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銀雷の魔術師  作者: 天城 誠
第三章:三国魔法学校交流戦編・個人戦
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第十四話:黒き精霊と白き竜



「・・・小さい」



ミニマムサイズでエリシア(ドラゴン形態)が召還された・・・

およそ30センチ・・・


『色々足りなかったんです・・・』

エリシアはテンション低めだ。




『ドラゴンだと?なんと愉快な人間だ!最強種族と名高いその力、見せてみろ!』

正反対に、エレボスはテンション高い。



『<無限黒曜!>』


エレボスが剣を振り回し、視界を覆いつくす黒い斬撃が放たれ――――




エリシアが白い光に包まれた。


『<サンクチュアリ!>』





―――――――キキキキキィィィィン!




黒い衝撃波は、まるで弾かれたかのように四方八方へ飛び散る。


『アル、<光>属性と<闇>は互いに反発するので、簡単に防げます』


「知らなかった・・・」


『<光>と<闇>は両方とも希少なので、激突する機会がないんです。

 私が雑魚とあの精霊を引き付けます。アルは術者を!』



「んな!?それじゃあエリシアが――――」


『アルが早く片付ければ大丈夫です』


「・・・わかった。ケガするなよ?」


『・・・はい』



俺は、ギニアスを倒すべく、魔力を練る。





――――――――――――――――――――――――――――




アルのマントに仕込んでおいた、召還補助術式で、私は戦いに割って入った。

こうして客観的に見ると、この前の自分の行動を死ぬほど後悔する。

でも、あの黒い精霊への怒りも込み上げてくる。


悪いけど、私自身への怒りも、八つ当たりさせてもらいます・・・!





『我は暗黒の精霊エレボス!我にその力を見せてみろ、ドラゴンよ!』



『私は精霊ごときに名乗るつもりはありません』



『我がただの精霊かどうか、その身に思い知らせてやろう!』

エレボスと黒鬼に、魔力が集う。

エレボスはその剣を振り上げ――――


『<黒曜冥月波!>』


その剣から黒い斬撃が放たれるのと同時に、

黒鬼たちが一斉に様々な属性の攻撃を放つ。

たしかに、コレを防ぐのは難しい。


でも―――――


『天と空の境界より出でよ!煌け極光の障壁!<オーロラフィールド!>』




――――――ガキィィィン!




私は、習得していたアルの術で防御。

この術は攻撃力がなく、アルがこれを使ったまま私に接近したのでもらっておいた。


この術は、魔力ではなくマナで発動する特殊な術だ。

消費マナが大きいが、この程度の攻撃なら防げる。

それに、肝心の精霊の攻撃は、<闇>属性。

このオーロラは<光>属性に近い属性のようで、激突する前に方向転換し、壁に当たった。

言うなれば<極光>属性だろうか?そのままだけど。




私は、面倒な黒鬼を殲滅すべく、術を発動した。



『殲滅の彗星よ、この地に降り注げ!<ディザスター・コメット!>』




私が手を振り下ろし、爆音と共に、天から彗星――――


ただの魔力の塊だけど――――


が、降り注ぐ。


それらは私の感覚とリンクしており、自由自在に動かせる。

事実上のホーミング弾だ。


黒鬼たちはすばらしい反応速度で避けようとしたが、すべて爆散した。




そして、その間にエレボスが私に接近して来た。

予定通り。

エレボスは黒鬼20体とは比較にもならない強さだけど、

この私は魂の一部でしかない。

死んでしまっても、私自身には何の影響もない。




――――――――――――――――――――――――






俺は、エリシアの彗星が落ちるのを横目に、一気にギニアスに接近した。

ギニアスは、双剣で迎え撃つ。



「悪いが、すぐに決めさせてもらう!」


「そう簡単にはやられないよ・・・!」



俺は、速攻で決めるべく、魔力を集めた。


『<疾風迅雷!>』


「<三日月!>」





―――――キィィィン!



