表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
銀雷の魔術師  作者: 天城 誠
Episode:Zero
30/155

第一話:Encount

俺の名前は天城あまぎ 誠司せいじ

ただの高校生だ。

まぁ、この状況だと若干・・・2つほどの語弊があるがな。



さて、俺の視界は真っ暗だ。

そして、心地よい温もりに包まれている。




・・・勘のいい方は、お察しだろう。






「お兄ちゃん、起きろーーーー!」


妹の理香が俺の布団を引っ張る。



「はぁ、なんで朝はやってくるんだろうな?」


「お兄ちゃん!なんでもいいから起きてッ!」



やれやれ、健気な妹だ・・・



「理香、今日は俺は病気だ。突発性・布団出たくない病だと学校に電話してくれ」


「嫌よ!?何その恥ずかしい病名!?お兄ちゃんより私が恥ずかしいよ!」




「え~、いいじゃんか~。誰もが一度はかかるだろ?」


「そんなので始業式を休むのはお兄ちゃんくらいですっ!」


そう、今日は俺と理香の入学式なのだ。

別に幼馴染に兄と呼ばせている訳じゃないぞ?

正真正銘、血の繋がった兄妹だ。

こんなんでも双子なのだが、二卵性なので似てない。



「始業式なのにこんなに寒いのが悪い!」


「ひっさ~つ!ドロップキーック!」



いきなり理香が俺にとび蹴りを放ち、俺は轟沈した


「ぐはぁぁぁぁ・・・」



「さあ、いくよお兄ちゃん!」


「ぐおおおっ、寒い~~!嫌だ~~~!」


俺は理香に引きずられてリビングへ行き、朝食をとった。

まぁ、俺も流石に入学式を休むのはまずかろうと思っていたので、

ちゃんと準備を始める。









♪~~ブー!ブー!ブー!








『緊急事態発生、始業式の時間が接近!総員、第一種戦闘配備、急げ!』



『―――お兄ちゃん少佐、始業式の時間が接近しています!迎撃を!』


『了解!誠司少佐、出撃準備に入ります!』




『お兄ちゃん少佐!外は冷気が激しいです!手袋の着用を!』


『こちら誠司少佐、了解だ!さらにマフラーの着用を許可してくれ!』




『そんな!?マフラーまでですか!?・・・そんなに・・・手ごわい相手なんですか?』


『ああ、だが理香、必ず帰ってくる。応援していてくれ』




『・・・分かりました。必ず・・・帰って来てくださいね』


『おう!』




『第一ゲート、オープン!進路クリア!オールグリーンです!』


『靴、セットOKだ!』



『戸締り、火の元、オールグリーン!』


『弁当セットOK!マフラーの感度良好!』



『発進、どうぞ!』


『フルアーマー・誠司、いきま~す!』





という感じで俺は出発した。

え、伝わらない?


・・・じゃあ、重装備ってことだけ伝わればOK!



さて、そんなわけで、俺と理香は学校へと歩く。

今日から俺が通う、暁ヶ丘高校は、俺達の家から歩いて約十分。


町の中にある高校で、住宅街を通っていく。

と、長い黒髪の女の子が、男三人に囲まれてるのが見えた。


「あ、理香、先行ってて」


「お兄ちゃん・・・うん、頑張ってね」


「おう!」


とりあえず、近づいて話を盗み聞く。

勘違いだと最悪だしね?


「ねぇ君~、かわいいね~。ボクらと一緒に遊ばない?」


「・・・学校があるんですけど?」


「いいじゃんか、学校くらいさぁ~」


とりあえず、女の子が嫌がってるのを確認。

さて、どうするかな・・・ま、いっか、いつもので。




「Oh~! I thought where are you! Nice to meet you!」

直訳:(お~! どこにいるかと思ったよ! お会いできて嬉しいです!)


俺は、発音だけ流暢に英語を話しつつ、三人の男の間をすり抜け、女の子に話しかけた。




「Very Sorry! My friend gave you trouble!」

直訳:(とってもごめんなさい!俺の友人が迷惑をかけた!)


俺はそのまま、華麗に撹乱しつつ、少女の手をとって逃げようと―――



「まてや、コラ!なんだてめぇ!」


「Hi! I`m Jack Smis! Oh my god! It`s high time to go to school…Good Luck!」


直訳:(やあ!ボクはジャック・スミスだよ! おお、神よ!

        もう学校にいかなくてはならない時間だ!・・・幸運を祈る!)



したのだが、不良の一人に肩を掴まれた。



「ふざけてんじゃねぇぞ!どう見ても日本人じゃねぇか!」



「ちっ、面倒な。我は汝らと関わる気ナッシングデ~ス!じゃあな!」


俺は、肩を掴んだ不良を足払いで撃沈し、少女の手をひきつつ逃げた。



「まてや、コラ!」


追ってきた。

とりあえず、角を曲がりつつ逃げる。



「どうして助けたの?」

少女が走りつつ聞いてきた。



「ん~、助けたかったから。助けないことには理由が必要だが、

 助けるのに理由は要らないってのが俺の信条なんだ。

 それに・・・まだ助けきれてないし・・・お、ココだココ。」



後ろから追って来る三人は、まだ追いかけてくるが、

ここまでくれば俺のもの!



