表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
銀雷の魔術師  作者: 天城 誠
序章:この世界で
2/155

第二話:戦いの刻


さて、落ち着こう。

俺の魔法属性は珍しい<雷>だった。わーい。

しかし、俺の<サンダーボルト>の光と音に驚いた妹・リリーが怯えてしまう。

俺はリリーに気づかれず、また、魔術の練習とバリエーション強化のためにこっそり特訓することにした。


しかし、<サンダーボール>を撃つところをリリーに見られてしまったのである。


「おにいちゃん、なにしてるの?」

リリーは言う。


選択肢 1、ごまかす

    2、あやまる

    3、にげる









ここはもちろん――











「えーと、まじゅつのとっくん・・・ごめんね、リリー。

 さっきのかみなりは、おにいちゃんのまじゅつだったんだ・・・」



謝るしかないじゃないかっ!



「そう・・・だったんだ・・・」



・・・やばい?


「もぅ、おにいちゃんがかみなりで、おケガでもしたらたいへんだとおもって

 しんぱいしたんだよ・・・」

妹は心が広かった!



とりあえず、謝ったらリリーは許してくれた。なんてできた妹なんだ。


ただ、「おにいちゃんだけずるいっ」


とのことでリリーも父さんから魔術を教わる。

なんと得意属性は<治癒>で珍しい・・・とはいっても母さんも<治癒>属性らしい。

同じ属性だと、なんとなく感じるとのことで、すぐ判明。

あと、得意属性は2つ以上ある場合もあるらしく、母さんとリリーは<水>も得意だった。



「リリーだけずるいっ」


俺も言ってみたものの、<治癒>は特殊属性のなかでも抜群に多いらしい。

(それでも四大属性と比べれば圧倒的に少ないのだが)



その後、リリーがいないときに、雷のほうが珍しいといわれた。

十二貴族でも雷持ちはいたようないなかったような?という感じらしい。

少なくとも、今はいないとのこと。



さて、問題はリック兄さんである。

リック兄さん不遇じゃん!

そう思ったのだが、父さん曰く


「あー、じつはリックは<火>じゃなくて<炎>だからな」


いまいち違いが分からなかったが、要は強力らしい。

さすが兄さんだ!



あと、属性は魔法を使い込むことで上級属性になったり、特異属性に変化するらしい。

で、<火>の上位が<炎>と。生まれつきは珍しいらしい。

って言いつつ、父さんも<炎>属性で、兄さんもリリーも思いっきり遺伝である。



俺の<雷>はこの家ではでたことが無いようだが・・・

転生の影響だろうか?






―2―



さて、俺は朝起きるのは得意じゃない。

今は二の月3日目、つまり2月3日。まだ寒い。布団が恋しい。




季節とか、月とか、曜日まで前世と同じ。俺の誕生日は一の月の6日目。

昨日、二の月2日目の朝は・・・




「ふはははは――我が鉄壁の布団ディフェンスを打ち破れるものなどいないっ!」

俺は、戦っていた。


「むむぅ、おにいちゃんの<おふとんでぃふぇんす>がやぶれないわ!」

相手はリリー。


「おおっ、アル、リリー楽しそうだなっ、俺も参加だー!」

兄さんも参加。


「むぅっ、だがたとえリック兄さんでも我が布団ディフェンスは破れまい!」

俺の布団ディフェンスは伊達じゃない!



「はっは~、このリック兄さんをなめるな!ヘイ、リリー!」

が、策のあるらしい兄さん。


「あ、わーい!」

リリーが喜ぶ声がする。なんだろう、俺の直感が危険を訴えている・・・!?



「くぅっ、布団ディフェンス中は外が見えないのが欠点か!」

俺は、布団しか見えなかった。


「「ひっさーつ!リリーばくだん!」」


本気で危険を感じ、布団の外を覗くと・・・


空中に舞うリリー・・・というか兄さんに投げられてこっちに飛んでくるリリーの姿が――


「――ぐはっ!」


兄さんによってリリーは的確に俺の腹の上に着地。

俺は悶絶するしかなかった・・・

さらにリリーが申し訳なさそうに見てきたら怒れるハズも無い・・・


「や、やるな・・・リリー、そして、兄さん・・・がくっ」





という微笑ましい?感じだったのだが、

今日、二の月3日目は・・・


「おにーちゃん、あさですよー!」

今日もリリーはやってきた。


「ふっ、リリー。真っ暗じゃないか。まだ夜だろう?」

そう、俺の周りは真っ暗だな。


「むぅ、おにいちゃんが<おふとんでぃふぇんす>してるからでしょ!」

うん、お兄ちゃんは布団から出たくないのさっ、リリー!



「ふははは――この鉄壁の布団ディフェンス、破れるものなら破ってみよ!」

俺の布団を奪えるものかーーー!



「わかりましたっ、おにいちゃんでもようしゃしませんっ!」

リリーは受けてたった!


戦いの火蓋が切って落とされた――!





――布団ディフェンス――

布団に潜り込み四隅を内側に引き込み、それを体重で押さえ込むことで鉄壁の防御を実現。

弱点は、防御力は1布団ポイントしか上昇せず、外が見えないため、反撃できない。

よって、チャージ技や、高威力の攻撃に弱い。

だが、リリーは攻撃力が低いので破るのは難しい。




「えいっーーーー!」


リリーが布団を引っ張る!だが男の・・・兄の意地で負けられない!

兄のプライドを守るため、俺は全力で布団に引きこもる――ッ!



