第二話:校内選抜戦の日
すみません、見切り発車の弊害が出ました。
チーム戦の人数を3人から4人に変更いたしました。
さて時間というのは、はやいもので、
今日は校内選抜戦の日だった。
俺は、何度かチームに誘われたりしたが、断り続けた。
のだが、別に俺がチームを作るわけでもない(出る気がないから当然だ)
が、今まで色々目立っていた俺の動向は意外と注目されていたようで・・・
話してないが、入学試験などでもかなりやらかしてるし、
常に美少女・・・(エリシアとかリリーとかエリスとか)が周囲にいるし、
フィリアへの態度が無礼だったのは、瞬く間に学校を駆け巡った。
んで、因縁つけてきた貴族を軽くあしらったりもした。
しかも、フィリアもチームを結成しない始末。
サバイバルで2位の成績だった、ローラ・フィリスタインもチーム不参加。
3位のエリシアも、なるべく戦いたくないらしいし。
(サバイバルは結局一週間やったのだが、順位は大して変化しなかった。
また、学園長も半日お説教しただけ・・・・だけ?で解放してくれた)
ちなみに、サバイバル4位はフィリアである。
そんなわけで、なんとな~くチーム結成しないほうがいいのか?
というかどうなってんだ的な空気が蔓延し、1学年からは、2チームしか出なかった。
(5チーム必要である)
俺は、どうすんだろ?と思っていたのだが・・・
のだが、校庭で選抜戦をやる前に、学園長からお呼び出しを受けた。
学園長室に行くと、チーム登録してた2チームと、エリシア、リリー、フィリア、エリス、
と、何故か例の銀髪少女と、あと十二家の生徒等・・・つまり強い面子が集っていた。
あ、前に言ったとおり、貴族の血筋=魔力が強い血筋であり、
貴族はたくさん子どもを作る。
一夫多妻も禁止されてないので、筆頭貴族の十二家の子どもはすごく多い・・・
いやだねぇ・・・
まぁ、この世界だと国力増強の基礎だったりするのだが・・・
あ、学園長室は普通の校長室っぽい部屋だった。
学園長が立派な机に肘をついて座っている。
と、学園長が重々しく口を開いた。
「・・・お前たち、何故チーム戦に参加表明しない。
三国交流戦は、互いの力を競い合うと共に、親善試合の役割もあり、
有事において連携を取りやすくするという意図のほか、
互いの戦力を見せ合うことで隠し事を無くし、下手な疑心暗鬼を無くそうという、
三国同盟締結時の三国のトップがその友情の証とした大切な行事なのだぞ・・・」
それなのに戦力を温存したなどと言われそうな事しやがって!と言外に責められた。
外交問題だバカヤロー!って言われてる気もする。
とりあえず俺たちは無言。
が、学園長が俺を凝視してくる。
おら、何とか言えや。って感じだ。正直怖い。
・・・仕方ない。
「学園長、俺にはチーム戦の経験など無く、また、対人戦の経験もほぼありません。
というか俺の術は危険です。死人がでますよ?だから無理です」
俺は釈明。
学園長は次にフィリアを見た。
「私はチームが決まらなかったので」
しれっと言うフィリア。俺の名前を出さずにいてくれたのはかなり有難い。
次に学園長はエリシアを見た。
「私はチームを率いる器ではないですし、
かといって変なリーダーに従うのは断固拒否します。
いやらしい目の変態なんて論外です」
・・・エリシアは学園長にも遠慮しない。ほんとに嫌なんだろう。
次に銀髪少女。
「・・・右におなじです」
さらに素っ気なかった!?
・・・なんか俺だけ怖がってるみたいじゃん!・・・悔しい。
で、次にリリー。
「その・・・私は実力不足かなぁ~と」
あ、リリーは遠慮してた。いや、本心か。
で、他の面子は、フィリアとか俺とかの有名所が動かないから様子見してたとのこと。
で、学園長はしばし考え、言った。
「アルネア、お前が出ないと国際問題だ、出ろ。というか面倒なだけだろお前。
十二家かつ、トップの成績で入学したお前が出ないのは不自然だ。
三国の強力な治癒術士が集まるから負傷の心配はいらん。今までも色々あった。」
と言って、学園長は難しそうな顔をした。
「問題はお前たちか・・・フィリア、あてはないのか?
エリシアは誰ならいいんだ?いないのか?
ローラ、お前も誰かいないのか?」
と言った学園長に・・・
「じゃあ、アルをください」
と、フィリア。
「アルならいいです」
と、エリシア。
「じゃあ、この人」
と、銀髪少女が俺を指差しつついった。
え、この子がローラなの?
