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銀雷の魔術師  作者: 天城 誠
第三章:三国魔法学校交流戦編・個人戦
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第二話:散歩は波乱を呼ぶかもしれない



凄く、よく寝れた気がする。


いつもより頭の中がすっきりしてる気がする。

腕の中の温もりが心地良い。




・・・ん?



俺は、珍しく自主的に目を開けた。

布団を被って寝ているらしく、あたりは暗い。

が、俺は何かを抱きかかえて寝ていた。


「・・・すぅ~・・・」


・・・そうだ!エリシアを抱き枕にしたんだった!

早急に証拠隠滅せねば!

別に何もしてないし、こっそりエリシアを本来の場所に戻せばOK!



俺は、エリシアを引き離そうと――――



「・・・んむぅ~~・・・アルぅ~~」



♪~~デデ~ン!この抱き枕は呪われていた。装備を解除できません♪



「なん・・・・だと」




「お兄ちゃん!起きろーーー!」


リリーが来た!?

え、なにこれ。やばくないか?

エリシアは俺に抱きついたまま寝てる。断固として離れない。




「リリー!今日は起きてる!大丈夫だ、問題ない!」


「・・・え?ほんとだ?って、布団被ったままでしょ!?」




「いや、ほんとに起きてるって!ほんと!」


「・・・なら、布団から出て」




「・・・・」

無理だ。エリシアが離れない。




「せぃやーーー!」


「うおぉぉぉ――――ッ、<布団聖域(サンクチュアリ)!>」


布団を引っ張るリリーに対して、俺は魔力装甲全開で、布団を強化。

布団が眩い銀の光を放つ!



「お、お兄ちゃん!?なんでそんなに強硬なの!?」




「いや、ほんとに起きるから!大丈夫だから!」


「・・・揺れる水の刃は、硬きものも容易く切り裂く!<ウォーターブレード!>」


リリーの手から、高水圧カッターが出る。かなり危ない。



「・・・おい、リリー?」


「お兄ちゃん。何か隠してるでしょ」





「なんのことだ?」


「・・・・教えてくれないのね、お兄ちゃん。なら、力ずくでも――――!」



リリーがブレードを振り下ろし、<サンクチュアリ>と衝突する




――――ガキィィン!




俺は、リリーの連続攻撃を必死に防ぐが――――


「・・・んぅ~~・・・」


俺の腕に、エリシアの胸があたって集中が途切れた。




「たぁぁっ!」


結界を切り裂いたリリーが熟練の技で布団を剥いだ。

で、



「・・・・お兄ちゃんに・・・エリー?」


俺と、俺に抱きついて眠るエリシアを見られてしまった。



「・・・エリシアが寝ぼけて入って来た。」


「そっか・・・」



リリーは放心状態で去っていった。

助かった。

・・・まさかとは思うが、変な誤解はされてないよな?