「うおおおお―――ッ俺の布団は守り抜いてみせるーーー!」



「そんなっ、おにいちゃんのどこにそんなちからが!?」

リリーの愕然とした声が聞こえる。


「負けないぞリリー!あと5分・・・あと5分だけでもッ!」

俺は惰眠を貪るんだーーーー!


「ううっ、さすがおにいちゃん・・・!

でもっ、リックお兄ちゃん、じきでんのあのわざなら・・・!」


リリーは何かする模様。


俺は直感した、あの・・・恐怖の必殺技の再来を・・・


「えいーっ!リリーばくだんっ!」


ベッドに乗り込んだリリーが足に力を溜め、空へ舞い上がる――!

このままではやられる――ッ!





「うおおおッ!なめるなぁぁぁ!」


俺は魂の咆哮をあげる!

布団の四隅をつかみ、布団を死守する布団ディフェンスでは、布団の守備を貫通し、

俺にダメージを与える<リリー爆弾>を防げない――!



コンマ一秒で判断した俺は賭けに出る――!



四隅が完全に内側に潜り込み、奇岩のようだった布団が一瞬で姿を変える!



「うおおおっ――!<布団バリヤー!>」



布団を横に引っ張り、張り詰めさせることで布団の限界を超えた防御を可能にする――!



だが、この代償は大きい



「ぐあああぁぁッ――!寒い!冷気がぁぁぁ!」


俺は、冬の冷たい空気で大ダメージ!

そう、寒いから布団を被っていたのに、その守りがなくなるのだ――!




「むうっ、そんな<おふとんばりやー>でとめられるとおもうのっ!?」


リリーが滞空しつつ話す。

よく考えたらすごい飛んでないか?



「ふんっ、この守りを破ってから言ってみせろ!」

俺は布団に全てを懸ける!


リリーが布団と激突する――!


ドガァァァァン!(想像上の音です)



「そ、そんな・・・」

リリーの声が布団の向こうから聞こえた。


リリー爆弾によって布団バリヤーは、もはや原型をとどめていなかった・・・

クレーターのように中央が凹んでいる。だが・・・


ほぼ全て――推定90%の威力の減衰に成功。

俺へのダメージはほとんどなかった。


「ふはははは・・・はっくしょん!――くっ、寒いぜ・・・だが・・・!」

俺は布団を被って再び布団ディフェンスを展開する――!


「この布団ある限り、俺は負けない!負けられないんだぁぁぁ――ッ!」

俺は、布団のために戦う!


「わたしだって・・・ぜったい、おにいちゃんをおこすんだもん!」

リリーの何かを決意したような声がする。



――奇妙な感じがする


以前の<リリー爆弾>の時とは、また違う。


――これは・・・魔力!?


「おおいなるみずよ、おにいちゃんをおこして!<うぉーたーぼーる!>」


リリーは魔法を使った!


――まずい!極限まで集中――!

思考を加速させる――!

どうすれば――!?



1、魔法で迎撃

2、布団バリヤー

3、にげる






――駄目だ!攻撃魔法しか持ってない!

<サンダーボルト>なんて撃ったらリリーが死んでしまう!



――布団バリヤーで<ウォーターボール>は防げない!

防いだら布団がびしょ濡れ―ッ!悪夢だ!

事実を言ってもリリーが俺を庇ったようにしか聞こえないだろう―!




――ならこれしかない。


「うおおおおおおっ――!」


俺は必死の雄たけびをあげ、

布団ディフェンスを解除!ここまでコンマ三秒――!(俺主観)

そのまま跳ね上がるようにベッドの外へ――!


「きゃっ」

布団の向こうからリリーの声。


「――ッ!しまった!」

俺は迂闊だった。


焦っていたようだ。

最後に布団ディフェンスを使った時、リリーがいた場所は?

リリー爆弾を使った後、そのまま俺の上に乗っかっていたのだ。

重さで気づけよって俺も思ったが、リリーは軽い。俺は焦ってた。


エラー!布団ディフェンス、解除できません!


リリーが期せずして布団をホールドしているため逃げられない――



――バシャアァン



痛みは、無かった。ちゃんと弱めに撃ってたらしい。さすが我が妹。

だが、どうしていいのか分からなかった。

寝巻きと布団がびしょ濡れなのだ。

転生したといっても、周囲からすれば俺は5歳児・・・

そんな子どもの布団が朝びしょ濡れだと・・・


――うおおおおおっ

どうしていいのか、分からなかった・・・





結論からいうと、俺は助かった。

あんまり遅いので、兄さんも起こしにきたのだ。

で、扉をあけると、俺が<ウォーターボール(威力控えめ)>を喰らったとこだった。

んで、


「炎よ、布団を乾かせ――!<ファイヤ!>」


兄さんが火の呪文を使う。


――ボオオオオォッ


「さすが兄さん!これで大丈夫だー!」


兄さんはドライヤーから溶鉱炉まで完璧のようだ。

んで、リリーは・・・


「おにいちゃん、ごめんなさい・・・」

申し訳なさそうなリリー。


「おう、大丈夫さ!兄ちゃんも全然起きなくてごめんな」


「うん!」



リリーと仲直り完了。

よし、ご飯~♪ご飯~♪


おっと、寝巻きのままだった。



ご飯を食べたあと、父さんに体術の稽古をしてもらった。

そして――


父さんの突然の宣言。

「よし、リック、アル、リリー。みんなで村に出かけるぞ」



こんな作品を読んで下さって、ありがとうございます

描写追加しました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