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銀雷の魔術師  作者: 天城 誠
Episode:Snow
78/155

第五話:Suddenly

現在修正途中です

 



さて、俺は朝飯を食べた後、商店街に出てきていた。グルちゃん連れで。

 ユキは、母さんと理香に――――。


「そうだお母さん! ユキにお洋服を買ってあげようよ! 明日誕生日なんでしょ?」

「そうね、それはいいわ!」

「そ、そんな!? その…私が一度取りに戻れば――――」



「ユキ、人の好意は遠慮せずに受けていいんだよ?」

「というか、ユキちゃんを着せ替えるのは楽しそうだわ…!」

「――――…えっ?」



 ……おそらく、ユキは午前中一杯は着せ替え人形として遊ばれることだろう。

 ヘンな服を着せられないように、こっそり祈っておいてやろう。

 咲のヤツが何故か巫女服を着せられてたのが過去最悪ワーストだろうか。


 母さんと理香は相手が可愛いと気合が入るようなので、何着せられるのか分かったもんじゃないが。


 

 適当に商店街でアクセサリーを買った俺は、帰り道で服屋の前を通ったので、中をのぞいてみることにした。


 と、いたいた。母さんと理香が服を見ながらあーでもない、こーでもないと論争をしている。

 って、ユキがいなくないか?



 ユキが見当たらなかったので、俺も店に入って探してみることにした。

 といっても、この店は奥のほうに座るためのイスがあるくらいなのだが―――。



 店の奥に行ってみると、ユキがぐったりと座っていた。


「よう、ユキ」

「あ…誠司。どうしたんです?」


「いや、むしろお前がどうした。元気ないぞ?」

「…疲れました」



「なら、ちゃんと言ったほうがいいぞ。いつまでも終わらないぞ?」

「でも…私のために選んでくれてる…んです?」



「あー、多分自分たちが楽しんでるな」

「……あぅ」



 と、今更気づいたが、ユキの顔ってもっと白くなかったっけか?

 昨日と比べると、やけに赤い気がする。

 というかコイツ、昨日は何時間も外にいたんだよな。雪の中。



「なぁ、ユキ」

「……はい?」



「まさかとは思うが、寒気はしないか?」

「え、はい……ちょっと寒いです」



「…ちょっと失礼」

「―――ふぇ!?」



 ユキの額に手を当てる。熱い。恥ずかしがってるとかそんなレベルじゃなく熱い。



「ユキ、帰るぞ」

「―――えっ!?」



 俺は、ユキの手を引いて、母さんと理香のところに行った。


「……母さん、理香、ユキが熱があるから連れて帰るから」

「―――ほ、ほんとに!? 大変!?」

「―――ユキ、大丈夫!?」


「は、はい…大丈夫です」



 俺は、母さんと理香に「何してやがった」と絶対零度の視線を浴びせてから、ユキの手を引いて歩き出した。


「―――あっ!?」

「―――っと、大丈夫か!?」


 ユキの足がふらついて転びそうになり、俺は慌てて支えに入った。

 むぅ、けっこう重症なんじゃないのか…?


 仕方が無い。俺はユキの前に屈んで、強制的に背負いあげた。

 ユキは降りようと抵抗するが、ふらついて上手く歩けない状態のユキ程度では俺を振りほどくのは無理だ。



「――――せ、誠司……」

「なんだ?」




「だ、大丈夫ですから、下ろしてください……」

「大丈夫じゃないから背負ってる。却下だ」



「……は、恥ずかしいです」

「大丈夫だ、お前なら中学生にしか見えないぞ」



「中学生でも恥ずかしいです……」

「風邪をひいたお前が悪い。諦めろ」




「あぅ……」



 ようやくユキは抵抗をやめ、真っ赤になって大人しくなった。

 けっこう好奇の視線を集めたような気もするが、俺が日頃から人助けばかりしているので、「なんだ、また誠司が人助けしてるよ」くらいにしか思われなかったと思う。



 ユキに使わせる予定だった空き部屋は掃除が終わっていないので、俺の部屋にそのまま運び込み、強制的に布団におしこんだ。








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