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銀雷の魔術師  作者: 天城 誠
外伝:薬草採取編
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第三話:白露星草

色々アレですが見逃してください・・・

俺とエリシアは剣を抜き、AA級魔物<ブルーフェンリル>と向かい合った。正直、AAクラスとは戦いたくない。せいぜいB+クラスまでが安全圏だ。


「・・・エリシア」

「はい、わかりました」


 俺は、再びエリシアを抱き寄せ、エリシアが魔力を集める。

 俺たちを睨みつけていたフェンリルが、更に一歩踏み出す。

 


俺とエリシアは、同時に魔力を一気に練り上げる。

 エリシアが手をかざし、一気にその手が白く輝く。フェンリルが一気に駆け出した。


「<ガトリング・ブレイザー!>」

 エリシアの手から、連続して眩い白焔が飛び出し、フェンリルを襲う。

 しかし、フェンリルは体に魔力をまとい、それらを弾いて突っ込んでくる。


「<サンダーミグラトリィ!>」


 俺とエリシアは、再び銀の閃光となり、一気にフェンリルを引き離すべく、再び温存とか考えずに猛スパートをかけ、一気に頂上を目指す。



「グガァァァァ!」

 しかし、フェンリルがありえないスピードで追撃してくる。

 エリシアが先ほどから維持している<ガトリング・ブレイザー>で弾幕を張るが、ものともしない。



「――――速いっ!?」

 思わず口にする俺に、エリシアの声が飛ぶ。

「アルっ! 前!」



 俺たちの前には、奇妙な形の岩が並ぶ奇岩地帯が広がっていた。



――――なぜこんなところに!?



 <サンダーミグラトリィ>は、雷となって移動するという魔法だが、ほんとに雷になっているわけではない。ただ、そう見えるだけだ。

 よって、もし岩に激突したりすると、果てしなく痛い。しかもこの術、制御が物凄く難しい。



 仕方なく魔法を解除。俺とエリシアは地面を削りつつ着地する。



 しかし、フェンリルはそのまま魔力を纏い、突進してくる。



――――避けきれない、迎え撃つ!


「<霹靂・銀月!>」


 <アウロラ>にかけた俺の右手が銀に輝き、一気に振りぬく。

 空中に銀の軌跡が煌き、蒼い弾丸と化したフェンリルと激突する。あまりの衝撃に俺の右腕が悲鳴をあげ、しかしフェンリルの軌道を逸らす。


「無垢なる白き天使の癒しを!<ホーリー・リジェネイション!>」


 エリシアが俺の右腕に手を当て、一気に治癒する。フェンリルは奇岩を次々蹴散らして止まり、悔しそうな顔でこちらを再び睨みつける。



「エリシア、仕方ないから倒すぞ」

「アル、しばらくお願いします。一気にあの防御ごと焼きます!」

「わかった、任せとけ!」


 フェンリル相手に時間稼ぎはキツイと思うが、まぁ信頼されてるということで。

エリシアが変身(竜形態になるのを便宜的にそう呼ぶことにしている)すれば楽勝な気もするが、場所が場所だけに無理だ。



俺は<アウロラ>を右、<アリアティル>を左で構える。

 フェンリルは、高まる魔力を感知したのか、エリシアに向かって駆け出すが、俺が割ってはいる。フェンリルは、俺を無視して突っ込んでくる。甘く見られたものだ。



――――魔力、全開!



「銀雷によりその身を弾丸と化せ!<サーマルブラスト!>」


俺は、<アリアティル>を全力でぶん投げ、プラズマ加速。唸りを上げて飛ぶ<アリアティル>と、フェンリルが凄まじい勢いで激突する。



爆音とともにフェンリルが大きく後方に吹き飛び、フェンリルの魔力装甲を貫けなかった<アリアティル>も俺の方に跳ね返され、俺は見事にキャッチ。おお、ラッキー。



「グガァァァァ!」

額に少し傷ができたフェンリルは、完全に怒り狂っている。地面がひび割れるほどの勢いで一気に俺に向かって突っ込んでくる。



俺は、<アウロラ>の切っ先を前に構え、魔法を発動する。

「切り裂け銀の雷!<サンダーボルト!>」

 

