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銀雷の魔術師  作者: 天城 誠
第二章:三国魔法学校交流戦編・校内戦
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第六話:黄昏の決勝戦

俺は、校庭に向かっていた。

もうすぐ決勝戦だ。

エリシアとフィリアは棄権・・・


「ん?シルフ、精霊って実体化中にやられるとどうなるんだ?」


『はい、ご主人様。消滅させられますと、溜めていた魔力が全て消滅します。

 魔力の溜まり方は精霊によって異なります。

 私は風から魔力を得ますが、他の精霊は熱や空気中の水分など様々です♪』


へ~、そうなんだ・・・って、あれ・・・!?



「・・・シルフ、さっきの見てた?いや、聞いてた?」


『・・・?呼ばれた時か、実体化している時以外は寝ていますが・・・

 あ、あと魔力が活性化したら起きますが・・・なにかありましたか?』



おっと、あぶないな

「いや、たいした事じゃないんだが、エリシアとフィリアは棄権したんだ」


『あ、ということは決勝戦ですね、頑張ってください、ご主人様♪』


「おう!」


と、シルフが剣の中に戻ったようで、気配が消える。






と、ついさっきのことを思い出す。



『―――アル、目を瞑って下さい』




・・・柔らかかったな。


・・・はっ!?

これから決勝戦だぞ!?何を考えてる俺!?



あれ・・・そういえば・・・



『きっと斜め方向に勘違いされます・・・』



・・・言ってたな。え、今の俺の思考が斜め勘違い?

実は単なるお礼?

いや、んなわけないだろ!?



あれは・・・あれ?キスだよな?

目を瞑ってはいたが・・・多分?




・・・前世で一度キスしたことがあるが、あの時も目を瞑ってたから分からん!




んぁ~~~・・・・




「―――――次、決勝戦はアルネア・フォーラスブルグ対、ローラ・フィリスタイン!

 両生徒は指定位置につけ!」




・・・試合が始まってしまった。

そうだ、絶対勝つように言われてたっけ・・・



俺は位置につき、ローラと向かい合った。

ローラは、今までは持っていなかった、金の柄の長剣を持っていた。



「ローラ、よろしくな」


「――本気、みせて」




「ああ、手を抜く気はないぞ?」


「――でも、本気でもない。女の子相手だと本気はムリなの?」




「む、確かにやりにくいな」


「・・・そう・・・じゃあ、本気になってもらえるように、がんばる」





「――――構え!」


学園長の声が校庭に響き、観戦する生徒の前にバリヤが張られる。



ローラがその剣を抜き―――


その黄金の刀身が露わになる。


<シリウス>は魔力がまるで閃光のようだったが、

それは魔力が見えない人間には見えない光だった。


だが、その剣は、確かに光っていた。

単なる太陽の反射ではない。

今はもう、日が沈みかけている。


まるで、星のように光っていた。



「これが私の魔法剣<アストライオス>――――」




俺は、<アウロラ>と、<シルフィード>を抜いた。



『おはようございます、ご主人様♪』


「なぁ、シルフ、別の呼び方は無理なの?」


『え~・・・このほうがなんだかしっくり来ませんか?』


「はぁ~~・・・」

俺は、重い溜息をつく。




と、ローラがポーカーフェイスから、真剣な表情になり――――


「これが私の全力――――!」


ローラの魔力が一瞬にして膨れ上がる――――!





「――――んな!?」



魔力が一気に膨れ上がったローラの瞳は、

いつもの緑ではなく、金に輝いていた。



「―――そっちも、何か隠してる」

今度はいつものポーカーフェイスで指摘するローラ。

なんで見破られてるんだ?俺ってそんなに分かりやすいか?


・・・仕方ない!



――――魔力、全開!



俺の瞳が銀に輝き、魔力が一気に増加する。


「シルフ!ローラが何か召還するまでは待機!

 移動補助と、可能なら風で援護頼む!」


『了解です!』



「―――――試合、開始!」



試合開始と同時に、お互い一気に距離を詰めつつ、魔力を練る。



『銀の雷!虚空を切り裂け!<サンダーボルト!>』


『金の氷!全てを氷結させよ!<ブリザード!>』




俺の手から銀の雷が、ローラの手から金の氷弾が飛び出す―――


―――<氷>属性!





――――ズガァァァン!



校庭の中心で激しく激突し、周囲に氷と電撃を撒き散らす。


が、俺は気にせず突っ込む。

たとえ実体化してなくとも、この程度はシルフが防いでくれる!


砂煙を割って飛び込むと、向こう側からローラも金の剣を掲げて飛び込んでいた。



俺は、<アウロラ>と<シルフィード>で切り掛かり――――


『<―――ミラージュ>』



ローラが右手の<アストライオス>と、左手で迎撃する。






――――ガキィィン!




やはり、見えない刃―――おそらく魔力の氷でできている―――

が、あるようだ。

鍔迫り合いになる。

俺は力で押し込もうとするが、

ローラもどこにそんな力があるのかという力で押しとどめる。




――――なら!




『<サンダーブレード!>』

『<フリーズブレード!>』



俺の雷と、ローラの氷が、互いに侵食せんと押し合う。


「―――やるな、ローラ!」


「―――このくらいなら、普通。」





「――――せぃっ!」

「――――はぁっ!」



同時に鍔迫り合いを解き、距離をとる。

一気に攻める!


