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銀雷の魔術師  作者: 天城 誠
第二章:三国魔法学校交流戦編・校内戦
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第一話:皇女の来訪

はぁ、眠い。

俺は一番前の窓際の自席にて、あくびをかみ殺した。

今は世界情勢の授業だ。

この世界では、戦争とかもあったりするので、大切な授業だ。

でも、転生前に日本人をやってた俺には実感がわかない。



「いいですかっ!現在皇国は、オーランド王国、エディメア共和国と三国同盟を結んで

 いるのですっ!」



アリス先生が力説している。

なんとこの学校、担任の先生が全授業を受け持つ。

・・・最初に聞いたときは、若干絶望したのを覚えている。

まあ、もう慣れたが。




はぁ、夏休みは海にでも行ってくつろぎたい・・・

ああ、海いいなぁ・・・

皇国は北は海に面しており、東はティルグリム山脈、西は魔獣の森とオルト山脈。

なかなかの要害っぷりだ。




南のエディメア共和国とは同盟関係だし、戦争は無いんじゃないか?と思うが、

南西に位置するディメール帝国とは敵対関係にある。



また、ここが攻められなくとも、三国同盟の関係で救援にいく必要がある。

ちなみに、三国同盟の残りの国、オーランド王国は、共和国の更に南にある。

つまり、帝国に接する三国が、強力な帝国に対抗するために結んだ同盟なのだ。




何の話だっけ?

そう、海に行きたいんだが・・・まだ5月だ。あと2ヶ月。

はぁ、俺に平穏は来ないのか?

まぁ、合宿も終わったし、しばらくは・・・



「というわけですので、三日後に校内選抜戦をやりますっ!」

なんか元気よく宣言してくれたアリス先生。



「・・・はぁ!?」

思わず驚いてしまった。

幸い、ちょうど廊下側にいる先生には聞こえなかった模様。



「アル、聞いてなかったんです?今度、三国魔法学校交流戦があるんです」

エリシアが察して、後ろから解説をくれた。



「・・・・なにゆえ?」

聞き返すしかできない俺。



「だから、魔術師は国の力を端的に示す象徴的なもので、

 平等な同盟関係にある三国が、毎年この行事を行うことで、

 (一応は)平和的にその年、どの国がリーダーシップを取るか決めるそうです」



「・・・どこが平和的?というかそんなので決めるのかよ?」

そう、普通はもっとこう・・・

・・・あれ、意外と決め方なくね?

三国は、人口、国家予算、領土の全てが同じくらいなのだ。



「アル、魔術師は国の最重要戦力ですよ?」

エリシアに、アルが寝ぼけてます!って目で見られた。


そう、この世界だと、最重要戦力は魔術師なのだ・・・

まあ、魔法がある以上当然かぁ・・・



ん?


「エリシア、校内選抜戦って何だ?」


「アル、ほんとに聞いてなかったんですね・・・

 一年生からも参加者を出すので、選抜として校内戦をやるそうです」

呆れつつも説明してくれるエリシア。



で、先生の説明をまとめると、こうだ。


個人戦は、各学年5人。

チーム戦は、各学年、4人1チームが5組。

そして軍団戦とやらが、3学年から合計30人。

ちなみにチームはいつ決めても可。

校内選抜でチーム戦のチームも選抜するとのこと。

選抜戦は三日後。チームが足りなかったら、先生が勝手に選ぶ。


・・・なんか、ムチャクチャじゃないか?




授業が終わった休み時間、俺はいつものメンバー・・・

俺、エリシア、リリー、ジョン、エリスで集まった。

とりあえず、いつものように俺が切り出す。


「・・・団体戦って、ほぼ戦争じゃねぇか!」


「お、お兄ちゃん、そんなにハッキリと・・・」

リリーが恐れおののいてるが、元日本人の俺にお上の威光など効かぬわッ!



「アル、死者が出たことは、過去100年一度も無いそうですよ?」

エリシアがフォロー。が、顔には納得はしてないと書いてある。

エリシアは戦いが好きじゃないのだ。


まぁ、こんなことを言ってる俺だが、この大会は親善試合という意味もあることは分かってる。

帝国強いしなー。

でも、俺は面倒なのは嫌だ!



「・・・・まぁ、アルの言いたいことは分かるけど、僕たちには関係・・・あるね!?」

ジョン、考えてから発言してくれ。



「アルさん、頑張ってくださいね!」

エリスに応援されるが・・・



「俺は出場する気なんか、これっぽっちも無いからな!」

なんで出場が決定事項みたいになってるのだ!

俺は出ない!


寮で寝てる!



「アル・・・あの学園長が逃がしてくれるわけないです・・・」

エリシアが諦めましたって顔で言う。


・・・くっ、確かに!

あの学園長なら縛ってでも連行するだろう。



「お兄ちゃん、ファイト!」

リリーは楽しそうだが・・・



「ねぇ、リリーも出るんじゃないの?」

ジョンの指摘が入った。



「え、そんなわけないよ!?お兄ちゃんにもエリーにも絶対勝てないよ!?」

まあ、確かにリリーの言うとおりだが・・・



「リリーさん、それはこのお二人が強過ぎるだけでは・・・・?」

そういうエリスだが、エリスも強いんだぞ?



