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銀雷の魔術師  作者: 天城 誠
第四章:三国魔法学校交流戦編・チーム戦
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第八話:黒銀の決勝戦



さて、俺たちは兄さんにもなんだかんだで勝ち、

(完全に仲間のおかげだが)

その夜、晩飯を食べた俺は、部屋でくつろいでいた。

具体的には、ベッドに横になって魔道書を読んでいた。




―――コンコン


「はいよ~?」


「おじゃまします」

エリシアがやってきた。




「エリシア、何か用か?」


「アルに会いたかったです」

エリシアはそう言って、ニッコリ笑い、

ごく自然に俺の横に座った。




「そっか。俺も会いたかったぞ~」

俺は内心の動揺を押し殺し、サラっと返した。

・・・いや、なんか負けたみたいで悔しいから。


「むぅ~・・・」

エリシアは頬を若干膨らませつつ拗ねる。


・・・エリシアがやると可愛いな。


なんとなく、エリシアの頭を撫でる。


「・・・はふ」

エリシアの顔が赤くなり、若干幸せそうに頬が緩む。


・・・はっ!?

このままだと思考が変な方向に行ってしまう!


俺は、起き上がり、脇に置いておいた<天照>を掴んだ。

エリシアは不満そうだったが、それを見て真剣な表情になる。

よし、計算通り。



「エリシア、明日は温存はなしでいこう」


というか、いままでは若干反則かな~と思って遠慮していたのだが、

ギニアスのチームはエルフいるし、<闇>が強いしなので、遠慮しなくていいだろう。


「わかりました。それでアル、精霊憑依をつかってましたけど、平気です?」

エリシアが若干心配そうに俺を見る。

なるほど、心配してきてくれたのか。


「ああ、心配してくれてありがとな。全然平気だぞ!」

俺はそう言うが、エリシアはまだ心配そうだった。


「・・・ほんとうですか?」


「おう!」


エリシアは、俺の脇腹に軽く触った。



「――――――いたたたっ!?」


俺の体に激痛が走り、思わず声が出る。

・・・実はちょっと痛めてたのだ。

エリシアにやられたわけではない。

精霊憑依によるダメージは、マナへのダメージとかで、

通常の治癒術はほぼ効果がないのだ。



「・・・お見通しです」

エリシアが拗ねてしまった。


「・・・感服いたしました」

とりあえず、謝って?おく。



「治療しますから、お風呂に入ってきてください」


「・・・風呂入ったら痛いんじゃないか?」



「お風呂に入らないんです・・・?」


「いや、先に治してくれないの?」


そう言うと、何故かエリシアは困った顔になった。

そういや、前は魔力の流れ云々で気絶させられたから、

どうやって治療するのか知らないな。



「なあ、治療ってどうやるんだ?」


特に何も考えずに聞いてみたが、エリシアが硬直した。

・・・なにゆえ?



「・・・秘術です」

エリシアは何故か苦し紛れっぽく言った。


あ~、見られちゃいけない掟でもあるんだな、きっと。

それじゃあ無理に聞いたら可哀想だな。

せっかく治療してくれるのに。


「そっか。じゃあ風呂いってくる~」

若干ホッとした顔のエリシアを残して風呂に入った。

鈍痛だった・・・!



で、魔法で気絶させられ、起きたらすっかり損傷が治っていた。

秘術恐るべし。




で、またしてもエリシアが抱き枕。

・・・何度目だ?


俺としてもこの生殺し?はつらいものがあるんだが。


いいのか?いっちゃっていいのか?


俺は、エリシアに手を伸ばし――――



ほっぺを引っ張った。


「・・・んみゅぅ~」


エリシアが謎の声を出した。


・・・いいんだ、これで・・・

俺は紳士なんだよ・・・


というか、それならちゃんと手順を――――

・・・はっ!?


待て、俺はなにを考えた?


まぁいい。


・・・そういえば、エリシアと付き合ったらどんな感じだろ?



・・・



いや、今と何も変わらない気がしてきた。


まぁ、どうすべきかは、そのうち答えも出るだろう。



「・・・・・・アル?」

エリシアがぼんやり目を開けた。


「おはよう」


「おはようございます・・・」


俺は、身支度を整えるべく立ち上がった。

すると、エリシアが真剣な目で見つめてきた。


「アル、今日はケガしないでくださいね?」


「エリシアこそな」




制服の上に黒いコート。

<アウロラ>、<天照>、<シルフィード>、<アイテール>、<アルザス>。


・・・多過ぎじゃね?

