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銀雷の魔術師  作者: 天城 誠
第三章:三国魔法学校交流戦編・個人戦
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第十三話:暗黒の精霊


「・・・・ならコレならどうかな!?

 出でよ、地下の暗黒を司りし者よ!その力の一部を此処に!<エレボス!>」



ギニアスの精霊剣が更に輝き、

黒ずくめの鎧を着た、黒髪、黒目の威風堂々たる男が召還された。

その体に濃密な闇を纏い、黒い大剣を持っている。




『フフフッ、我が名はエレボス。貴様の実力、見せてもらおうか』



その男は、心底楽しそうに微笑んだ。


俺は、背筋に悪寒が走った。

コイツは危険だ。

強過ぎる。

<グリディア>を見たときにも感じた、圧倒的な力。



「シルフ、アイツに勝てるか?」


『無理です。勝機があるとすれば、直接術者を叩く以外にありません』


シルフが真面目に話すなんて・・・

これはかなりやばい。




『フフ、どうした少年、怯えているのか?かかってこないのか?』

エレボスが挑発してくるが、乗るわけにはいかない。


こいつはキレたエリシア並みに危険だ。

仕方ない、使いたくなかったんだが・・・


「いくぞ、シルフ!」


『了解です』



「『<精霊憑依(ユニゾン)!>』」



俺の体が一瞬、銀と緑に輝き、魔力が爆発的に増加する。

俺は、<シルフィード>に魔力を流し、帯電させる。


『<サーマルブラスト!>』


通常より更に激しい光を放ち、<シルフィード>が銀の流星と化す。

ついでにその辺の砂鉄も巻き込ませ、一気に放った。





――――――ドギャァァァン!




凄まじい音と共に、一気にギニアスを狙うが、

エレボスが軽く手を振る。


『<奈落>』




エレボスの前の空間に暗い穴が現れる。



――――――なんだ!?



『<マグネティション!>』



銀の流星群を囮にしつつ、左から回り込もうとしていた俺は、

言いようのない不安を感じ、

超磁力で<シルフィード>を引き寄せ、穴を回避させる。


が、一部の砂鉄はそのまま突っ込ませて――――――





―――――バシュッ




すべて飲み込まれ、穴が消えると何も残らなかった。




嘘だろ!?

魔力だけじゃなく、物質も吸収するのか!?




『クックック、貴様、なかなか個性的な攻撃法だな』

エレボスは、そう言って右手を振り上げ、下ろす



『黒雨』



数え切れないほどの黒い弾丸が出現し、凄まじい勢いで放たれた。




――――嘘だろっ!?



『ご主人様、ここは私が!』


『任せる!』



『風のマナよ!集え!<ルインズ・ハリケーン!>』







――――――ドギャァァァァン!




銀の竜巻が現れ、黒い雨を向かい撃つ。

洒落にならない衝撃波で、客席前の障壁が一気に歪む。


「障壁の上を開けろ!魔力を外に出すんだ!破裂するぞ!」


学園長が叫ぶのが聞こえた。

俺も、凄まじい衝撃波で、憑依状態なのに立っているのも辛い。

ギニアスは、<奈落>で守られている。



『ご主人様、今が好機です。おそらく、<奈落>を破るのは無理だと思われてます』


『<アウロラ>か?』


『いいえ、<アイテール>です』


『・・・なにゆえ?』


『<アウロラ>は飲み込まれないとは思いますが、突破は厳しいと思われます。

 <アイテール>の闇魔力との反発なら、何か起こるかもしれません』



『わかった。いくぞ!』



俺は、<アイテール>に魔力を込め、銀に輝き、

シルフがそこにマナを注ぎ込む。


『紺碧の空に瞬け銀光!貫け銀雷!清浄なる大気の輝きによりて、邪悪を祓え!

                  <アイティール・サーマルブラスト!>』



銀の光が、透明な輝きに変わり、凄まじい勢いで<アイテール>が放たれた。








――――――――バシュゥゥゥゥン!




――――――ガキィィィン!




