第四話:看病は戦いだ!
俺は、精霊憑依による急激な魔力増加によって、ダメージを負った。
正直起き上がるのも辛い。
まぁ、痛いとかはないんだが・・・・
シルフによると、それだけでもありえないレベルらしいが。
もっとしっかり忠告してくれ。
俺は、エリシアに運ばれて馬車で寝てる。
で、もう街は出発した。
爺さん達には、エリシアに見せに行ってもらった。
すごい喜んでたそうだ。
別に返していいと言って持って行かせたのだが、受け取らなかったらしい。
若いもんが使え。とのこと。
ありがたく貰っておこうと思う。
と、誰か来た。
「―――アル、大丈夫?」
ローラが来た。
いつもどおりのポーカーフェイス・・・だと思う。
「あー、大丈夫だが、起き上がるのもままならない」
「――じゃあ、だいじょうぶね」
「マジか!?」
「・・・だいじょうぶなんでしょ?」
「むぅ、確かに言ったが」
「・・・どっち?」
「正直きつい」
「そう・・・はやく良くなってね」
「ああ、わざわざありがとな」
「・・・うん」
ローラはほんの少し微笑んで帰っていった。
と、入れ替わりに誰か来た。
「アル、大丈夫ですか?」
フィリアだった。
「・・・大丈夫だが、起き上がるのもままならない」
「それは大変です!アル、私に看病させてください!」
フィリアがなんか燃えてしまった。
失敗した。
「いや、大丈夫・・・リリーにエリシアもいるし・・・」
「私もアルを看病いたします!」
やばい・・・どうしたものか・・・
「というか、病気じゃないから休めば治るんだって!」
「そう・・・ですか?」
「そうそう!」
「・・・わかりました。でも、私も料理を作ります!」
・・・嫌な予感しかしない!?
皇女様が料理できのかよ!?
というか、リリーとかエリシアに火がつくからやめて!
「いや、それは間に合ってるぞ!?」
「そ、そんな・・・」
ものすご~~く悲しそうなフィリア。
ぐあぁぁぁぁ!?
なんだ、この罪悪感は!?
「・・・わかったよ・・・だが、もう既に用意されてる可能性が高い。量を少なくな・・・」
「はい!」
ダメだ、勝てる気がしない・・・
と、入れ替わりでリリーが来た。
・・・もう疲れたんだが。
「おに~いちゃん!大丈夫?」
「ダメだ。お見舞いの対応に疲れた。」
「・・・大変だね。で、ご飯食べる?」
リリーがおにぎりを出してきた。
「・・・ああ、一個もらう」
おにぎりをもらって、食べた。
鮭だった。何故か甘かった。突っ込んだら負けな気がした。
と、ローラが再びやってきた。
「アル、野菜スープを作ったんだけど・・・食べる?」
おお、スープは暖まるしありがたい。
「ああ、ありがと。もらうよ」
「うん」
・・・美味かった。コンソメ味?
「おお、美味い。ありがとな。」
つい近くにあったローラの頭を撫でた。
ローラはなんだか嬉しそうだった。
で、ローラは皿を持って帰っていった。
・・・いつの間にかリリーがいない。
まさか・・・
「・・・アル、大丈夫です?」
今度はエリシアが来た。
「・・・大丈夫だ。」
なんかもう、ふざけて返答してたのが悪かった気がしてきた。
「そうです?・・・アル、ご飯を作ってみました。」
「えっと・・・なんか既にリリーからおにぎり、ローラからスープ、
更にフィリアが何か作ってるみたい――――」
「・・・ぐすっ」
なんか本気で泣きそう!?
「だから、量を少なめにしてくれると嬉しいな!」
「・・・・無理しなくて、いいです」
「エリシアこそ無理するな!食べる食べる!」
きっと、せっかく作ったから食べてもらいたかったのだろう。
・・・怖くて寝れないとかも含めて、けっこう子どもだよな。
「・・・アルがものすごく失礼なことを考えてる気がします!」
「ないない。」
「むぅ~・・・」
と、フィリアが乱入してきた。
「あ、エリシアさん。エリシアさんもアルさんにご飯を作ってさしあげていたのですね」
フィリアはにっこり微笑んだ。
まぁ、一応エリシアは俺の妹ということになってるし。
「アルにご飯を食べさせるのは私です!」
「おいこら、ケンカするな。どっちも食べる」
で、先に来てたエリシアのから食べることに。
何を持ってきたかというと・・・
「おおっ!?焼肉だ!」
たびたび言ってるが、エリシアが焼いた肉は通常の三倍美味い。
正直、毎日作ってほしい。今度頼んでみるか。
『俺に毎日肉を焼いてくれ!』
新しいな。
・・・ん?これ、元ネタなんだっけ?