この、ぽわ~っとした子がサバイバル2位だと!?
と、学園長が更に難しそうな顔をした。
「あのなぁ、お前たち全員を1チームに集めると戦力が集中しすぎ・・・
いや、アリだな。」
ええ~!?アリなのかよ!?と叫びそうになるが、こらえる。
学園長は、はっは~!今年の優勝はもらったな~などと言っている。
が、
「いや、まてよ?リーダーはどっちがなる?」
学園長は俺とフィリアを見た。
フィリアは皇女だが、エリシアとローラは俺をご指名である。困った。
が、問題はあっけなく解決。
フィリアが、
「アルのチームなら全然いいですよ?」
と言った為だ。
俺、そんなに何かしたっけ・・・?
兎にも角にも、なんかドリームチームが結成されてしまった。
学年上位を上から選んだだけというトンデモチームだ。
俺とエリシアはともかく、連携が不安だ・・・
とりあえず、選抜戦の前にミーティング・・・をする時間もない。
もう始まる。(俺が寝坊したのが原因だ)
まぁ、チーム戦の前に個人戦があるので、そこで互いの実力とかを把握する流れとなった。
で、みんな校庭に集合。全校生徒300人だ。
学園長の話が始まる。
「よし、今日は全力を尽くすように!手を抜いたら罰則があるので気をつけろ!以上!」
終わった。この人、説明は長いけど挨拶は無駄が無いな。
・・・罰則って何だ?かなりヤバそうだが。
さて、そんなわけで校内戦が始まる。
前に掲げられたトーナメント表にみんな群がった。
そう、校内戦はトーナメント式なのだ。
空を飛んで確認すればすぐだが・・・それはないな。
仕方なくいくつか置かれた内、最も人がいないヤツを見に行った。
(え~と、一回戦目じゃねぇか!?相手は・・・ガルシア・ハイラスブルグ・・・誰だっけ?)
「フォーラスブルグ、人の名前が覚えられないのか・・・?」
また声に出ていたようだ。
もはや怒る気にもならない。って感じのガルシアが横にいた。
「おおっ、悪い悪い。ほら、みんな苗字が長いだろ?」
とりあえず弁明する俺。
「・・・まぁいいさ、全力を尽くす。手は抜くなよ?」
・・・あれ?
「ガルシア、なんか前よりカッコイイな?」
「んな!?お前の実力は認めてるだけだ!」
「おう、ありがとな!」
そんなことを言いつつ、一回戦なので校庭を歩いていく俺たち。
競技場クラスの校庭で、50メートルほど距離をあけて向かい合う。
試合は学園長の号令で始まる。
「よし、構え!」
俺たちは同時に剣を――俺は<シルフィード>を、ガルシアは赤い剣を抜いた。
俺の周囲は魔力の突風が吹き荒れ、ガルシアの周囲は一気に温度があがる。
「ん?ガルシア、精霊剣か?」
思わず聞いてみた。
「ああ、合宿が終わって一日だけ家に帰ったときに、
親父から、お前もようやく身の程を弁えるようになったな。
と言われてな。貰った。ふん、自分の無力さを知って認められるとは妙な気分だ」
おそらく、なんだかんだで父親から認められたのがうれしいのだろう。
だから、俺も返した。
「ああ、ガルシア。前よりずっと強そうだぜ?」
「ふん、よく言う。全く本気ではないだろう?」
ガルシアは楽しそうに笑った。
俺も笑ってたと思う。
『貴公が噂のアルネア殿か、ガルシアが世話になったな。
私は爆炎の精霊レグルス。以後、見知りおきを』
「あ、どうも」
俺はなんとなく軽く礼をする。
『それでは私からも、風の精霊シルフィードです。よろしくおねがいします♪』
「あ、ああ、よろしく」
もはや緊張感ぶち壊しのシルフの声に思わず礼をするガルシア。
もはや♪マークが見えそうなのだ。緊張感などカケラも無い。
で、お互いにニヤリとしつつ、試合は始まる。
「――――始め!」
―――次回予告―――
♪~チャラッ、チャ~ラララ~ラ~!
「いくぞシルフ!この勝負、俺たちがもらう!」
「燃えろ<レグルス!>風など焼き尽くしてしまえ!」
「―――遅いわ。<ミラージュ>」
「うはぁ~、そんなのアリかよ?」
『ふむ、申し訳ないが全力で行かせて頂く』
『ご主人様、サクっとやっちゃいましょう♪』
「アルは渡しません!」
「・・・なんか知らんが、仲良くな?」
「次回、『疾風と爆炎の宴』魔術王に、俺はなる!」