第五話:イレギュラー
さて、お手製の拠点で目覚めた俺は、外に出て、池で顔を洗ってご飯を食べた。
「今日のメニューは干し肉のステーキに、ただの水でございま~す♪」
あ~、サバイバル嫌だな。というか、食料を補充せねば。
俺は、魔法玉で(2話で剣に使ってたヤツ。結界は壊されなければ何度でも使える。)
結界を張って、食料を探しに行くことに。
「あ、そういえば今日から仲間OKだ」
そう、今日から学園長はパーティの編成を許可している。
が、とにかく仲間にすればいいわけではない。
気の合わない仲間がいても困るだけだろう。
さて、俺はいつもの飛行魔法で空から仲間or食料を探すことに。
「はぁ、空は広いなぁ・・・」
今日も晴天。小春日和?だ。今は4月23日だったりする。
あれ、小春日和っていつ使える言葉だっけな~とかおもいつつ・・・
『―――小春日和は、春じゃない。冬の季語。』
(――――んな!?)
俺は、いつかの、誰かの、声を聞いた気がした。
が、
(――――駄目だ!思い出せない。俺は何か忘れて・・・!?
・・・いや、もう俺には関係の無い世界のことだ。俺は、もう・・・)
俺は、迷いを断ち切るべく、全力で飛行しようとして何かを感じた。
(――――魔力!ビッグボアじゃない!もっと荒々しい!)
俺は、かつて無く荒々しく強力な魔力を――。
(いや、<グリディア>ほどじゃない。アイツは底が見えなかった。)
俺は、どうするか迷い、そして、その存在に追われてるらしい魔力を察知した。
「―――この魔力!人間が追われてるのか!?」
ならば一刻の猶予も無い。
俺は<アウロラ>を抜き、魔力を集める。
「我が体は稲妻!空を裂き風よりも早く進む!<サンダー・ミグラトリィ!>」
―――――ドガァァァァン!
俺の体は稲妻と化し、巨大な魔力の方向へ一気に移動し、気配の付近で急停止。
そして、その正体を見た。
赤い鱗に覆われた、5メートルもあろうかという巨体。
鋭い爪、牙。
やはり巨大な翼。
そして棘の付いた尾。
2本の細いながらも強靭そうな脚。
(――――ワイバーン!?)
Aランクに相当する、強力な魔獣の姿がそこにあった。
ドラゴンほどでは無く、また、話も通じないらしいが、
その戦闘力はAランク最強と言われる。
だが、魔獣の森には生息していないはずだ!
が、現にいるものは仕方ない。
とにかく、追われている人を助けて逃げようと思った。
そして、追われていた気配、近づいたので二人と分かった――、のほうを向き、俺は見た。
ウチのクラスの担任である、まるで生徒みたいな先生が、一緒に逃げていた生徒に、
何かを呟き、先に逃がすのを。
その生徒が何か言って、おそらく助けを呼びに走るのを。
そして、その小さな先生が、ワイバーンに立ち向かうのを見た。
俺には訳が分からなかった。
―――どうして先生は転移で逃げない?
―――ワイバーンが出るのは予想外で、先生が対処できない魔物は想定外だったんだろう。
―――生徒の持ってた転移の玉は?
―――それを使ったから、先生といるんだろう。
―――先生はワイバーンに勝てるか?
―――無理だな。あの先生の専門は治癒だ。
―――どうしてこうなった?
―――こんな場所にワイバーンがいるはずは無かった。
そして、ビッグボア程度なら、どの引率の先生でも勝てた。
だから、転移の玉を使うと最寄の先生に移動する仕組みだった。
読みが甘いとも言えるが、イレギュラー過ぎたな。
転移して逃げたはいいものの、すぐ近くに転移。
すぐにワイバーンに補足された。
そして、先生は命がけでワイバーンを足止めする。
―――俺なら、勝てるか?
―――どうだろうな?
先生が、ワイバーンに無数の水球を放ち、
しかし、ワイバーンの放った熱線に全て焼き尽くされ、先生が吹き飛ばされる。
『アルちゃん!教室では先生は絶対権力なんですよっ!』
学校の初日に、先生が言ってた言葉を思い出した。
―――ッ!?馬鹿か俺は。なんで悩んでるんだよ!
