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第三話:Memory
此処は街の外れにある山だ。
俺は、呼ばれて頂上に向かっていた。
もう日が沈み、暗いが、今日は星が明るかった。
この山はそんなに大きくない。
ほんのすこし歩けば、頂上はすぐだ。
そして、頂上にある広場についた。
どうやら先に来ていたようだ。
風にたなびく髪が見えた。
「誠司・・・目を瞑って」
俺は、言われたとおりに目を瞑り―――
俺は、前世の記憶は全部持っていると思っていた。
でも、何故か思い出せないことがある。
相手は、灯だっただろうか?
本当に?
俺は誰かを好きだっただろうか?
俺は、誰かを愛していたのだろうか?
思い出せないのは、忘れているから?
俺は―――