結婚の申し込みじゃないか!?
あぶな!?
まぁ、とりあえず食べ――――
エリシアが箸で肉を持って、俺の口の前に差し出している。
・・・はい?
「エリシア?」
「アル、あ~んです」
「ええぃ!自分で食える!」
「アル、口を開けないとあげません」
なん・・・だと!?
くっ、別にそこまでして食う気は・・・
めちゃくちゃ美味そうだった。
・・・俺は負けた。
「あ、あ~ん」
「はい、どうぞ♪」
エリシアはめちゃくちゃ嬉しそうだった。
俺はすさまじく恥ずかしかったぞ・・・フィリアいるし。
が・・・
「う、美味い!?」
なんだかいつもより更に美味いような!?
「アルのために色々頑張ったんです♪」
エリシアはとてもご機嫌だ。
シルフ並みだ。
・・・シルフはいつでもご機嫌だな。
「・・・いいなぁ」
フィリアがぽつりと呟いた気がした。
で、なんだかんだいいつつ、エリシアの焼肉は完食した。
エリシアはお皿を持って、ご機嫌で去っていった。
「アル、今度は私が作ったのを食べてください!」
フィリアが燃えていた。
「・・・お手柔らかにな?」
で、フィリアが作ったのは・・・
「・・・サンドイッチ?」
「はい、軽めにサンドイッチです!」
意外と普通だった。助かった。
で、受け取って食べた。
フィリアも、あ~んってしたそうだったが、断固却下だ。
サンドイッチで助かった。
が、
「・・・これ、フルーツ?」
具がフルーツだった!?
「はい、意外とおいしいですよ?」
にっこり笑うフィリア。
・・・フィリアもやっぱり料理はダメっぽい。
確かに意外とおいしいけどさ・・・
まぁ、フィリアも帰っていった。
ふぅ、終わったか。
が、最後に刺客が待っていた。
「お兄ちゃん、たべてっ!」
リリーが7色のスープを持ってきた。
さて、その後食うや食わんやの押し問答があったが、俺は負けた。
「ごはっ!?」
「お、お兄ちゃん!?」
舌が焼ける・・・!
辛い!激辛!甘い!苦い!しょっぱい!クドい!
・・・刻が見える・・・!
「あ、アル!?<ヒール!>」
駆けつけたエリシアのヒールでなんとか助かった。
「ごめんなさい・・・」
「リリー、頼むから味見してくれ・・・」
「うん・・・」
リリーは調味料が大好き・・・味見しない・・・
恐怖だ。
この娘にして、あの父あり。
で、夜。
「アル、一緒に寝ましょう♪」
「うるさい帰れ。安眠させろ。一人で寝れないのか」
「・・・アル、私も女の子なんですよ?」
「ん?ああ、悪い。女の子は夜は一人じゃ怖いものなんだな。知らなかった」
「・・・私は、アルがこんなに鈍いのは知らなかったです」
エリシアは小声で何か言ったが、聞こえなかった。
「え、悪い、聞こえなかった。」
「うぅ~~・・・!いつか気づかせてみせます・・・!」
「え、何を?普通に口で言ってくれたほうが・・・」
「いやです!」
エリシアはそのまま布団に入って来た。
帰ってはくれないらしい。
勘弁してくれないか・・・
俺の自制心がそろそろ限界なんだ。
エリシアはもうちょい自分の魅力を自覚したほうがいいよ。
「エリシア~、あんまりくっつかないで・・・」
「・・・・いやです」
もっと引っ付かれた。
胸が・・・胸が当たるんだ!
が、最早何を言っても無駄だと悟った。
目指せ、明鏡止水!
―――次回予告―――
♪~チャラッ、チャ~ラララ~!
「ついに来たか交流戦!」
「まずは個人戦からです」
「お兄ちゃん、エリー、頑張って!」
『ふふっ、やっと戦いですね♪』
やっとついた・・・
真面目に戦いまくろうと思います。
まぁ、個人、チーム、軍団の3つもあるので、
雑魚との戦いは巻きでいきますけど・・・