『引き寄せる不可視の力!<マグネティション!>』

『万物を凍てつかせる氷結の結界を此処に!<コキュートス!>』




俺が砂鉄を集めるが、ローラの周囲の空気が一斉に冷気に侵食される





『ご主人様!』


シルフが俺を風で後方に運び、俺は冷気に対抗すべく、魔力を練る。






『我が風の盟約の剣よ!銀雷によりて、天翔ける雷となり――――』


『虚空を切り裂け!< 疾風を司る四源の雷砲シルフィード・サーマルブラスト!>』





ありったけの魔力を込めた<シルフィード>が、風と銀雷を纏い、輝く。

が、ローラも黙って見ていない。





『絶対たる氷結を、此処に―――何者も動けぬ零下の境地――――』


『凍てつく世界―――<――絶対零度(アブソリュート・ゼロ)!>』




<シルフィード>が流星と化して襲い掛かり、<コキュートス>を吹き飛ばすが―――

ローラの剣から金に輝く絶対零度のレーザーが放たれ、激突する。




――――ガキィィィィィィン!





<サーマルブラスト>と<アブソリュート・ゼロ>は互いに一歩も譲らず、

破壊を撒き散らす。

俺は、ついでに砂鉄も飛ばすが、防御は破れない。



校庭の地面がひび割れ、温度がみるみる下がる。



俺の<マグネティション>で磁場が乱れ、

さらに、プラズマが発生した校庭にオーロラが現れた。





「―――きれい。」

思わずと言った風に呟くローラ。




「・・・やっぱり、初めて見たのか?」

俺は、つい気になって、聞いた。



「―――ホンモノを見たのは。」



「そうか・・・――――ローラ、次が俺の最高の一撃だ」


「―――わかった」




俺とローラの魔力が更に膨れ上がり、ローラの髪が金色に輝く。





『――創世の雷光よ、我が剣に集え――』

『――其は知性と創造を司る光―――!』

『聖なる銀よ!銀雷と極光によりてその身を弾丸と化せぇぇ―――ッ!』





『――星空を司る黄金の剣よ―――』

『――星海の無慈悲な氷結を此処に―――』

『絶対零度において―――唯一輝くは星の光!その力を示せ――――!』








『<創世の極光(オーロラ)四源の雷砲(サーマルブラスト)!>』


『<絶対零度の星光(スターライト・ゼロ)!>』









俺は放った<アウロラ>をプラズマ加速!

銀とオーロラの弾丸となって突進する。




同時にローラも<アストライオス>に、

空気だけでなく、魔力すらも凍らせるかのような冷気を纏い、迎え撃つ。









―――――――激突した<サーマルブラスト>と、<スターライト・ゼロ>は

凄まじい爆発を引き起こした。






俺は<アウロラ>と<シルフィード>を投げて攻撃していたが、

ローラは手に持っていた。

必然的に、ローラの方が爆発から近くなり――――









「――――勝者、アルネア・フォーラスブルグ!」





爆発が収まると、ローラは数メートル吹き飛ばされ、

<アストライオス>が地面に転がっていた。



「おい、大丈夫か!?」

俺は、慌てて駆け寄り、ローラを抱き起こした。


「―――だいじょうぶ。ちょっと吹き飛ばされただけだから」

というローラだが、俺は肘が擦れて傷になっていた。


「聖なる光よ、此処に!<ヒール!>」

流石に擦り傷にリヴァイブはアレなので、ヒールで治す。


「ありがとう。」

ローラはにっこりと微笑んだ。


「おう。まぁ、俺のせいだが・・・」



「ううん、勝負だもの」




「おいお前たち、静かにしろ!表彰式を始めるぞ!」

この交流戦は、3位決定戦を行わず、1位に準決勝で負けた生徒が3位となり、

2位に準決勝で負けた生徒が4位となる。

まぁ、特に景品とかあるわけでもないしな。


学園長が騒ぐ生徒を静めつつ、こっちに歩いてきた。



「アルネア、ローラ、すばらしい戦いだった!

 が、お前たち、強過ぎじゃないのか?」


若干呆れ顔で言われた。なんだよ、頑張ったのに。


「まぁいい、これでお前たちは個人戦に参加決定な」



「げ、忘れてた!?」

「・・・あ。」



「・・・お前たち・・・はぁ。」




その後、俺とローラは表彰され、その日の授業は終わった。







俺は、一人校舎を歩いていた。

ある部屋の前で足を止め、扉を叩いた。



「――――はい?」



俺は、扉を開け、中に入った。



「エリシア、大丈夫か?」


その部屋―――、保健室に入ると、開いた窓から風が吹き込み、

エリシアの髪が風にたなびいた。


「はい、大丈夫です。・・・アル、ありがとうございます」


「・・・心配するのは当然だろ?」


「家族だから。ですか・・・?」


「あ、ああ」




「むぅ~・・・先生、もう帰ってもいいですか?」


「はい。大丈夫ですよ。アルネア君、エリシアちゃんが可哀想ですよ?」


「はい!?」

なんか保健室の先生に名前を知られた上、なんか言われた。


「せ、先生!?」

エリシアが真っ赤になって慌てる。むぅ、可愛い。




「・・・エリシア、帰るか」


「・・・はい」




――次回予告――

Episode:Zero


『必ず、帰ってくる』

『そんなに・・・手ごわい相手なんですか?』

「・・・ありがとう」

「ヘィ!タクシー!」



「よし、今日の次回予告はこんなのでどうだろう?」

「お兄ちゃん・・・・何してるの!?」

「アル、これは詐欺です。特に前三つが。」



「え~・・・だめ?」

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