「なにかあるの?」

少女が、そのただの家にしか見えないのを見つつ、言った。



「この庭にな。」

若干戸惑う少女を連れて、庭に入る。


これで諦めてくれれば良かったのだが、不良達も乗り込んでくる。


「オラオラ~!行き止まりだぜぇ~!」


はぁ、仕方ない。








「我が贄を糧に・・・顕れよ!地獄の番犬!<ケルベロス!>」









俺は、カッコよく呪文を唱え、懐からひき肉を取り出す。

その匂いにつられて、『暁ヶ丘のケルベロス』こと、グルちゃんが背後から現れる。


グルちゃんは、ラブラドール・レトリバー (飼い主談)の黒犬なのだが、

ラブもドールも皆無だ。通常の3倍の巨体を誇り、しかし引き締まったボディ。

太ってるのではなく、デカいのだ!ムキムキである。フサフサでもあるが。

ちなみに3倍は若干誇張である。


更に、その顔は怒っていなくとも子どもが泣き出し、

戦闘モードになると、失神すらさせる悪鬼の顔と化す!



のだが、甘えてくると意外にも普通に可愛い。

しかも、勝手に吠えることなど皆無だ。

懐いた相手の命令には絶対服従。異議など唱えない。



俺と飼い主さんにしか懐かないが、そんなことは関係ない。

グルちゃんの優しさを知る子どもには大人気だ。



なら、何故『暁ヶ丘のケルベロス』などと呼ばれるのか?


・・・全ては俺のせいだったりする。


俺は、ひき肉(軽く焼いてあります)をグルちゃんにプレゼント♪




「グルちゃん、敵&飯だ!ゴー!」


「グガァァァァ!」




「「「ぎゃあああぁぁぁ」」」


閑静な住宅街に、男の悲鳴が響いた。



きっとみんな、ああ、また天城んとこの小僧だな。と思ってる。

そう、俺がグルちゃんで人助け&自己防衛 (過剰だが)

をいつもするために、こんな称号が付いた。



が、グルちゃんの飼い主の大貫さんは、グルちゃんと同じくいい人で、

「人助けならバシバシやれ、気にするな」とのお墨付きを貰っている。


で、撃退完了!


「よ~し、よ~し!さすがグルちゃんだ!グッジョブ!」

俺は、グルちゃんを撫でてやりつつ、追加でソーセージをあげた。



「・・・かわいい」

少女がぽつりと呟く。


「おおっ、そうだろ!グルちゃんは可愛いんだ!君もソーセージあげてみる?」


「・・・うん」

少女がおっかなびっくりソーセージをあげ、グルちゃんがおいしそうに食べる。


グルちゃんは尻尾を振って甘えている。

おお、なんて珍しい。


「おお、グルちゃんが懐いた!おめでとう!これで呼べば助けに来てくれるぞ!」


そう、懐けば、グルちゃんは呼べば来てくれるのだ!ものすごく賢い。

だが、その駆けつける姿を子どもが見ると怖がるので、

なるべく呼ばないのが好ましい。



「・・・?リードは付いてないの?」

少女が不思議そうに言う。


「平気。グルちゃんは他の犬より強く、賢く、そして優しい!

 信号は青を待ち、落とし物は交番へ。迷子も優しく交番へ。

 お年寄りの荷物を持ち、そして不良を撃退する!」



「―――すごいわ・・・!」


「そう、だから絡まれたら呼べば・・・・う~ん、この街なら大抵来てくれる」


「・・・声が届かないんじゃない?」



「まあ、そうなんだが・・・」

そう言いつつ、俺は懐から三本の笛を取り出す。


「これが、グルちゃん召還の笛だ!」

これは、お手製の犬笛・・・人には聞こえないが犬には聞こえる周波数の音を出す・・・

であり、相当遠くまで響くのだ!

近くで吹くと、犬が迷惑そうな顔をするので、やめよう。


「んで、一本あげるよ」


「・・・いいの?」


「ああ、グルちゃんが懐いたのはまだ三人目だからな」


「・・・ありがとう」

少女は、そう言って微笑んだ。

笑った少女は相当に可愛かった。絡まれるのも納得。

で、笛を一本あげて、大貫さんに軽く挨拶したのだが・・・



「おい、誠司、学校はどうした?」

大貫さんはおっしゃった。


俺は少女を見た。

少女も同じ制服だった。


登校時間は、もう、すぐ。


俺は少女を凝視。

背は低いし痩せてる。相当軽いだろう。



「ちっ、仕方ない!おやっさん!グルちゃん借りる!」


「へっ、まあ女の子の為ならしかたねぇ。グルちゃん!誠司に力ぁかしてやれ!」


「・・・どうするの?」



俺は、驚く少女を抱え上げ、グルちゃんに乗せた。


「ヘィ!タクシー!三丁目の学校まで!」


「――――アォォォォン!」



少女を意に介さず、グルちゃんは、猛スピードで街を駆け抜けた。

俺も、足の速さには自信がある。






俺と、少女を乗せたグルちゃんは、凄まじい速度で街を駆け抜け、ギリギリ学校に着いた。


「よし!サンキュー、グルちゃん!」

俺は秘蔵のビーフジャーキーをグルちゃんにあげた。


「ありがとう、グルちゃん。」

少女がグルちゃんの頭を撫でるが、時間が惜しい。


俺は、少女の手を引いて張り出されたクラス票を見る。

俺の苗字は天城あまぎだから見つけやすい!


「あった、A組か!・・・っと、そういえば君の名前は?」



「―――私は天川あまかわ あかりです」





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