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銀雷の魔術師  作者: 天城 誠
第四章:三国魔法学校交流戦編・チーム戦
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第五話:気持ちが大事




前回までのあらすじ。


俺は、トラックにはねられて転生した。

(中略)

俺は、ディグリスに謀られて、エリシアにルーンクリスタルを贈り、

しかも、全く想定してなかったエリシアが受け取ったため、

竜族の規定としては、婚約したことになってしまった。



・・・いきなりすぎるだろっ!?



なにはともあれ、俺はエリシアの部屋で机を挟んでイスに座って、

優雅に紅茶でも飲みつつ、作戦会議?をすることにした。

いきなり婚約とか・・・・どうしろと?



「でも、アルは竜族じゃないので、気にしなくて大丈夫ですよ?」


「エリシアは?」


「・・・どうしましょう?」


「・・・どうするか」



どうするべきか・・・

気にしなくていいと言われても、

エリシアはどうするつもりなんだ?

まさか一生独身とか?


・・・洒落にならん。

というか、竜族の規定を聞いておいたほうがよさそうだ。


「竜族としては浮気とかどうなの?」


「浮気の概念はないのでなんとも言えないです・・・」


「側室とかあるの?」


「・・・あるにはありますけど」


「・・・?」


「私じゃ、ダメなんですか?」

エリシアは上目遣いに見つめてきた。



「――――ごふっ!?」

俺は、紅茶が気管に入った。




「いきなり浮気と側室を聞くなんてひどいです・・・

 私って、そんなに魅力がないんですか・・・?」



「――――げほっ、げほっ」

やめろ・・・そんな目で俺をみるなーー!

理性が危険域に達した俺は緊急離脱を決意。



「・・・アル、大丈夫です?」


「―――トイレっ!」


「・・・部屋の中にありますよ?」


俺は、さりげなく?外に出ようとしたが、普通に止められた。

仕方がないので、トイレに立てこもることにした。




ふぅ、落ち着いた。

さて、どうするべきか・・・

とりあえず、不誠実はよくない。

やっぱり、自信を持って好きだと言えるようにならないとな・・・



トイレから出て、テーブルを見るとご飯が作ってあった。

豚肉を薄切りにして焼いたのと、サラダとコーンスープと白米だった。



「おおっ!?美味そう!」

そういえば昼から何も食べてなかった。


「さっきお腹が鳴ってました。一緒に食べましょう?」


どうやら魔法でサックリ調理したようだ。

流石に<焔>使いだけあって、完璧な火加減だ。

とてもおいしかった。



「はぁ、満腹って幸せだな・・・」


「アルって小食ですよね」


「・・・エリシアには言われたくない」


俺も一般男子平均より食べないと思うが、

エリシアは更に食べてなかった。

・・・だからちっちゃいんじゃね?


「アル・・・今なにを考えてましたか?」


「いや、なにも?」


「・・・そうです?」

エリシアにジト目でみられてしまった。


「そうそう」



と、エリシアが急に真面目な顔になった。


「アル、好きな人はいますか?」


「・・・急になんだよ?」




「アルが他の人を好きなら、私は無視して大丈夫ですよ?」


「・・・ならエリシアも俺も規則も無視していいんだぞ?」


俺がそういうと、エリシアは微笑んだ。



「そうですか?」


「ああ」


エリシアはそのまま立ち上がり、俺の隣に来た。

・・・え、なに?


「アル、私は初めて会ったときから、貴方がずっと大好きです」



「・・・俺は――――恋がなんだかよく分からないんだ」




盲目的な恋をしたことがないって言うのかな?