<アウロラ>の切っ先から銀雷が放たれ、フェンリルと激突する。こうすると指向性が高まり、威力が若干上がるのだ。

 銀雷は一瞬フェンリルを押しとどめ、しかしフェンリルはぶち破って俺に突進し、その爪が振りかざされ、蒼く輝く。



 俺は、双剣を左下に構え、一気に魔力を剣に集める。

「<疾風迅雷!>」

 <アウロラ>と<アリアティル>が銀の雷に包まれ、凄まじい勢いで跳ね上がり、フェンリルの爪と激突する。




「――――ちっ!?」

「――――グルル・・・」



 互いに弾き飛ばされ、地面を削って停止する。

 と、俺の背後で徐々に高まっていた魔力が遂に爆発する。



『滅せよ、白焔の三日月!<クレセント・ディストラクション!>』


 エリシアが振りぬいた手から白く煌く三日月の如き焔が飛び出し、フェンリルに向かって凄まじい速度で襲い掛かる――――!






しかし、エリシアとフェンリルの間に俺がいる。よって、俺に直撃した。






―――――のだが、透過し、何もなかったように三日月は通り過ぎた。




「・・・は?」

 いま、がっつり俺に直撃したんだが、なんともない。ごく自然に透過したぞ?





 三日月はあまりの速度に避け切れなかったフェンリルに当たって、大爆発した。

 周囲の奇岩が跡形もなく吹き飛び、俺のほうにも破片が飛んでくる。半ば無意識に迎撃しつつ、俺は茫然自失。


 



 いたずらを成功させた子どもの顔でエリシアが俺のところまで歩いてきた。


「エリシア、説明」

 無表情で睨みつけてやると、なんか本気で怒ってると思ったのか、途端に落ち込んで申し訳なさそうに言った。

「その・・・アルには効かないように調整したんです・・・」


 なんか、この世の終わりみたいな顔をしてるので可哀想になった。そんなに落ち込むこともないだろうに・・・



「あー、怒ってないぞ? 驚いてるだけだぞ?」

 途端に、エリシアの顔が明るくなった。コロコロ表情が変わるなぁ・・・


 と、後ろで魔力が揺らいだ。俺とエリシアは一瞬で振り向き、身構える。




 フェンリルが再び立ち上がり、一気に逃げ出した。


「<サーマルブラスト!>」

 俺は、<アリアティル>をぶん投げて追撃するが、避けられ、フェンリルは凄まじい勢いで山を降りていった。



「・・・ごめんなさい」

 そしてまた落ち込むエリシア。自分が気を抜いたのを気にしてるようだ。



「いや、仕方ないって。気にすんなよ」

「でも・・・」

 

 仕方ないので、適当に頭を撫でてやる。途端にエリシアの顔がまた明るくなる。何回表情変わったかな?




 そんなこんなで、俺とエリシア再び山登りを始めた。




 途中でS級魔物の霊鳥<イミテーション・フェニックス>と遭遇したが、爆炎草を囮に逃げ切った。





 なんとか頂上にたどり着くと、夏にも関わらず雪があり、何故か花畑になっていた。

そして、雪の中に一輪の白い花があった。白露星草だ。特徴は露が星のように輝くこと。


「よし、あった!」

「あれです?」


 俺とエリシアは駆け寄り、摘み取った。その白い花からは、不思議な甘い香りがした。なんだか気分が安らぐ気がする。


 どうやらここは魔力が集中する特殊なスポットのようだ。魔法植物が色々生えていた。まぁ、その場合魔物の出現率も上がるし、もう魔力が枯渇してもかまわないので、早く帰るべきだろう。薬草を届けないといけないし。



「・・・・あ」

 俺は、あるものを見つけて駆け寄り、しゃがんで手を伸ばした。


「アル? どうしたんです?」

 エリシアが不思議そうに付いて来て、俺の手元を覗き込む。


 