さて、そんなこんなで盛り上がる俺たちだが、

唐突に、騒がしかった教室が静かになった。

何事だ?と思って辺りを見渡すと、

一際大きな存在感を放つ金髪碧眼の超美少女がいた。



このクラスじゃないよなー。

なにしに来たんだろー。

とか思ってたら、こっちを見て、そのまま歩いてくる。



・・・はい?


で、俺たちの前で停止。


「初めまして、私は皇女のフィリア・ラルハイトと申します」

俺たちに向かって、丁寧かつ優雅にお辞儀をなさった。



「はっ、はじめまして!リリネア・フォーラスブルグと申します!」

「は、初めまして、ジョン・オウリアと申します!」

「お初にお目にかかります、エリス・ハーゼンシュタットと申します」

恐れおののきつつ挨拶する三人に・・・



「あ~、はじめまして。アルネア・フォーラスブルグです。アルって呼ばれます」


「どうも。エリシア・フォーラスブルグです」


なんとなくいつもどーりの俺とエリシア。



「おおお、お兄ちゃん!?なんて無礼なことを!?」

慌てふためくリリー。

ジョンは顔が真っ青だ。

エリスは落ち着いてるが、冷や汗が見える。


が、フィリア皇女は落ち着いてる。むしろ微笑んでる。


「そうですか、では私もアルと呼ばせて頂いてよろしいですか?」

にっこり笑いながら尋ねられた。おお、なんか新鮮。




「どうぞ。俺はどのようにお呼びすればいいでしょうか?」

なんと呼べばいいのか分からなかったので、聞いてみた。



「ふふっ、そうですね、フィリアと呼び捨てにして下さい」

皇女・・・フィリアは楽しそうに笑った。



「おっけー。フィリア、なんか用?」

急に砕けた俺・・・もとからかなり危うかったが。

に、周囲が凍った。




「うふふっ、アル、今回はお願いがあってきました」


「ん、なに?」




「交流戦のチーム戦で、私のチームに入って頂きたいのです」

ここは真面目な顔でフィリアは言い切った。



「え~、俺出たくないんだけど・・・」

俺は本音で返す。リリーに背中をつねられた。痛い。



「そうなのですか?アルは必ず出ることになると思いますよ?

 無理にとは言わないので、考えておいてもらえますか?」


フィリアに目を見つめられる。

まさかの魅力攻撃!?

くっ、この程度では折れんぞ!



「あ~、あの学園長だしね・・・まあ、考えるだけなら」

そういった俺に、フィリアはまた楽しそうに笑った。



「それでは、お邪魔しました。アル、またね」

ウィンクしてフィリアは去っていった。



が、空気は凍っている。



「お、お、お兄ちゃんの馬鹿――――!」

リリーが顔を真っ青にしながら激怒。



「アルさん・・・さすがに今のは・・・」

エリスの顔も青い。やばい、初めて見たかも。



「・・・・」

ジョンは真っ青で放心状態だ。



「アル、顔がニヤニヤしてました・・・」

どうやら、エリシアは違う理由で怒ってる模様。

多分、俺がだらしないのが気に食わないのだろう。



まあ、みんな多分に俺の無礼な態度を気にしてるんだろうなぁ・・・



「大丈夫だって、呼び捨ては親交の証!あれぐらい砕けたほうがいいって!」

とりあえず、そう言ったのだが・・・


「お兄ちゃん!相手は皇女様だよ!?」

と、リリー。


「・・・はっ!?アル、皇女様になんてことを!?」

と、ようやく魂の還って来たジョン。


「アルさんは予想外過ぎます・・・」

と、エリス


「アルのばか・・・」

と、なんか未だに違う理由で怒ってるエリシア。


リリー、ジョン、エリスには納得してもらえなかった。



エリシアは、俺を上目遣いに睨みつけてきていたのだが・・・

なんか可愛かったので、頭を撫でてみた。


「ア、アル!?」

エリシアは驚きつつ、なんか若干気持ちよさそうな・・・・

あれ、なんかいいなコレ。

なんかエリシアも段々幸せそうな顔に・・・


「って!?アル!教室でなにするんです!?」

逃げられた。ちっ。


ん?

「教室じゃなきゃいいのか?」

思わず聞いた俺に、エリシアは硬直。

顔が真っ赤だ。



「はっ!?お兄ちゃん!そんなことしてないで、ちゃんとさっきの説明をしろーーー!」

リリーの跳び膝蹴りが俺に直撃し、俺への説教が始まった。



まあ、この世界だと皇女様なんて天の上の人みたいだし、これが普通なんだろう。

そんなことより、エリシアの頭を撫でたい・・・

いや、すごい気持ちいいよ?



まぁ、そんな皇女様・・・フィリアに勧誘された俺だが、今のところは、

いかに出場しないかについて考えてる。



う~ん、うまい言い訳は無いものか・・・



選抜戦でわざと負ける?

う~ん、相手がエリシアとかなら負けられそうなんだがなぁ・・・



どう足掻いても、選抜戦は三日後だ。




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