恋がよくわからないのだ。




「・・・アルは真面目すぎです」



「はぁ、恋ってなんだろうな?」


「いつか、アルに恋を分かってもらえるように、がんばります」




「・・・んじゃ、そろそろ帰るな。ご馳走様」


俺は、立ち上がって置いておいた剣を5本手に取った。

・・・多い。そして重い。

いや、そのうち3本はとても軽いんだが。



「・・・アル、お礼、嬉しかったです。」

エリシアは、<月詠>を抱いて、にっこり笑った。



・・・不覚にもドキリとしてしまった。



俺は、慌てて自分の部屋に戻り、風呂に入って寝た。







で、朝である。




―――――コンコンコンコンコン!



すさまじい連打ノック。

・・・俺、寝たの深夜なんだが。

それに明日は試合だぞ?



――――ガチャ



「起きてっお兄ちゃん!」


「悪いな、リリー。昨日寝てないんだ」

まぁ、昨日は一日中結界の中で迷子だったからな。



「問答無用っ!早く起きて!事件よ!」


「事件だと・・・!よし、リリー!やり直すぞっ!」


「い、急いでるのに!?」


「さもなくば断固起きない」


「むぅ~・・・!」







――――ダダダッダッ



「お兄ちゃん、事件よっ!」


「了解!すぐに出動準備にかかる!

 いや、やっぱりテーマ曲が欲しいな。作るか!」



「ええっ!?はぁ・・・もういいから早くして・・・・」








―――魔法少年・アルネアのテーマ曲―――





♪~チャラッチャラララ~



もう傷つきたくなくて~ただ前だけ見ていた~


前だけ見てればいつか忘れられると信じていた~


守り抜けなかった笑顔を忘れられず、ただ自分を責めていた~


その魂が吼えるなら~今こそ立ち上がれ~!


この世の悪を打ち倒し~みんなの笑顔をまもるため~!


銀~の瞳に、煌く極光~!


雷撃~撲殺~♪――――トール・ハンマァァァァァッ!


吼えろ魂~煌け銀雷~!


あの子の笑顔を、まもるた~め~



♪~チャチャッ、チャラッラ~





「よし、五分でつくったぜ!どうだ、リリー!」


「却下」


「――――グハッ!」





そんなこんなで、とりあえず着替えた。


「で、なにが事件なんだ、リリー?」


「エリーがすごい高そうな剣を持ってたの!

 あれはきっと男からのプレゼントよ・・・!」


「あ~、そうだな」


「・・・お兄ちゃん、いいの!?エリーが他の男に盗られても!?」


「いや、あれ俺がコートのお返しであげたやつだし」


「・・・へ?」



そんなわけで、軽く状況を説明。


「お兄ちゃん、そのコートってそれ?」


「ああ、そうだけど?」



リリーは、じっくり見て、一言。


「意外と普通?」


「まぁ、見た目はな」



見た目は普通だが、防御力高いし、

色々ギミックがある。



「で、お兄ちゃん、あの高そうな剣はどうしたの?」


「俺が作った」


まぁ、勝手に剣になっただけだが。



「・・・あんなの初めてみたよ?」


「まぁ、俺もだ。ちょっと特殊な素材で作った」


ちょっとどころか超特殊だが。



「いいなぁ~、私にはないの?」


「いや、あれはこん・・・」


「・・・こん?」


「金輪際つくれそうにないんだ」


一応、嘘ではない。

もう最後のクリスタルだって言ってたし。



「ん~?お兄ちゃん、あれって、エリーとお揃いなんじゃないの~?」


リリーが<天照>を見ながら、楽しそうに言った。


「あー、結果的にはそうなったな」


「鈍いお兄ちゃんにも遂に春が・・・!?」


「何故そうなる」


俺はそう言ったが、リリーはいきなり真剣な顔になった。


「お兄ちゃん、お兄ちゃんは鈍くて、朝が起きられなくて、

鈍くてどうしようもないんだから、エリーを逃しちゃだめだよ?」




「逃すって・・・」


「それじゃ、私はそろそろ行くね!朝ごはん、早く食べにいきなよ?」


「・・・ああ」





そして、俺はこの日を<天照>の性能試験にあて、

翌日、遂にチーム戦の日がやってきた。







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