表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
銀雷の魔術師  作者: 天城 誠
第一章:魔法学校合宿編
19/155

第八話:魂の意義

上空で旋回していたユランに、俺は稲妻となって突進する!

この空間には砂鉄が無いようだし。

この手はあまり好ましくないが・・・!

速攻で決めさせてもらう!


『我が疾風の剣よ!銀雷によりその身を弾丸と化せ!

疾風纏いし四源の雷砲アリアティル・サーマルブラスト!>』



俺はぶん投げたアリアティルをプラズマ加速!

アリアティルは銀の流星となって、ユランの心臓を貫く。



「―――――グギャアァァァ!」

―――あと2体!


『我が魔法銀の剣よ!銀雷によりその身を弾丸と化せぇぇ―――ッ!

銀雷纏いし四源の雷砲アウロラ・サーマルブラスト!>』



今度はアウロラをぶん投げて、プラズマ加速!

アウロラはやはり銀の流星となて、ユランの頭を貫いた!



「―――――ガァァァァ!?」



――――こいつら、さっきのやつより弱い!


―――あと一体!



『――――いくぞ!<サンダーボルト!>』


俺の手から銀の雷が飛び出し、ユランの右翼を直撃した。


「――――グガァァァァッ!」


が、怒らせた以上の効果は無い。

でも、こちらに意識を集中させれば十分。

ユランはこちらに近づき、武器を失った俺を爪で引き裂こうと―――




「其は見えざる力!鉄を引き付ける力!<マグネティション!>」


超強力な磁力で切っ先を引っ張られ、戻ってきた<アリアティル>がその胴体を貫通。

俺は磁力を巧みに操り、俺の手元に戻ってきた<アリアティル>を掴み取った。


そして俺は激痛に苦しむユランの苦痛を終わらせるべく、剣を振り下ろした。



『アル、大丈夫です?』

エリシアの念話が聞こえた。


『・・・ダメージは受けてないけど、大技を使い過ぎた。魔力がキツイ』

そう、そろそろ限界だった。


俺は、そろそろ下に降りようと―――


『アル、上です!』

エリシアの悲鳴が聞こえた。


『<雷鳴剣!>』

俺は、咄嗟にアリアティルを稲妻に変換。

上に放った。

が、ソレの拳を押し返せず、吹き飛ばされた。


――――――――――――――――――――――――――――――――――




私は、アルが次々とユランを屠っていくのを見た。

アルのサーマルブラストは、武器がなくなるという致命的なデメリットがあるが、

威力は目を見張るものがある。


3匹目に接近されてしまった時はどうなるかと思ったが、

磁力で呼び戻して攻撃したのは本当にすごいと思った。


おそらく、手をはなしても魔力を絶やさず、位置を完璧に把握していたのだろう。



『アル、大丈夫です?』

大丈夫なのは分かっていたが、一応聞く。


『・・・ダメージは受けてないけど、大技を使い過ぎた。魔力がキツイ』

アルはそう言うが、私にはまだ余裕があるように見えた。



と、周囲を警戒するアルの斜め上から、ソレが降ってくるのが見えた。

そんな――――!?


『アル、上です!』



アルは咄嗟に雷と化した剣で迎撃するが、ソレの拳に吹き飛ばされてしまった。



アルは錐揉みしながら、私から離れた方に墜落する。



私はすぐに駆け寄ろうとするが、私とアルの間にソレが着地する。







―――――――ドガァァァン!




爆音と共に、地面に巨大なクレータができる。




ソレは巨大な岩の体をしていた。



「・・・ゴーレム」

私は、その名を呟いた。


ゴーレムは術者によって強さが変わる。

あんなに強力な結界で守られた迷宮だ。さぞ強いだろう。

5メートルもの威容を誇り、AAAランクを思わせる。

だが、今は相手をするつもりは無い!


「此処を、通してもらいます!」










―――――――――――――――――――――――――






俺は、意識が朦朧としていた。




左腕が動かなかった。




足に力が入らなかった。



肋骨にヒビでも入ってるかもな。



アリアティルは弾き飛ばされて近くに無い。



エリシアが叫ぶのが聞こえた気がした。




全身が痛い。動きたくない。





―――俺は一体何をしに来たんだ?





―――助けに来たんじゃないのか?





―――そう、だったな。なのにこんな様か。





―――あきらめるのか?





―――動けないんだよ。





―――動けないのではなく、動かないのだろう。





―――・・・俺は、なんでこの世界にいるんだ?





―――お前は、何も分からなくとも、守ると決めたのではなかったのか?






俺は、エリシアがゴーレムをかわしてこちらに来ようとし、

弾き飛ばされ、突風に吹かれたゴミのように地面を転がるのを見た。





――――エリシア!?





――――いいのか?あの娘、死ぬぞ。





――――いいわけないだろぉぉぉ―――ッ!






俺は、必死になって立とうとするが、立てない。右腕がかろうじて動くだけだ。

体を持ち上げることすらままならない。






――――お前は、他人の為に命を捨てて助けようと思うか?







――――思わない。








――――そうか・・・







―――――命を捨ててでも誰かを救えるっていうのはすごい立派だ。

     でも、それで悲しむ人もいる。

     だから!


―――――だから、俺は、今度こそ、全てを救ってみせるって決めたんだ!








――――ふふっ、そうか。ならば手を伸ばせ!

    その手に、その心に値するだけの力を持て!

    そしてお前の魂の意義を証明してみせろ!






俺は手を伸ばし、<アウロラ>の柄を掴んだ。



いつかの声を聞いた。





『―――えっとね、アウロラっていう曙の女神様がいたんですよ?』





――――――――――――――――――――――――――――






私は、悔しかった。




私はアルに命を助けてもらったから。




アルが大好きだったから。




私には力があったから。




なのに、アルにユランが迫るのに耐えられなくて、

必要以上の魔力を込めて術を撃って、力のほとんどを使い果たした自分が憎かった。




そのせいで本来の力を解放することもできず、私はここに倒れている。




まるでゴミのよう。




仲間に追われ、命の恩人に何も返せずに死ぬ私なんてそんなものかもしれない。




でも、私が死んでしまったら次はアルの番だ。




そんなの絶対に認められなかった。




自分の命を犠牲にしてでもアルを助けたかった。





―――アルと、もっといっしょにいたかったな。




禁術を使おうと私は覚悟を決め――――





銀の閃光が閃き、魔力の暴風が切り裂かれた。






私は、不思議な確信を持って倒れたまま顔を上げた。

巨大で強大なゴーレム、その向こうに、緑と赤の不思議な光のベールが瞬くのが。




その中心に立つ、銀の雷を身に纏う魔術師が。





最早、瞳だけでなく髪まで銀に輝く、その大好きな少年が確かに見えた。






―――次回予告―――


♪~ドゥンドゥンドゥ~ドゥドゥンドドゥ~ドゥン



『――――邪魔を、するなぁぁ―――ッ!』

「・・・どんなギミックだよ!」

「アル・・・ごめんなさい・・・めいわくかけて」

『私は、風の精霊シルフィードです。』

『・・・そこ、どけよ。お前なんかに用はないんだ』

『アウロラ?どっかで聞いた名前のような気もするけどなぁ』

「お前が欲しい」


次回!銀雷の魔術師第九話:曙の剣



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