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銀雷の魔術師  作者: 天城 誠
第四章:三国魔法学校交流戦編・チーム戦
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第二話:悩んだら動こう




さて、俺は市場に来ていた。

この世界の娯楽といえば買い物さっ!

俺は、色々な店を冷やかしてまわった。


しばらくして、人ごみの中に銀の髪が見えた。

俺は、近づいて声をかけた。


「よっ、なんかいいものあったか?」


「・・・アル?」

ローラが振り向く。ローラは装飾品の店を見ていた。意外だ。

俺が隣に立つと、ローラは再び商品に目を落とした。


「ん、それか?」

ローラの目の先には、シンプルな?金色のヘアピンがあった。

・・・何ゆえ金色?

ローラみたいな髪ならともかく、金髪が多いこの世界的にどうなんだ?

いや、黒とか茶も多いし、緑とかも異種族ならいるが。


「・・・高いわ」

ローラは微妙に渋そうな顔だ。


うん、確かに高い。

安いヘアピンの1000倍はするな。いや、ヘアピンの相場は知らんが。

およそ20万円だ。誰が買うんだよ!

無駄に金キラだし!



と、店員が話しかけてきた。

「いや、それはどっかの貴族が売ったんだがな、材料がよく分からないんだよ」


「鉄とかじゃないんですか?」

「そのようなんだが・・・ヘアピンだしな、関係ないだろ?

売れないんだよ。半額でいいから買わないかい?」


店員も困ってるようだ。

ローラも財布を出してお金を数えてるが、足りるか微妙と見た。


まぁ、ローラが装飾品に興味を持つなんて意外だし――――


「よし、俺が買うよ」

俺も一応貴族なので、お金には余裕がある。

半額なら、まあいいだろう。

いや、正直高すぎると思うが・・・・


「――――ありがとう」


まぁいいや。ローラの綺麗な笑顔が見られたからよしとしよう。

というか、何が琴線に触れたんだ?

買ってすぐに髪につけている。


「・・・似合う?」


「ああ、可愛いよ」

そういうと、ローラはまた嬉しそうに笑った。

・・・いつも無表情なローラが笑うと凄まじい破壊力だな。



その後、俺はご機嫌のローラと分かれ、買い物続行。

エリシアにコートのお返しをせねば。

弁償だって言ってたが、

昨日の夜にマナ欠乏中のエリシアが言ってたが、なんと手作りらしい。


日本人としてはお返しをせねば。

魔法で作ったらしいが、それでも大変だ。

そうだ、俺も何か作るか。

魔法なら大抵のものは作れる。


と思ったが、鍛え抜かれた俺の厄介事センサーが発動。

まぁ、魔力の乱れを感知しただけだが。




とりあえず急行すると、フィリアが男3人に絡まれていた。





「いいじゃねぇか、俺たちとイイコトしようぜ~!」


「黙りなさい。今ならまだ見逃します」


「はっはー!威勢のいい嬢ちゃんだ!俺たちは名の通った傭兵だぜ?

 <スレイドギア>って聞いたことねぇのか?」



<スレイドギア>は戦争で名を上げた傭兵チームの名だ。

・・・それじゃあ権力で押さえつけて恨まれると面倒だな。

名前は出さないで介入するか。

まぁ、どうせ下っ端だろうが、リーダーがどんな性格か分からない。


俺は、魔力を無駄に放って威嚇しつつ割って入った。


「この人は私の連れです、失礼しました。・・・行こう」

俺は、フィリアの手を引いてそのまま行こうとしたが、

3人傭兵のなかで一番デカイヤツに肩を掴まれた。



「おいガキ、邪魔すんじゃねぇよ」


ちっ、面倒な。魔力で実力差も感じ取れないのかよ。

デカイのが、俺の肩を握りつぶさんばかりに力を込めてきた。

が、俺にそんなものは効かない。

涼しい顔で笑ってやる。


「そっちこそ邪魔するなよ。ちゃんと謝ってるだろ?」


「テ、テメェ・・・!?」


俺は魔力を解放。

俺の瞳が妖しく銀に煌く。

前に気づいたが、コレって威嚇でやるとなかなか不気味だ。

ついでに、膨大な魔力は殺気のような感じを相手に与える。


怯える傭兵を尻目に、俺はフィリアを連れてその場を離れた。


「フィリア、大丈夫か?」


俺がそう聞くと、フィリアは少し楽しそうに笑った。


「助けてくれて、ありがとうございます。

確かにコレは惚れてしまうかもしれませんね」


「おお、俺カッコ良かった?」


「はい、もっと好きになってしまいました」

フィリアはそう言って、俺の頬にキスをした。



「―――んな!?」


「私も、アルの事、好きですよ。

 アルはどうせ気づいてなかったでしょうし、返事は待ってあげます」


フィリアはそのまま逃げるように去ってしまった。



・・・え、なにこれ?

