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銀雷の魔術師  作者: 天城 誠
第一章:魔法学校合宿編
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第六話:約束

私、エリシアは巨大な魔力と、それと戦ってるらしき先生の魔力を感知して、

急いでその場所へ向かおうとした。

遠くの方で雷の音がして、私は飛行魔法を唱え、空へ舞い上がり、そこへ急行した。


しかし、あと数十秒で到着するかという時に、先生の魔力がぶれて、

私は先生の敗北を悟った。


間に合わない。


そう思った時、ワイバーンの近くに他の魔力を感知。

そう、アルの魔力だった。


(―――たしかにアルは強いけど、一人でワイバーンと戦うなんて!?)

別に、アルなら絶対助けるだろうとは思うし、止めても聞かないだろう。

でも、アルがケガをするのは嫌だ。


私は、更に急いで飛び、そして、見た。



『無数のくろがねよ!銀雷によりその身を弾丸と化せ!<微細なる四源の雷砲!マニュートネス・サーマルブラスト>』



無数の砂鉄が銀の流星となって、ワイバーンを穴だらけにするのを。

そして、アルが墜落するのを。



「――――――アル!?」








―――――――――――――――――――――――――――――――









俺は、薄れる意識の中、誰かの叫びを聞いた。



「――――――アル!?」


エリシアの声だ。あいつが驚く声を聞いたのは、あのとき以来か・・・

空中でバランスを失った俺は、木々の枝にぶつかって勢いを落としつつ、

しかし、それでもかなりの勢いで背中から地面に落ちた。











『――傷つきし者を癒す聖なる力――』



『――汝、未だ輪廻転生の刻にあらず――』



『――汝、未だ冥府の門を叩く刻にあらず――』



『――蘇りて、その天寿を全うせよ――!』



『―――<リヴァイブ!>』






急に体の痛みが取れて、意識がはっきりした。

目を開けると、目の前に、すこし涙目で、目が真っ赤なエリシアの顔があった。



「・・・えっと、おはよう?」

うん、やっぱり挨拶って大事だよな。

が、エリシアはホッとした顔から、拗ねた顔になってしまった。

若干怒っている気がする。


「アルの馬鹿」

ちなみにエリシアの目が真っ赤なのは、元の目の色が出てるからだ。

白い髪に赤い目は目立つので、偽装魔法で金髪緑目にしてるのだが、

全力を開放すると、溢れる魔力で偽装が流されてしまうのだ。


「いや、人助けの為だったし」

とりあえず人助けをアピールして、エリシアの怒りを静めよう。


「あんな短い詠唱で無理に膨大な魔力を詰めたら体にダメージが来ます・・・!」


「え、そうなの?」

そんなのは本で読んだこと無い。


「アルは、人間とは思えない魔力量を持ってます。人間の書いた本は役に立ちません」



転生した影響だろうか。とりあえず・・・



「そうか、治してくれてありがとうなエリシア」

お礼を言うが、エリシアに無言で見つめられる。


「えっと・・・、エリシア?」


「アル、他に言う事があるんじゃないです?」

そう言って無言で見つめてくるエリシア。


・・・え、なんだろう?





「もう無茶しません。すみませんでした」


そう、俺は無茶した事を謝ってなかった。





「違います」

・・・エリシアにバッサリ切られた!?

そんな!頑張って考えたのに!?

こう、「あんまり無茶しないで下さい」って流れだろう!?




「・・・アルは困ってる人がいたら無茶しないことはできないです」


・・・そんなことは・・・ない・・・とは言いきれない!?

なんか俺は自己嫌悪に陥ってしまった。

そんな俺に、エリシアは言った。


「だから、余裕でほかの人を助けられるくらい、強くなって下さい。アルならできます」



「・・・わかった」

俺は、エリシアの真剣な表情に押されて、頷いた。



「約束ですよ?」


「ああ、わかった」

俺が、そう言うと、エリシアは微笑んだ。




「じゃあ、もし約束を破ったら、なんでも一つ、私のお願いを聞いてもらいますね」


「・・・んな!?エリシア、そんなのは承諾しないぞ!」

どんな目に遭わされるのか、考えるのすら恐ろしい!



「そうですか?代わりに一年間一度も大怪我しなかったら、

       私がアルの言うことを何でも一つ聞きますよ?」


そう言って天使の微笑みを浮かべるエリシア。


落ち着け俺!これは悪魔の囁きだ!




「何でも?」

思わず聞き返した。うがー!?俺の馬鹿!?


「お互いに、何でもです」

・・・勝ったら天国、負けたら地獄ということか!?



「・・・・わかった」

俺は、殊勝な態度で頷いた。が、


「アル、鼻の下がのびてます」


「なんだと!?」


「・・・アルの変態」

エリシアは、じと~っとした視線を浴びせてくる。



や、やばい。話を変えねば!


