛く思えるから不思議だ。
(俺、相当毒されてるなぁ……)
エリシアをからかう事を考えたり、エリシアを可愛がりたいと思ったり、エリシアの事ばかり考えている気がする。
でも、当然ながら嫌な気分じゃない。
俺は苦笑すると、俺も顔を半分だけお湯につけてぶくぶくし始めた。
しばし二人で半目で見つめあいながら ぶくぶくし、どちらからともなく笑いあった。
「はははっ。どうしたんだよ、いきなり」
「えっ、子どものころやらなかったです?」
「…ということは、今ぶくぶくやってたエリシアは子どもということに……」
「……アル、聞かなかったことにしてください…」
「大丈夫だって、子どもっぽくても俺はそんな可愛いエリシアが大好きだぞー」
そう言って目の前のエリシアの柔らかい体を抱きしめると、エリシアは真っ赤になりつつも腕を回してきた。
「…あぅ……。アルってこんな人だったです…?」
そう呟くエリシアに、俺としても激しく同意したい。
自分でもよく分からないのだ。でもまぁ……。
「前のほうが良かったか?」
「…今のほうがいいです」
「ほほぅ、その心は?」
「……アルはいじわるです…」
エリシアは頬を膨らませてそっぽを向いた。
なんとなく、エリシアの膨らんだ頬を指でつついてみる。
……ぷひゅぅ。
微妙に可愛らしい音を立ててエリシアの頬から空気が抜け、また二人で笑い合った。
…………
「……あうぅ…アル~~……」
「…大丈夫か?」
エリシアの濡れて熱く火照った体を、俺はそっとタオルでぬぐっていく。
実は、あの後二人で風呂に浸かりながら歌を歌ったりシンクロっぽいことをしたりして遊んでいたのだが、エリシアがのぼせてダウンしたのだ。
「ドラゴンってのぼせるんだな~」
「……ためしてないですけど、竜の姿なら大丈夫なんじゃないです……?」
「なるほど。よく考えたら色々やってるんだし、人間と同じか」
「そ、そうですね……あれ?」
エリシアはそこで何かが気になったように小首を傾げたが、俺が下着を着せてやろうとしているのに気づくと慌てふためいた。
「――――ア、アルっ。自分で着られます……!」
「ちっ、仕方ない」
そこでようやくエリシアは自分が全裸で床にしかれたタオルに横になってるというなんともアレな状況に気づき、顔を真っ赤にして服を着始めた。
あんまりいじめても可哀想なので、俺も自分の着替えに専念することにした。
そんなわけで俺たちは着替え終わり、俺はエリシアに笑いながら問いかけた。
「どうする? また背負ってもいいけど。手を繋ぐほうがいいか?」
するとエリシアは恥ずかしそうに笑って俺の手をとった。
左手でエリシアの手の温もりを感じながら、俺たちはエリシアの部屋に向かう。
歩いてる間、エリシアは何か考えているのか無言で俯いていて、俺は右手でポケットに入れた指輪を転がしていた。
そんなこんなしていると、エリシアの部屋の前に着いた。
かなり緊張してるのかエリシアの顔はガチガチである。
……ほんと、どうしようかなぁ…?
なんかここで襲ったら体目当てみたいじゃんか。
…よし、止めとこう! エリシアはのぼせたばかりだし。
俺はそっとエリシアの手を離すと、頭を撫でてやった。
「よし、エリシアは風邪ひかないように気をつけろよ。おやすみ~」
「えっ、ア、アル…!?」
俺が手を振りながら自分の部屋に向かって歩き出すと、エリシアが驚いたような声をあげて、離れていく俺に手を伸ばす。
……なんだろう、すごい罪悪感が。
おかしいな、俺はエリシアの体調に配慮して決めたんだが。
仕方ないので、俺はエリシアにそっと近づいて抱きしめた。
「……アル?」
そのままエリシアの唇にそっと唇を合わせ、俺とエリシアはしばらく抱き合っていた。
俺は唇と腕を放し、エリシアの頭に手を置いて語りかけた。
「エリシア、のぼせたばっかなんだし無理するなよ。
まぁ、怖くて眠れなかったら来てもいいからな。…おやすみ、エリシア」
「……はい、おやすみなさい…アル」
エリシアは抱きしめられたからか嬉しそうに言い、最後に一瞬だけ俺にぎゅっと抱き着いてから離れ、俺が見えなくなるまで部屋の前でずっと手を振っていた。
……明日の朝になったら会えるんだが。




