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銀雷の魔術師  作者: 天城 誠
第二章:三国魔法学校交流戦編・校内戦
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第五話:想い



俺は保健室にいた。

エリシアが目覚めなかった為だ。

<リヴァイブ>は、傷は治せるが、魔力は回復しない。

魔力が枯渇すると、意識を失ったり、ふらついたりする。

あまりに酷い場合は、死に至る場合もある。


一応、魔力を回復させる方法もあるにはあるが、普通使わない。

しばらく休めば治るからだ。




フィリアの傷は浅く、ほとんどダメージは無かった。

今は、どこか外の風をあびに行った。

保健室の先生はどこかへ行った。



だから、今は俺とエリシアしかいない。




「・・・・エリシア」



声をかけるが反応が無い。



俺は、少し苦しそうなエリシアの頭を、そっと撫でた。








「んぅ~・・・アルぅ~」



・・・あれ、なんか深刻な空気じゃなかったっけ!?

エリシアの寝言で空気が和んだ・・・


・・・なんかむかついた。

人がこんなに心配してたというのに!


よし、なんか悪戯してやる・・・覚悟しろエリシア!




・・・どうしたものか?



エリシアは何故か幸せそうな寝顔を晒している。



・・・あれ、そういえば二人きり?



これって・・・




はっ!?俺は今何を考えていた!?




落ち着け~俺は紳士だ~アイム・ジェントルマ~ン!



よしよし、パ~フェクトにジェントルマ~ン!



落ち着いた!




・・・よし、耳に息を吹きかけてみよう!(何故そうなった!?)




ふぅ~


息を吹きかけると、エリシアのからだが若干震えた。



「ひゃふんっ・・・アルぅ、らめぇ~・・・」




・・・エリシア、何の夢をみてるんだ?




と、なんかエリシアが小声で呟く。


「アル~・・・わたし・・・・」



気になったので顔を近づけて聞き取ろうと―――



エリシアがいきなり目を開けた。


至近距離で目が合った。


俺は、寝言を聞き取ろうと体を乗り出していた。

この体勢だと、覆いかぶさっているように見えなくもない・・・



あれ?やばくね?

・・・互いに無言で見つめ合う。

エリシアの顔が段々赤くなってく。


「・・・アル、状況を説明して下さい・・・」


「オーライ!」

よくわかんないテンションで返答。



「アル、どうして・・・その・・・あんな姿勢だったんです?」

真っ赤なエリシアに尋問される。



・・・どう答えるべきか?

いいや!正直に言っちゃえ!


「・・・寝言を聞き取ろうとしてました」



途端、エリシアが硬直した。



「ア・・・ル、私、何か・・・言ってましたか?」


「いや、聞き取る前に起きた」

一応事実だ。半分ほど。



「そ、そうですか・・・よかった・・・」

かなりほっとした様子。


よし、助かった。


あ、そうだ。

話を逸らすのにいい話題があった。



「エリシア、なんで俺の術が使えたんだよ?」


「あ、それはアルが昔私に使った隠蔽電流をコピーして、

 そこからアルの真似で発展させたんです」


そういえば、受けた術を習得できるんだっけか・・・


「くっ、なんか悔しい・・・」


「でも、アルより溜めが長いですし、磁力みたいなのは無理ですよ?」




―――コンコン。


「はい?」

ドアがノックされ、エリシアが返事をする。


学園長が入ってきた。


「ああ、大丈夫そうだな」


「はい、大丈夫です」

エリシアは軽く頷いて答えた。。



「・・・さて、エリシア、準決勝だが、どうする?」


「・・・もう魔力も使い果たしましたし、これじゃあアルに気を使わせるだけです・・・

 フィリアさんはどうですか?」


「残念だが、無理そうだな。仕方ない。アルネア、不戦勝だ。

 もうすぐ決勝だ、遅れるなよ。」

そう言って、学園長は背を向け、出て行った。




・・・また二人きりになってしまった。


と、エリシアが真っ直ぐに俺を見た。


「アル、すぐに来てくれて、嬉しかったです」

恥ずかしそうに微笑みながら、エリシアは言った。



「ん、ああ。・・・エリシアは無茶しすぎだぞ」



「アル・・・(もはや驚異的な鈍さですっ!)」



なんか小声で聞こえた気がする。

「エリシア、ハッキリ言ってくれないとわからんぞ?」



「もう、ハッキリ言っても伝わらない気がしてきました・・・

 きっと斜め方向に勘違いされます・・・」



「なんか知らんが酷い言われようだな・・・

あ、やばい、そろそろ行かないと。」



「むぅ~~、じゃあアル、目を瞑ってください。」



「え、何ゆえ?」



「・・・目を瞑ってください」



なんだかすごい真剣なエリシアに押されて目を瞑った。


「いいと言う前に目を開けると目潰しが来ます」


「なんだと!?」


仕方なく目を瞑って大人しくしていると・・・





甘い香りがして、唇になにか、すごく柔らかいものが―――



「エ、エリシア?」


「アル、もういいです。絶対、勝ってくださいね」



目を開けると、恥ずかしそうなエリシアの顔が目の前にあった。



俺は、若干放心状態で校庭へ向かった。





「・・・アル、だいすきです」


アルが去った後、エリシアはそっと呟いた。





―――次回予告―――


♪~~チャラッ、チャ~ララララ~~



「これより、決勝戦を開始する!」

「・・・シルフ、さっきの見てた?いや、聞いてた?」

『頑張ってください、ご主人様♪』

「―――そっちも、何か隠してる」

「――――んな!?」

「これが私の全力――――!」

「<―――ミラージュ>」

「その身を弾丸と化せぇぇ―――ッ!」



次回、銀雷の魔術師、第六話:黄昏の決勝戦


なんだか話が変な方向に来てしまった・・・

見切り発車恐るべし。

もはや、何が起こるか筆者にも予測不能です。

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