「そ、そうだ!エリシア、どうしてリヴァイブ使えるんだよ!?」


「・・・話を逸らしましたね。私は、この体に受けた術を吸収、再現する能力があります」

じと~っとした目のまま説明された。


あれ、それって・・・

「強くね!?」


「だから、初めて会った時に、私は危険ですって遠まわしに言ったじゃないですか・・・」


「ははー。想像以上だった」

俺は笑ってごまかした。


が、エリシアは急に真剣な表情になった。

「・・・今からでも、まだ、遅くないですよ?」




さすがにムッときた。

「エリシア、もう一回言ったら、俺の変態技フルコースだからな」


「・・・!ごめんなさ・・・って変態技ってなんです!?」


「え、知りたいの?」


「・・・知りたいです・・・って言ったらどうするんです?」



「ええぃ、俺の負けだよ!冗談だよ!」

くそっ、何故かエリシアには勝てない・・・

まあ、重い空気は払拭できたし、いいだろう。



小さく、「アルの馬鹿」って聞こえた気がするが気のせいだろう・・・





・・・ん?何か忘れてる?




「あ~~~!<アウロラ>が無い!」


「あ、ほんとです」


と、アウロラを探そうと、魔力探知を始めて・・・

周囲の魔力が乱れていた。


「――――!?これは、昨日と同じ!?」


「アル、隠蔽魔法です?」

エリシアも、同じ何かを感じたらしい。


なにか、魔力の乱れがあり、そこから<アウロラ>の気配がある。


「とにかく、見に行ってみよう」

「了解です」



さて、<アウロラ>の気配を探っていくと、見つけた。意外と簡単に。


「なんじゃこりゃ」

「なんです?コレ」


おもわず二人で顔を見合わせる。

<アウロラ>は、空中で見えない何かにぶっ刺さっていた。

なかなか理解し難い光景だ。


「・・・エリシア、やるか?」


「はい、そうですね」



「我が手に白き雷を!虚空を切り裂け!<サンダーボルト!>」

「白き焔よ我が手に!虚空をも燃やせ!<ヴォルカディア!>」




俺の手から白い雷が、エリシアの手から白い焔が飛び出す!





――――ガキィィィィン!



「うわ、なんだこれ」

「・・・すごいです」


なんか一瞬、巨大なドームの端らしき何かが見えた。

どうやらこれは結界のようだ。

が、今の攻撃でなんともないのは結界の常識の範囲外だ。

まぁ、二人ともそんなに強い術は使ってないのだが、

普通に考えて、これは隠蔽用結界だ。


結界の主な種類は3つ、防御、隠蔽、強化だ。

防御結界ならまだしも、こうまで何かを隠蔽する結界がこの強度はおかしい。

どれか一個の効果しかもたない結界が普通だからだ。


つまり、ものすごい魔力を持つ存在が結界を張ったか、

もしくはものすごい技量の存在が結界を張ったか、

土地的な例外の三つの可能性が考えられる。

いずれにせよすごい事なのだ。



「どうする?エリシア」


「アル、顔に気になるって書いてあります」

エリシアに呆れられたが、気になるものは仕方ない。


「というか、刺さってる<アウロラ>でなんとかなるんじゃないか?」

やっと気づいた。なんか、アウロラが刺さって結界がバチバチ言ってる。


「そうですね・・・」

エリシアが頷いたので、俺はアウロラの柄を握って思いっきり――――!



切り下ろす必要もなく、意外とあっさり切れた。


「・・・アル、切れ味良すぎじゃないです?」


「そういえば、磁力で引っ張れなかったんだよなぁ・・・」

ワイバーン戦を思い出しつつ、首をかしげる俺。


「磁力で引っ張れないんです?しかも結界を切り裂く・・・?」


と、結界が塞がろうとしてるのを発見。

アウロラで咄嗟にさらに大きく切り裂いた。

すると、アウロラの魔力の輝きが若干増した。


「なんだこれ?」


「それは、魔力吸収能力(ドレイン)!アル、それは魔法銀(ミスリル)製です!」


ミスリルって言うと、あの定番のアレか!えっと、強いヤツ!


「おおっそれはすごい!」



「アル、それってものすごく貴重なものですよ?国が買えるかもです」


 国・・・?冗談だろ?


「・・・お父さんも、どうしてそんな物を持ってたんでしょう・・・」

う~ん、なんて言いつつ珍しく唸ってるエリシア。

そういえば、まだ話してなかったな。



「これは、俺の本当の母さんの形見なんだ」

俺は、エリシアの目を見て、切り出した。


「・・・・え?」

エリシアが固まった。珍しい。



「だから、俺の本当の母さんの形見。俺の母さんは、俺が赤ん坊の時に死んじゃったの」




「じゃあ、リックお兄さんとリリーは?」

そう聞いてくるエリシアに、リックはお兄さんなのかよ、と思いつつ俺は答えた。


「ん、あの二人は母さんの子どもだよ。」



「・・・アル、リックお兄さんとリリーは知ってるんです?」

エリシアが、聞いていいのだろうかという表情ながらも、聞いてきた。


「兄さんは知ってるけど、リリーには言ってないなぁ。機会がなかったから」


俺は正直にそう答えたが、エリシアはなんともいえない顔をした。




と、小さく「まずいかもです」って聞こえた~気が~した~


♪~~チャラッ、チャ~ララララ~

―次回予告―

「ついにエリシアに明かされた俺の過去!」

「リリーがどんな反応をするのか不安です・・・」


「さて、次回は結界の中に突入だ!」

「アル、がんばりましょうね!」


「銀雷の魔術師、第二章七話:『誰が為に』

 みんな!絶対見てくれよな!」


「リリーには負けないです!」

「え、なんか勝負してるのか?」


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