『―――――なんだと!?』

エレボスが焦った声をだす。



「・・・やるね」


<アイテール>は、<奈落>を貫通し、しかし、ギニアスが剣で防ぎ、

<アイテール>は空高く舞い上がったが、シルフが風を操作し、俺の手に帰ってくる。




『我が奈落を突き破る?人間とは思えんヤツだな。フハハハッ!』


「はぁ、エレボス、真面目に戦ってくれないかい?」



『いいだろう、人間ごときの相手などつまらんと思ったが、どうしてか愉快だ』



エレボスの魔力が一気に膨れ上がる。

化け物かよ!?

最早、キレたエリシアが可愛く思える。いや、実際可愛いんだが。



『<黒曜!>』



エレボスが剣を抜き、凄まじい勢いで振りぬき、

黒く輝く衝撃波が放たれた。



―――――速い!?


回避は無理だ!

俺は、二刀で迎え撃つ。


『<白夜剣!>』


二刀が白銀の光に包まれ、

両手を思い切り後ろに振り絞り、黒い衝撃波を打ち抜く――――








――――――ドギャァァァァン!




「―――――ガハッ」


『ご主人様!』



俺は、黒い衝撃波の凄まじい威力を受けきれず、

弾き飛ばされ、そのままフィールド端の壁に叩きつけられた。

叩きつけられた背中のダメージはさほどでもないが、両腕がやられた。



『<リヴァイブ!>』


シルフがリヴァイブを発動、一瞬で治癒するが―――――



『・・・遅いぞ!』

エレボスが一気に切り掛かってきた。


『<冥斬剣!>』


エレボスの剣が光を飲み込みつつ、振り下ろされる。



『<サンダーミグラトリィ!>』



―――――ドガァァァン!




「―――――グハッ」


先ほどまで俺の立っていた地面が大きく抉れていた。




そして俺は―――――






―――――壁に激突していた。



サンダーミグラトリィは制御が難しく、戦闘中やると、

どっちに移動するかランダムにならざるを得ない。

しかも、移動速度が雷の速度なので、洒落にならない。


が、あの攻撃を受けるよりマシだと判断した。


位置を確認。

どうやら俺は右斜め前に移動したようだ。


エレボスからの距離と、ギニアスからの距離がほぼ同じ。

俺は、一気にギニアスに接近しようと―――――




『クハハハ!巧く避けたな?これならどうだ?』



『<黒鬼夜行!>』




「「「「グガァァァァァァ!」」」」



フィールド中に、黒い鬼――――

黒い肌に、大きな角、体長が3メートルほどもあり、額に第三の目があり、

いずれも黒い装備に身を固めている――――

が、総勢20も現れた。




「――――んな!?」


『ご主人様、来ます!』




エレボスが手を振り下ろした。


『<黒鬼砲>放て!』


黒鬼の第三の目から、いっせいにビームが放たれた―――――



「・・・目からビーム・・・だと・・・」


『ご、ご主人様!早く!』



『やべっ!?<風車!>』






――――――ドカァァァァン!











「・・・痛い」


俺は、なんとか立っていた。



防ぎきれずに、弾き飛ばされた。

意識があるのが奇跡のような気がする。



黒鬼の戦闘力は馬鹿にならない。


今のビームも、それぞれが、全力の<サンダーボルト>一発分はある。



『ハハハ!よく耐える人間だ!』

エレボスは愉快そうに笑い、そしてその剣を振り上げた。



『<黒曜冥斬波!>』



その剣から、さらに強力な黒い斬撃が放たれた。


・・・やばい、死ぬかもな。



俺は、せめて剣で受けようとして―――――






――――声が、聞こえた。







『魂の盟約を此処に!我が魂は汝と共に!<自動召霊オートサモン―――!>』







―――――ガキィィィン!






一瞬、視界が白く染まり、


黒い斬撃を、白いドラゴンが結界で弾き飛ばした。




「――――――エ、エリシア?」


『・・・一応召還術なので、反則じゃないですよ?』



「いや、それより・・・」


『・・・』

エリシアも分かってるらしい。黙ってる。



「・・・小さい」



ミニマムサイズでエリシア(ドラゴン形態)が召還された・・・

およそ30センチ・・・





次回、『黒き精霊と白き竜』

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