俺は、放たれた三日月を、属性の反発を利用して弾き返し、

更に二刀で追撃する――――



「―――――なに!?」

ギニアスが驚く。

まぁ、いきなり自分の術が跳ね返されたら驚くよな。



ギニアスは自分の放った衝撃波を剣で受けるが、

受けきれずに体勢が崩れた。


そこに、俺の<疾風迅雷>が入る。

ギニアスはなんとか剣でガードするが――――



「だが、ダメージは受けてもらうぜ!」



「―――――ぐあぁぁぁっ!」


俺の雷が流れ込み、一気にギニアスの体力を削る――――!

ギニアスは後ろに跳んで離れるが・・・

まだだっ!


『<白夜!>』

俺は、二刀を思い切り後ろに引き絞り、打ち抜く!

二刀は白銀の雷撃を纏い、空気を切り裂いてギニアスを襲う!


「くっ、<五月雨!>」



ギニアスの剣から無数の黒い斬撃が放たれるが、

精霊を食い止める、ミニマムなエリシアを待たせるわけにはいかない!

俺は一気に勝負をかけようと、致命傷だけさけて、

攻撃を食らってでも攻撃しようと―――――




―――――ドギャァァァァン!




黒い斬撃は、俺のコートを貫けなかった。

打撃を受けたようなダメージはあったが、それだけだ。


逆に、俺の<白夜>は見事に決まり、

ギニアスは剣で防いだが、<疾風迅雷>の倍近い電圧に感電している。




「――――試合終了!勝者、アルネア・フォーラスブルグ!」

審判の宣言が響き、

一瞬遅れて、会場を歓声が包んだ。




「おおっと!?遂に決着だぁぁぁっ!勝ったのは、アルネア・フォーラスブルグ!」




俺は、剣を鞘に収め、エリシアを見やった。

エレボスは消えていくところだった。


『・・・くっ、次に戦うときはこうはいかんぞ・・・!』


見事な捨てゼリフだった。

もう戦わな・・・チーム戦あるじゃん!?


と、ギニアスが起き上がった。


「はぁ、負けちゃったか。今度は負けないよ」


「・・・ああ、受けて立つよ」


俺は、ギニアスが差し出した手を握った。




その後、俺は表彰され、賞品として魔法剣<アルザス>をもらった。

・・・どうしろと?

まぁ、ぶん投げ用にありがたくもらっておく。



<アルザス>の色は銅色。形は片手剣で両刃だ。

長さは若干短め。

材質は多分鋼。




それにしても疲れた・・・

ああそうだ、エリシアにコートと救援のお礼を言わないとな。


まぁでも眠いので、俺は宿屋の自分の部屋に戻り、

ベットに潜り込もうと――――


・・・エリシアがまだ寝てた。



男の部屋で寝こけるとは、

乙女にあるまじき行為だぞエリシア・・・



「お~い、起きろエリシア~!」

肩をゆすりつつ、呼びかける。


「・・・アル?」

エリシアはぼんやりと目を開けた。


「起きろー!俺のベットだぞー!自分の部屋で寝ろー!」


呼びかけるが、エリシアの反応が芳しくない。

あれ、なんかエリシアの顔が青白いんだが・・・



「おい、エリシア!?大丈夫か!?」


「・・・ちょっとマナが欠乏しただけです・・・」


さて、マナっていうのは生命の源になるとても大切なものです。

酸素と同じくらい大事だといえば通じるだろうか?


大丈夫じゃねぇ!?


「おいエリシア!どうやったら回復するんだ!?」


「・・・寝ればよくなりますよ?」


「悪い、好きなだけ寝てくれ」


「はい・・・」


エリシアはそう言って目を閉じた。



「はっ!?俺は何処で寝ればいいんだ!?」


「・・・アル、いっしょに寝ますか?」


・・・え、なにこの展開。

性質の悪いジョーク?

俺の頭がオーバーヒートし、思いついたのは――――


「あ、風呂入ってないや」


「・・・私もです・・・アル、いっしょに入りますか?」



・・・俺はからかわれてるのだと思い当たった。

いいだろう、乗っかってやろう!


「そうだな、入るか」


「・・・はい」



そんなわけで、一緒に風呂に入って、一緒に寝た。

・・・冗談じゃないと気づいた時には引き下がれなかった。



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