と、エリシアが身じろぎした。


「んぅ~・・・」


エリシアは、ぼんやり目を開けた。



「・・・おはよう」

とりあえず俺は、朝の挨拶をしておいた。


「はい、おはようございます・・・アル。・・・アル?」



エリシアが急速に覚醒し、状況を確認――――


どんどん顔が真っ赤になる。




「アル・・・その・・・どうなってるんですか?」


「エリシアが寝ぼけて入って来た。」




きっと、怒られるんだろうなぁ・・・

エリシアが本気で怒るのって見たことないが、

普段温厚な人ほど怒ると怖いっていうし・・・





「・・・ごめんなさい、迷惑でしたよね・・・」

が、エリシアは非常に申し訳なさそうだった。



「・・・普通、何故か俺が怒られるところだと思うんだが?」





「アルは、こういうときは嘘はいわないです・・・」



というか、日ごろの尋常ならざる鈍さから、俺の無罪は皮肉にも証明された。

が、俺にはそんなことは分からなかったので、素直に喜んどく。



「・・・そっか。迷惑じゃなかったよ。良い抱き枕だった」





「アル、ありが・・・って抱き枕です!?」


「あ、やべ」

口が滑った。



「――――も、もういいです!朝ごはんにしましょう!」

で、エリシアは着替えてないことを思い出したらしく、

荷物の陰に隠れた。


俺も着替えて朝ごはんかな。

今、馬車は開けた草原でキャンプしている。

魔獣もいるかもだが、ちゃんと見張りもいるし、引率の先生もいるので平気だ。

合宿の時と違って、一箇所にいるしな。


引率の人の一人として来ていた、学食の料理長から朝ごはんを支給してもらい、食べた。





再び馬車の旅が始まる。

することは魔道書の解読・・・なのだが、疲れた。


「よし、ちょっと飛んでくる」

俺は空の散歩に行くことに。

こんな馬車の大所帯なら、離れても見つけるのは容易い。

魔力もたくさんだしな。



「あ、ずるいです!」

どうやらエリシアもついてくる模様。



「・・・いいなぁ。いってらっしゃい」

いまだに魂が還ってこないリリーに見送られ、俺は御者の人に軽く説明し、出発。




「自由に飛びたいな♪<ウイング!>」


「<シルフィード・ウィング!>」


俺はいつもの術で空へ舞い上がり、

エリシアはシルフにもらった指輪で羽を生やして、飛び立つ。

魔法の翼なので、普通の翼より強力だったりする。

まぁ、ドラゴンの翼の方がすごいらしいが。




さて、一気に上空100メートルくらいまであがり見渡す。


「お~、少し山が多いな。」

今は、皇都からそこそこ離れ、大分田舎だ。

まぁ、大きな街道があるのだが、田舎に変わりは無い。

辺りは山が多くなり―――あくまで空から見るとだが。


俺たちがいるのは、のどかな丘陵地帯だ。



「あ!アル、あっちに街が見えます!」


「お、ほんとだ」

馬車の進行方向に、ちいさく街が見えた。

今日は空気が澄み切っていて、遠くまで良く見える。

まあ、この世界は星も遠くも、前世より圧倒的に見えるのだが。


「風が気持ちいいですね・・・」

羽ばたきつつ、ご満悦のエリシア。

どうでもいいが、ホバリングできる翼ってすごくないのか?

・・・あれ、エリシアって白いワンピースをきてるけど、

下から見たら何か見えちゃうんじゃないのか?


と、思ったが、馬車から見て左の山の中に、何か小さく光るのを見つけた。

・・・魔法の光?



「エリシア、9時の方向、魔法光だ」

9時の方向は、真左のこと。魔法光は魔法発動時の光もしくは、単に魔法の光を指す。



「・・・ほんとです。どうしますか?」




「もちろん見に行く」


「ふふっ、言うと思いました」




「シルフ!」


『はい、了解です♪』

即答するシルフ。え、なに?呼ばれてないときは見てないんじゃないの?

思わず聞いてみると・・・


『ご主人様が戦闘モードになってましたので、話をうかがっておきました♪』


なるほど、なんて有能なんだ・・・

・・・ということは、<サンクチュアリ>を使った朝の出来事も知ってる、と。



「まぁいいや!いくぞ、エリシア、シルフ!」


「『了解です!』」



俺たちは、シルフの風と、飛行魔法で、一気に空を翔けた。

<サンダー・ミグラトリィ>は、目立つからやめた。

敵か味方かも分からないときは、こっそり近づくべきだ。



「・・・はぁ、やっぱりこういうのもあるのか」


翔けつけると、商人らしき一団が盗賊に襲われ、

商人の一団の中の、フードを被った少女が無詠唱で魔法を連打することで

なんとか耐えているが、数に押されて、今にも負けそう・・・

といった感じだった。



「アル、いくんですよね?」

エリシアは、もう決定事項のように聞いてきた。


・・・まぁ、そうなんだが。



「よし、盗賊を殲滅、商人の一団を救助・・・のつもりで行こう。

 ただし、状況が分からないので、真っ当な商人か。本当に盗賊か確認する」


そう、もしかするかもしれないし。前世で一回間違えたことあるし。

まぁ、エリシアもいるから余裕だろう。


俺とエリシアは急降下。

で、とりあえず戦いを止めねば。

盗賊?が20人くらいに、商人が7人くらいか?

おそらく、戦い始めたばかりのようだ。

どちらも重傷者はいない。




「双方、剣を引けぇぇ――ッ!

 私は、十二家が一つ、フォーラスブルグ家の者だ!

 貴様たち、一体何を争っている!」



商人?達は驚いて一旦さがり、盗賊?達は、イラついたような雰囲気だったが、

俺の隣のエリシアを見て下品な笑みを浮かべる。



エリシアが若干俺の後ろに隠れる。


・・・とりあえず、こいつらは締め上げよう。



「で、お前たち盗賊が、商人を襲ったということでいいのか?」

俺が問いかけると、騙せるとでも思ったのか、盗賊のリーダーらしき人物が前に出た。



「いえいえ、とんでもございませ―――――」


「<スタン・ブレイク!>」

俺の手から、高電圧、低電流の雷撃が飛び出す

原理はスタンガンと同じ。死なないが、大ダメージだ。

ちなみに、スタンガンと違って、射程は50メートルなら気絶させられる。




「――――ギャッ」

そのリーダーらしき人物は、一撃で昏倒、痙攣している。



「て、てめぇ!何しやがる!」

一気に盗賊?が殺気立つ。

が、殺気立ってるのはこちらも同じだ!