 そこにあったのは、魔力を放って薄く銀色に煌く白い小さな花だった。花びらが五枚あり、まるで星のような形をしている。白露星草より星草っぽい。



「・・・ホンモノを見たのは初めてだな」

 俺は思わず呟き、エリシアは感嘆した。

「・・・綺麗です」


「そうだな~」

「アル、なんていう花なんです?」


「――――知らないのかよ!?」

「えっ!? 有名なんです?」




「はぁ・・・まぁマイナーというか希少すぎて知らないかもしれないが・・・」

「・・・?」



「学名は月華草だっけな? 通称の方が有名なんだが――――」


「―――月華草!? これが!?」


 名前を聞いた途端にエリシアが目を見開いて驚く。


「・・・? 知ってたのか?」

「・・・はい」


 なんか微妙な表情なので追求しない方がいいか。とりあえず本題を続行。


「で、この草の通称がエリシア草なわけだ」

「・・・え?」



「そっちは知らなかったのか・・・大昔にエリシアって人が見つけたからエリシア草と呼ばれる。なんか有名な魔術士だったらしいけど」


 正確には、ずっと東の連合国の始祖にして、伝説の魔術士だったりする。

 まぁ、俺がエリシアにエリシアって名前をつけたのは俺が月華草がけっこう好きだからで、特に深い意味はないのだが。



「・・・そうなんですか」

 エリシアはぼんやり月華草を見つめている。

 ・・・ふむ。


「えいやっ」

 俺は、月華草を引っこ抜いた。


「アル!?」

 エリシアがビックリする。

あー、自分の名前の由来だよーって言われて引っこ抜かれたらビックリするかもな。



「ほら、プレゼントな」

 俺は茎を魔力剣で切断して調整しつつ保存魔法をかけ、エリシアの髪に挿してみた。

 うん、似合う。


「アル・・・ありがとうございます!」

 エリシアもうれしそうだ。うん、よかった。



「ああ、一年くらいすると魔力が定着して頑丈になるから。まぁ、今の状態でもあんまり激しい運動とかしなければ壊れないと思うけど」


「・・・大事にしまって置きます!」


「よし、急いで帰るぞ!」

「はい!」



「んじゃ、エリシア頼んだ」

「・・・魔力切れです?」



 元気よく宣言しときつつ、魔力が空っぽに近い俺は、エリシアに飛行魔法で運んでもらった。






―――――――――――――――――――――――――――――



 で、フェミルの家に戻ってきた。


「ヘイ、婆さん! お届け物だよ!」


「婆さんやめんか!」



 いいつつ、フェミルは俺が差し出す白露星草を受け取り、凄い勢いで調合を始める。

 あっという間に薬が完成し、少女の顔に塗る。



「ふう、これで大丈夫じゃ。アル、今回は感謝しておくぞ」

 フェミルはそう言いつつ、何やら袋を取り出した。中には、なんか丸薬が3つ入っていた。


「ん、何これ?」


「秘薬じゃ。魔力を大幅に回復できる。大切にするんじゃぞ?」


「おお・・・ありがとう!」

 魔力回復は便利だ。ちゃんとお礼を言っておく。



「で、お主にはコレをやろう」

 フェミルは、そう言いつつエリシアに何か渡した。


「・・・何です、コレ?」

 不思議そうなエリシア。


「うむ、そこの馬鹿と夜に二人きりにでもなったら飲ませると楽しいことになる。ただし、周囲に人がいないときに使うんじゃぞ?」



「な、何の薬です!?」

 エリシアがたちまち真っ赤になる。



「ふふふ、使ってみれば分かるぞ?」

 フェミルが邪悪な笑みを浮かべる。


「くっ!? まさか、散々婆さんと言った仕返しをする気かっ!?」



「どうじゃろうのぅ? まぁ、気をつけるんじゃな。さて、そろそろ帰ったほうがいいじゃないかの?」



すでに日が沈みかけている。


「あ」

「あ」



あんまり遅いと父さんが心配する。(エリシアを)

俺とエリシアは残った魔力を振り絞って帰り、なんとか日が沈みきる前に家に着いた。







なんだか、ストックあるのに出さないのってどうよ?

って感じなのでこの短編?は一気に終わらせてみました。

ちょっと面白みにかける気もしますし、量で勝負です。


ああ・・・エリシアの性格がなんか違う・・・さすがお蔵入り・・・


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