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銀雷の魔術師  作者: 天城 誠
第三章:三国魔法学校交流戦編・個人戦
33/155

第一話:馬車の旅

*話の長さが足りなかったので、校内戦の残りは、

 決勝戦の中にくっつけてあります。ごめんなさい!

 

 読んでいらっしゃらない方は、お手数ですが先にそちらをどうぞ!

・・・さて、今日は三国魔法学校交流戦が開催される、エディメア共和国に出発する日だ。

ここから、共和国の首都・ディグリスまで、馬車で5日間(あくまで予定)だ。

・・・やっぱり世界って広いんだなぁ。


ちなみに、大会が始まる3日前に着くように出発する。

学校が馬車とか色々用意してくれるが、個人で行ってもいい。

まぁ、そんな面倒な事をするのは上位貴族ぐらいだが。


一応、俺の家も、そんな上位貴族の筆頭だったりするが、気にしない。

まぁ、俺とかエリシアの場合、飛んだ方が速いのだが、魔力消費がきつい。


いや、ドラゴンに変身したエリシアに乗れば・・・


まぁいいや。せっかくだし、旅行気分で楽しもう。


が、問題発生。



なにやら、貴族の女の子と先生がもめてる。


「いやです!これは全て、私の大切な荷物です!絶対に置いてゆきませんわ!」


「だからな、荷物が多過ぎて乗れない奴が出るんだよ!」



・・・どうやら荷物が多過ぎるらしい。

はぁ、面倒な。

同じ馬車の予定だった人も災難だな。




ちなみに、俺と同じ馬車なのは、荷物だ。


一応、説明しておこう。

俺は、交流戦で個人、チーム、軍団戦に参加する。全部だ。

ふざけんな!って感じだが、代わりに出場選手に対する配慮として、

馬車は軽く荷物が積んであるだけ。気楽だ。

あ、御者の人はちゃんといるぞ?

で、御者の人が交代で休む馬車もある。

さすが皇立学校か。

なら、荷物用の馬車あんだろ?って感じだが、あの荷物の量はおかしい。




と、エリシアとリリーがこっちに歩いてきた。


・・・何故か荷物付きで。


「お兄ちゃん、乗せて!」

・・・何を言うのか、この妹は。

寝泊りするんだぞ?この馬車。


「・・・意味がわからん」


「だって、乗れなそうだから。知ってる人で馬車を一人で使うのは、

 全部出場する、お兄ちゃんとローラさんくらいだし・・・」


「ローラに頼め」


「え~!?お兄ちゃんの薄情者!嫌だよ!気詰まりしちゃうよ!」


「俺にも配慮しろ!」


「いいでしょ!兄妹なんだし!」

ああ・・・まだ言ってなかったっけか・・・・



「リリー、俺とお前は本当の兄弟じゃないんだ」




――――空気が、凍った。



「え、嘘でしょ・・・お兄ちゃん?」


「いや、ホントホント。」


「・・・軽すぎない?」



「え、そうか?まぁ、別にいいかな~と。」

で、軽く事情を説明。



「・・・リックお兄ちゃんとエリーは知ってたの?」

なんだかすごく疲れた顔で聞くリリー。


「あ~、エリシアは合宿の時。兄さんはけっこう前。」




「・・・もう!?面倒だから、お兄ちゃんって呼んでいいよね?」


「あ~、いいぞ~」

最早混乱してヤケクソなリリーに俺はあっさり許可。

まあ、これで問題あるまい。

と、思ったが、エリシアが勝手に荷物を積んで乗り込んでた。


「・・・エリシア、何のつもりだ?」



「アル・・・お願いします!アルしか・・・頼める人がいないんです・・・!」

エリシアが上目遣いのキラキラした目で見てくる。





――――やめろ!そんな目で俺を見るなぁぁぁぁ!




「って、その手には乗らないぞ!ダメだっ!」


「・・・アル、前に約束破りましたよね?」

エリシアがにっこり微笑む。可愛いが、怖い。



「・・・なんの事かな?」

俺は往生際悪く、とぼける。


「合宿の時に、他の人を余裕で助けられるようになるって約束です。

 ずっと保留してましたけど、ゴーレム戦は危なかったですよね?

 あと、ユランの爪で背中にケガしてました。

 破ったら何でも一つ、私の言うことを聞く約束でしたよね?」




「なに言ってるんだ、余裕だっただろ?」



「アル、いいじゃないですか。馬車に一緒に乗るだけですから。」


むぅ、確かに物凄いお願いとかされるよりいいけど・・・

・・・仕方ないか。


「わかったよ!はぁ・・・」

気疲れしそうだ。すごく。


「わーい!ありがとお兄ちゃん!」

どさくさに紛れてリリーも入ってくるが、もう何を言ってもきくまい・・・





さて、こうして馬車の旅が始まった。






・・・暇だ。




すご~~~く、暇だ。



これは一人じゃなくて良かったかもしれん・・・

俺は、剣の手入れをしつつ思った。

まぁ、魔法剣と精霊剣なので、磨くくらいしかすることないが。




明日になると、なんか街につくらしいが・・・

前世で新幹線とか乗ってた身としては、暇なこと著しい。

ドナドナ~って感じには既に飽きた。



以前みたいに馬車をブーストするには、数が多過ぎる。



エリシアは本を読んでる。リリーは・・・寝てた。

すごい分厚い本だな、古そうだし。広辞苑か?