「うるさい!女の子が怖がるくらい下品な目で見るなど万死に値する!

 気絶しただけだ、感謝しろ!」


一気に俺から膨れ上がった気迫―――(というか魔力)に恐れおののく盗賊。

が、




「てめぇら、たった二人増えたくらいで何びびってやがる、

 貴族のガキとお嬢ちゃんも捕まえてウハウハだぜ!」


何を想像しやがったか、一気に盛り上がる盗賊。


・・・よし、手加減いらないな。100%、こいつらは盗賊だ。



「おら、喰らえや!燃え盛る弾丸!<ファイヤボール!>」

盗賊の中のボロいローブが、ファイヤボールを放ち、

一気に他の盗賊も距離を詰めてくる。



俺は、<シルフィード>を抜き放った。


『<ストーム・ディフェンサー>、発動です。黄色い線の内側に下がってください♪』



俺の周囲に暴風の壁が球状に出現。

ちゃんとエリシアも中に入っている。

黄色い線などもちろん無い。

シルフの陽気な声とは裏腹に、暴風の壁は容易く<ファイアボール>を弾き、

前に出ていた盗賊が、巨人に平手打ちを喰らったように吹き飛ぶ。


強力な術は防げないが、雑魚相手なら余裕だ。


オマケもいっとこう。



「疾風と雷、此処に交わる!喰らえ!<テンペスト・ディフェンサー!>」


暴風の壁が一瞬白く発光し、怒涛の勢いで雷撃が放たれる。





――――ズガガガガガァァァン!




見事に盗賊を狙い撃ち♪

全員痙攣している。


さて、唖然としてる商人さんにも、一応話を聞くか。



「あ~、すみません。大丈夫ですか?多分平気だと思いますが、流れ弾とかは?」


俺の言葉に、商人のリーダーらしき中年の男性が仲間を確認。



「は、はい!大丈夫です。ありがとうございます!なんとお礼を言っていいか・・・」


「お気になさらず。むかついたので焼いただけですし。

 あ、一応今後のために事情を伺っても構いませんか?」



そんなわけで、軽く事情を聞いた。

荷物は一応確認したが、普通に食料とか工芸品とか毛皮とか。

村から街に売りに行くところだったらしい。

で、いきなり襲われたと。

で、どんなルートか聞くことで、自然にどこの村から来たのか聞き出した。一応。



「なるほど、ご協力ありがとうございます。っと、こいつらどうしましょうか?」


俺は、のびてる盗賊・・・(商人の人たちに縛ってもらった)を見つつ言った。



「街に持って行けば賞金があるかもしれませんが・・・」


「ああ~、俺はいらないです。こんなでも貴族ですし。

 貴方方が持って行って頂けると助かるのですが・・・」


「・・・すみません、ありがとうございます」



盗賊退治の賞金は意外といい額だ。こいつら20人もいるし。

きっと村の生活の助けになるだろう。

まぁ、盗賊に襲われるなんて不幸な目にあったんだし、それくらいいいだろう。


・・・まぁ、七人しかいない商人が勝ったなんて怪しいかもしれんから、

後で街に着いたら、軽く説明して圧力でもかけとくか。

実は準皇族である十二家の権力は伊達じゃない。


まぁ、ギルドは独立した機構だから、あんまり大きな圧力は無理だし、

するつもりも無いが、今回みたいなのならいいだろう。


その後、俺とエリシアで軽く怪我人の治療をして、

恐縮する商人たちから逃げるように、俺とエリシアは馬車に帰った。








んで、夜。



エリシアがまたしても侵入してきた。


「おいこら、帰れ」


「アル・・・今日は寝ぼけてないですよ?」


「もっと帰れ!」


が、エリシアは帰らない。




「・・・こわかったんです。すごくいやだったんです。あんな目で見られるのが・・・」

エリシアは少し震えていた。




・・・あの盗賊どもめ・・・すこし生ぬるかったか・・・

俺は、あの程度?で済ませたのを若干後悔した。




「だから・・・その・・・アル、一緒にいてください」


「・・・わかったよ」




俺は、エリシアをそっと抱きしめた。









―――次回予告―――


♪~~チャラッ、チャ~ラララ~


「よし、街だー!」

「お買い物です!」

「お兄ちゃん!?どこいくの!?」

「市場さ!」


次回、『市場』!



「短いッ!?お兄ちゃん、短いよ!?」

「いや、どうよ?」

「コメントしにくいです」


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