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銀雷の魔術師  作者: 天城 誠
第三章:三国魔法学校交流戦編・個人戦
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第十話:決闘



結局、エリシアはどこかに行ったまま、朝になっても帰らなかった。


恐らく、俺に会わないためだろう。



・・・もうすぐ試合だ。


俺は、<アウロラ>、<シルフィード>、<アイテール>を装備し、

広いとは言えない控え室の天井を見上げ、立ち上がった。




何の為に戦うのが正しいのか?


結局、答えは見つからなかった。










「さぁて!交流戦、個人戦部門もついに準決勝!

 なんと!両者皇国出身にして、兄妹対決!

 

 まずは、貴公子とエルフを退けた銀の雷!

アルネア――ッ、フォ――ラスブルグゥ――ッ!」




俺が入場し、会場に歓声が轟く。

だが、俺は反対側の入り口を見据えた。




「ここまでの試合は全て瞬殺!焔翼の魔術士!

 エリシアァァ―――――、フォ――ラスブルグゥ――ッ!」




白い髪に赤い瞳のエリシアが入場した。

ある程度の距離をとり、フィールドの真ん中で向かい合った。


・・・話しかけたかったが、おそらくは無駄なことなのだろう。

エリシアの何も浮かべてはいない瞳と目を合わせ、開始の合図を待った。




「両者、構え!」




俺は、<アウロラ>と<シルフィード>抜き、構えた。

・・・あ、シルフに何も言ってないじゃん・・・


『シルフ、ちょっといいか?』


『・・・大丈夫ですよ、聞いていました』



『・・・なにゆえ?』


『エリシアさんは魔声を使っていましたから。魔力の刺激で起きました。

 ご存知でしょうが、決闘に召還は違反ですからね』




『・・・ああ』


『・・・私は何も言えませんが、勝てばいいんじゃないですか?』



『・・・そうだな』




「――――試合、開始!」




――――魔力全開。



『<サンダーボルト!>』


『撹乱結界、<蜃気楼>』




俺の手から銀の雷が放たれるが、エリシアの姿がゆがみ、消えた。



――――んな!?



俺は、咄嗟に魔力探知と視覚の両方でエリシアを探すが――――



――――バキッ




「――――ガハッ!?」



――――ガキィィィン!




突如、目の前に現れたエリシアに腹を思い切り蹴飛ばされ、

一気に端まで吹き飛ばされ、結界に弾かれ、落ちた。




『・・・そんなものですか?死にますよ?』


剣すら抜いていないエリシアが冷たく言い放つ。




速い・・・ノエルよりも。



無詠唱リヴァイブで一気に治癒しつつ、俺は立ち上がった。



『まだだ・・・地を駆けろ雷!<アース・サンダークラッシュ!>』


俺は<アウロラ>を地面に突き刺し、そこから一気に銀の雷が会場中の地面を駆ける。



『燃えろ、<ヴォルケイン!>』


エリシアが手を振ると、一気に白い溶岩が噴出し、雷を飲み込む。

・・・白い溶岩って何だよ。


溶岩の勢いは一向に衰えず、一気にこちらに押し寄せる。


『風巻け疾風、奏でるは破壊の唄!<ハリケーン!>』



竜巻が溶岩を巻き込みつつ、一気に―――――





――――ガキィィン!




再び、エリシアが気配を消して、今度は右から接近し、

今度は<エルディル>で突きを放ってきていた。


俺は、なんとか察知し、<アウロラ>で切り払った。

そして、<シルフィード>で反撃――――



――――エリシアに斬り付けるのか?



――――手を抜けば死ぬぞ。竜族が魂を賭けて挑んだ決闘を侮辱するのは許されない。



――――それでも、俺は―――ッ!




俺は、シルフィードの腹で打撃を放った。


が、エリシアは魔力を纏った拳で迎撃する。




―――――ガキィィン!



「―――――ぐっ!?」



俺の左手が痺れ、<シルフィード>は、壁際まで弾き飛ばされる。




『アルネア・フォーラスブルグ・・・!

 貴方は私如きに本気を出す気はないと?

 私にそんな価値などないと言うのですか・・・!?』



『うるさい馬鹿!本気で戦えると思ったほうが馬鹿にしてるな!

 勝てばいいんだろ!勝手にやらせろ!』




『・・・そうですか、なら本気でなくば、今度こそ死にますよ』


『全く本気じゃないエリシアには言われたくないな!』




『・・・<エナジーブラスト!>』


『――――!?<サンダーブラスト!>』




エリシアの手が白く輝き、純粋な魔力の塊が放たれた。

俺のサンダーブラストを一瞬で飲み込み―――






――――ドガァァァァン!




「――――うぐっ!?」



俺の腹に直撃し、俺は、再び結界まで吹き飛ばされた。



「――――ガハッ」


内臓がやられたのか、口から血が飛び出した。






俺は、なんとか無詠唱リヴァイブで回復を図るが、

エリシアが膨大な魔力を集めていた。


『全てを滅し、全てを生み出す始祖の焔、此処に顕現せよ!<イクリプス!>』



エリシアの前に、ありえない魔力の塊が出現し、こちらに物凄い勢いで向かってきた。

あんなのが直撃すれば、跡形も無く消し飛ぶだろう。




『我が盟約の剣よ!銀雷によりて、天翔ける雷となり――――』


『虚空を切り裂け!< 四源の雷砲(サーマルブラスト)!>』



俺は、咄嗟に<アイテール>も抜き、一気に三つの<サーマルブラスト>を発動させた。



『<ヴォルカニック・アロー!>』






――――――ドガァァァァン!









俺は、再び壁に叩きつけられた。

息が詰まる。

・・・腹が熱い。

左手の感覚が無かった。



術同士の激突で押し負けて吹き飛ばされ、

エリシアが時間差で放った、焔の矢を防げず、俺の腹に風穴が開いていた。




だが、まだ・・・まだ、まだ戦える・・・



試合を止められては敵わない、見かけだけ完全に傷を治癒する。

立ち上がるのもままならないが、絶対に諦めたくなかった。




が、エリシアが再び魔力を集めていた。

このままだと、これの繰り返しで負ける・・・


幸い、剣は3つとも俺のすぐ近くに落ちていた。

辛うじて動くまでに回復した左手も使って、集めた。




『―――――ッ、<イクリプスッ!>』





どこか苦しそうなエリシアの声が聞こえた。



眩い白い焔が見えた。





こんな左腕じゃあ、<サーマルブラスト>は使えない。


なにか、手はないか・・・




――――ない。このままだと死ぬ。




――――なんだ?全てを守るのではなかったのか?




――――・・・俺が間違ってたよ。結局、俺は自分のことしか考えてなかった。

    自分が傷つきたくなかったんだ。





――――そうか、ならどうするのだ?諦めるのか?




――――俺は・・・すぐには無理かもしれないけど、きっと俺自身も・・・




――――なら、この決闘は負けられないな?

    私が力を貸しても微妙だろうが、特別サービスだ。

    貴様の魂とあの者の魂。どちらが強固なものか見せてみろ・・・!






コロシアムに極光が煌き、俺は、再び立ち上がった。


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