「エリシア、何読んでるんだ?」


すると、エリシアは顔を上げ、言った。

「これですか?魔道書です。」



「へぇ~・・・魔道書かぁ」

俺は、少し寝ようかと思い、横になろうと・・・



「魔道書!?」


「市場で売ってた骨董品です。ホンモノかは分からないですよ?」



「・・・俺にも見せて!」






・・・・さて、この魔道書には問題があった。



「読めない!」


「暗号ですね。私も古代語の勉強はしてるのに・・・」



この魔道書は暗号で書かれていた。

実は、ただの筆記体の英語だが(この世界的には古代語)、字が汚い!




「私は全く読めないです・・・アルはどうです?」


「エリシア、これ、字が汚いだけ」




「え!?」


「ほらここ、『実態化した精霊のエネルギーによって』って書いてある」


俺は、せめて若干キレイなところを指差して教える。




「ほ、ほんとです!?」


「だろ?」




「・・・アル、読んで下さい!」


「え~・・・音読かよ」




「え~と。タイトルは・・・『伝説とされる魔法について』アトラス・リーヴェルシア著」



「・・・なんだか凄そうなタイトルです!」



「まぁ、タイトルはな?え~と、精霊憑依術について。

 精霊憑依術とは、実体化した精霊が、体をマナ変換し、術者に憑依する術である」



「・・・アル、マナって何でしょう?」

エリシアでも分からないらしい。珍しい。

俺も、魔力とかと似たような不思議エネルギーってイメージしかないな。



「悪い、俺もよくわからん。というわけで・・・シルフ~!」



『よばれて飛び出てジャジャジャジャ~ン?おはようございます、ご主人様♪』

半透明のシルフが現れる。


なんか、いつも元気だよなぁ・・・


「シルフ、精霊憑依術と、マナについて知ってるか?」


『憑依ですか?ある程度以上の力の精霊がつかえる奥義ですね。

 使用者の能力は短時間のみ、大幅に強化しますが、反動も大きい捨て身の技です。

 マナとは、魔力を変換して作るエネルギーですね。

 その方が強力なのですが、人間には不可能と言われています。』



「へぇ、どうやってやるんだ?」



『憑依は私を実体化させて頂ければ使えますが・・・

 マナは魔力を圧縮する感じでしょうか?』



さっそくやってみるが・・・



無理だった。

圧縮しようとしても反発が凄い。

エリシアもできないみたいだ。



『マナはエルフの熟練魔術師ですら、できるのは稀ですから・・・

 ドラゴンでも、特に強力な固体でなければ使いません。』



むぅ、悔しい。



「なぁ、シルフ。マナの利点って他に無いのか?」



『えっと、そう!高濃度魔力ですから、短い詠唱で高威力の魔法が使えます♪』



「・・・めちゃくちゃ強いじゃねぇか!?」






そのあと、俺とエリシアと、起きたリリーで、夜までマナ精製の練習をしたのだが、

全くうまくいかなかった。晩飯はちゃんと食べたが。



「おにいちゃん・・・魔力の練りすぎで頭いたい~・・・」


「・・・俺もだ」


「大丈夫です?」


エリシアは平気そうだ。さすがドラゴン。

俺は疲れた。



「んじゃ、俺寝るから。おやすみ」

俺は、布団を敷きつつ言った。


「あ、お兄ちゃんお休み~」


「おやすみなさい」





俺は、布団の周りに、荷物でバリケードを作って寝た。

理由は推して知るべし。


この日は若干寒かった。


のだが・・・



「・・・アル~・・・寒いので入れてください~」


寝ぼけたエリシアが乗り越えて来た。



「ふざけんな!帰れ!」


「アル~・・・寒いです~・・・」



エリシアは全く話を聞いていない。

勝手に布団に潜り込んで、俺の腕に抱きついてきた。


・・・やわらかい・・・じゃなくて!


俺は、エリシアを早急に回復させるべく、肩をゆする。



「起きろ、エリシア!寝ぼけるな!寒いならリリーのとこに行け!」


「・・・アル~?女の子どうしで抱き合って寝たら変ですよ~?」




「ええい!男女のほうがまずい!お~き~ろ!」


「アル~、男の人同士を想像すれば、そのまずさが分かります。やめたほうがいいです~」




「確かに絶対アウトだな」


「ですから~、わたしはアルとねます~・・・くぅ・・・」


エリシアはそう言って、目を閉じた。




「・・・はっ!?おいコラ!起きろ!」


が、エリシアは起きない。物凄い幸せそうな顔で寝てやがる。

くっ、エリシアの体が柔らかくて気になる!


もう、なんかヤケになった俺は、エリシアを抱き枕にして寝た。

よく寝れた。意外といいかもしれん・・・








――次回予告――


♪~チャラッ、チャラララ~


「リリー!今日は起きてる!大丈夫だ!問題ない!」

「お、お兄ちゃん!?なんでそんなに強硬なの!?」

「よし、ちょっくら飛んでくる」

「あ、ずるいです!」

「・・・はぁ、やっぱりこういうのもあるのか」



次回、銀雷の魔術師、第三章・魔法学校交流戦編・前編の第二話!

   『散歩は波乱を呼ぶかもしれない』



「アル、長いです!?」

「ふっ、長いほうが楽しくないか?」

「お兄ちゃん、めんどくさいよ!?」



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