ドッキリ?


俺は、しばらく硬直していたが、

フィリアがいなくなったので、なんとか思考再開。


急展開すぎないか?

俺は正直ついていけないんだが・・・・


しかも、もっと好きにってことは前から?

特に用も無いし、クラス違うのにいつもいるなー。

とか思ってたんだが・・・

ひょっとして俺に会いに来てた?



・・・俺、鈍いのか・・・!?



というか待てよ・・・昨日の夜から振り返ってみよう。



昨日の夜、エリシアと風呂に入って、

(ただ、俺は必要以上に風呂場に湯気を出しといたので、お互いに何も見えてない)

一緒に寝た。

(ただし、何もしてないぞ!抱き枕にしただけだ!)


で、今日はローラに装飾品をプレゼントし、

フィリアを助けて頬にキスされた。



・・・俺って人としてかなり駄目じゃないか!?

女誑し?尻軽男?人間失格?というかヘタレ?



このままじゃ駄目だ!

ちゃんと誰が好きなのか考えないと・・・



・・・



・・・



・・・



駄目だ。さっぱり分からん。

恋って、なんだろう?



こんな時は・・・何か作業で気分を変えよう!

よし!エリシアにお返し作るぞー!


何がいいだろうか?


候補は、剣、服、盾、装飾かな・・・

よし、剣にしよう。ハンドメイドで。


まずは鉱石だな。

適当に山に出かけて魔法で掘るかっ!



なんだかよく分からないテンションの俺は、そのまま出かけた。



「我が体は雷!風よりも速く天を翔ける!<サンダーミグラトリィ!>」




共和国の首都、ディグリスの北東にずっと行くと、ティルグリム山脈がある。

ドラゴンが住んでると思われるだけあって、魔力が濃い。

よって、ミスリル等の魔法鉱石が出やすい。

魔獣も多いが。



十分ほどで到着した。




山の中でも岩盤が露出している場所・・・谷を選んだ。

なんか魔力が微妙に漏れてる気がするし。

俺の後ろは切り立った崖になっており、岩がゴロゴロしている。

にしてもでかい山脈だ。

ヒマラヤ山脈くらいありそうだ。いや、見たことないけど。




さて、どうやって掘るか。

あんまり音を出すと周囲の魔獣を刺激するし・・・


よし、決めた。



俺は、<アウロラ>を引き抜き、魔力を通す。

シルフの力を借りた方が楽だが、プレゼントだしな。



『切り裂け!<疾風剣!>』




―――――ガキィィィン!




谷間に轟音が響いた。

若干岩が欠けたが、それだけだった。

どうやら、ただの岩すら硬いらしい。


「・・・俺の邪魔をするのか?なら、押し通る!」


俺は、よく分からないテンションだったので、岩をなんとしても突き破ることに決定。



『食らえ!<白夜!>』


俺は、左手で<アイテール>を引き抜きつつ、

魔力を込め、二刀が白銀に輝く。



「どりゃぁぁぁっ!」


俺は、両手を大きく後ろ引き絞り、放った。





―――――ドギャァァァン!





岩盤が激震し、30センチほど削れた。

が、それだけだ。



・・・なんか悔しいんだが。




――――魔力、全開!




『<極夜!>』



「うおぉぉぉぉぉぉっ!」



俺の両手が目にもとまらぬ速度で閃き、空中に銀の軌跡が煌く。



―――――ギャギャギャギャキィィィィン!



一息に14回斬り付け、再び岩盤が激震する。

が、30センチほどしか削れない。




・・・こっちのほうが疲れるな。

よし、コスト低めで・・・



『<疾風迅雷!>』


俺は、二刀を左後ろに合わせて持ち、力を溜めて一気に放つ―――!




―――――ドギャァァァン!




今度は20センチしか削れなかった。

<白夜>が一番いいのか?




いや、最強技で岩盤崩し。ロマンじゃないか?

全力でいこう。




『我が魔法銀の剣よ!銀雷によりその身を弾丸と化せ!<銀雷纏いし四源の雷砲アウロラ・サーマルブラスト!>』






――――――バギャァァァァァァン!





―――――ドガァァァァン!




「・・・なんじゃこりゃ」


<アウロラ>は見事に貫通し、その向こうに洞窟が見えた。


その洞窟は、濃密な魔力が立ち込めていた。




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