とりあえず<アルザス>は速攻ぶん投げよう。

鉄製だから重いし。

<シルフィード>も重いが、こっちは精霊剣だし。


あとは適当に準備し、ちょっと鞘に小細工し、


俺とエリシアは、ローラとフィリアと合流し、

会場である東門の外へ向かった。







そして、試合開始直前になった。

最後の打ち合わせだ。


「よし、俺がギニアス。エリシアはあの赤毛の女の子・・・ミリアだっけ?で、

 ローラがノエル、フィリアがあのシェリアって子をマークで」


まぁ、ギニアスはあまり小細工しなさそうなので、

おそらく全員一対一の真っ向勝負になるだろう。

誰か一人やられたら袋叩きになるが。


「了解です」

「・・・うん」

「わかりました」


みんな若干緊張してる。

まぁ、当然か。


・・・今回は確実にこちらからも脱落者が出るだろう。

余所見をするわけにはいかない。集中しよう。




そして、遂に時間である。





「それでは、これより三国交流戦・チーム戦決勝を行う!両チーム構え!」


俺は、右手に<アルザス>、左手に<アウロラ>を持った。

エリシアは<月詠>を右、<エルディル>を左の二刀スタイルだ。

・・・できるのか?二刀流。


ローラは<アストライオス>を抜かずに柄に手をかけ、

フィリアは<シリウス>を抜いた。




「試合、開始!」


審判の声が響くと同時に、一斉に駆け出し、一斉に魔力が練られる。



「<三日月!>」

「<レイ!>」


まずギニアスの剣から黒い斬撃が放たれるが、

フィリアの手から放たれた光線と激突すると、凄まじい爆発をおこし、消滅した。


(――――属性が反発してるからか?)


「溶岩の激流!<ブレイズ・カノン!>」

「氷結せよ。<ブリザード>」


赤毛・・・ミリアから溶岩ビームが放たれるが、

ローラが一瞬で冷凍する。



「始祖の焔よ、顕現せよ!<プロメテウス!>」

「流れる大瀑布の力を!<カタラクト!>」


エリシアの焔弾を、シェリアの出した滝が鎮火する。



「殲滅せよ、銀の雷!<サンダー・ターミネーション!>」

「碧き斬撃よ渦巻け!<メイルシュトローム!>」



俺はギニアスたちの上空に雷弾を放ち、炸裂させる。

無数の銀雷がギニアスたちを襲う。


が、代わりにこちらには例の碧い斬撃が来た。


俺は、<アウロラ>で弾き、そのまま突っ込む。

ほかのみんなもそれぞれの相手に相対するのを横目で確認しつつ、

俺はギニアスに向けて剣を振り上げた。



「悪いが、速攻で決めさせてもらうぞ、ギニアス!」


「それはこっちのセリフだよ!」



ギニアスも<アレボス>を構えつつ、突っ込んでくる。


―――魔力、全開!



「<白夜!>」

「<黒鷹!>」




―――――ガキィィィン!




凄まじい勢いで互いの二刀が放たれ、

鍔迫り合いに――――




「<サーマルブラスト!>」

俺は、速攻で蹴りをつけるべく、猛攻を開始する。



「―――――んな!?」


至近距離で<アルザス>がプラズマ加速され、

爆音と共に、魔力装甲をぶち抜き、ギニアスの腹に突き刺さる。



――――まだだ!


「<サーマルブラスト!>」


俺の腰の、角度を調整しておいた鞘が火を噴き、

<アイテール>と<シルフィード>が超高速で射出される。



「――――――ガッ!?」



二本の剣の柄が、凄まじい勢いでギニアスの腹に突き刺さる。

刃ではないが、速度が速度だけに、洒落にならない衝撃だ。

ギニアスの顔が苦悶に歪み、吹き飛ばされる。



ギニアスが魔力を集めようとするが、遅い!

俺は、そのまま一気に決めようと――――


「<疾風迅雷!>」


「――――ギニアスっ!」


俺の前に、赤毛の女の子・・・ミリアが割り込み、

俺の剣を受け止めた。


――――受け止められた!?

並の力じゃない!



この少女、何者―――――



――――ドガァァァン!




突如飛来したエリシアにミリアが吹き飛ばされる。

おそらく、エリシアもミリアの人間とは思えないパワーを見ていたのだろう。

不意打ちにも関わらず、まったくの手加減なし。


ミリアはとんでもない勢いで真横にぶっとんだ。

・・・人間なら致命傷だな。


が、すぐにミリアは起き上がった。

ゾンビ?


「ミリアっ!」

俺は、ギニアスが余所見してる隙に容赦なく攻撃。

<アウロラ>で切り掛かる。

が、ギニアスはなんとか受け止める。


「<サンダーボルト!>」

エリシアがギニアスに追撃をかけ、ギニアスが吹っ飛ぶ。



「それ以上はやらせないっ!」

ミリアが咆哮し、爆発的に魔力が上がる。


『<イフリート・ブレス!>』


とんでもない大きさの焔の弾丸が、ギニアスに追撃しようとしていた俺に放たれる。




「――――アル!?」

エリシアが術を放とうとするが、術とエリシアのちょうど中間に俺がいた。



『<プラズマ・ブラスター!>』


俺は手からプラズマレーザーを放つが、防ぎきれなかった。






―――――ドガァァァァァン!





確かに直撃だったはずだ。

しかし、まるでミリアの魔力に反応するかのように、

俺のコートに例の幾何学文様が現れ、

ほぼ完璧に焔の弾丸をふせいだ。




ミリアは、驚愕しつつ、言い放った。



「――――月竜紋章!あんた、一体何者なの!?」






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