勝ち目が無くても諦めたら駄目だろう!
あんな意味の分からない先生、助けないわけにはいかないだろう?
あれ、なんかいい話っぽく言ってるけど、何かおかしくないか・・・?
「天をも切り裂く稲妻よ!我が敵に裁きを!<サンダーボルト!>」
―――ドガァァァン!
晴天に雷鳴が轟き、ワイバーンの額に直撃する。
が、ワイバーンの魔力装甲で簡単に弾かれてしまった。
(・・・うわぁ、やる気なくなるなぁ)
いともたやすく弾かれてしまったが、本来の目的は果たした。
「――――グガァァァァ!」
ワイバーンが怒りの咆哮をあげ、俺を睨みつけた。
「そうだ、それでいい!お前の相手は俺だ!」
俺は、右手の<アウロラ>を構え、左手で<アリアティル>を抜いた。
―――風が耳元で唸りをあげ、俺の体を叩く。
一気に加速して突っ込んだ俺に対して、ワイバーンは熱線を噴いて迎え撃つ。
俺は急上昇して回避し、2本の剣に魔力を集める。
「唸れ!<ダブル・ソニック!>」
二本の魔法剣から、白と碧の衝撃波が飛び出し、ワイバーンを狙う。
が、ワイバーンは横に飛んで回避。
そのまま反転、加速して、こんどは向こうから突っ込んできた。
「―――――グガァァァァ!」
ワイバーンの口から先ほどの数倍の大きさの熱線が放たれる。
(――――デカ過ぎだろ!?避けられない!)
とっさに判断した俺は、2本の剣をぶん投げる。
「<霹靂!>」
二本の剣が白い稲妻となって熱線と激突。
熱線と雷は相殺し、剣だけが残り、ワイバーンの額に若干傷をつけて、地面に落ちた。
「――――グギャァァァァ!」
ものすごくワイバーンがお怒りです・・・
「・・・やば、武器無いや」
仕方がない。できる限り避けたかったのだが――――!
――――魔力全開!
『――天をも切り裂く銀の雷――』
が、ワイバーンが割り込みで熱線を吐く。
空気よめ!と叫びたいが仕方ない。
『<サンダーボルト!>』
詠唱簡略版で威力4割減(推定)の銀の雷と熱線が激突する。
―――雷が熱線を打ち消し、そのままこっちに突っ込んでくるワイバーンにあたった。
が、その勢いは衰えな・・・
突っ込んで来てるだと!?
「乱れ飛べ!<ガトリング・サンダーアロー!>」
次々放たれる銀雷の矢だが、ワイバーンの魔力装甲を貫けない!
そして、ワイバーンは俺を噛み砕こうと大きく口を開け――――
「<サンダーボルト!>」
咄嗟に無詠唱で撃った俺の電撃を食った。
「グギャァァァァ!?」
お口に召さなかった模様。アホかこいつ。助かった。
ワイバーンが悶絶してるいまがチャンス!
「其は見えざる力!鉄を引き付ける力!<マグネティション!>」
俺の手から、強力な指向性の磁力が飛び出し、鉄を引き付ける。
これで剣を引き寄せて―――!
が、<アリアティル>と大量の砂鉄は来たが、<アウロラ>は来ない。
―――まさか、アウロラは磁石に引き寄せられない!?
そういえば、アリアティルにしかまだ試してなかった!
使うたびに砂鉄やら金属製品が飛来するこの術は、もっとも使いたくない術なのだ!
が、戦闘中はこの砂鉄は俺の役に立つ!
『無数の鉄よ!銀雷によりその身を弾丸と化せ!<微細なる四源の雷砲!>』
銀の雷がプラズマを発生させ、その膨張圧によって、一気に砂鉄が超高速で発射される!
俺が膨大な魔力を込めたそれらは銀の流星群となり、ワイバーンに激突し―――――!
―――――ズガガガガガガガガガーーーン!
すさまじい轟音と共にワイバーンの体は無数の穴を空けられ、落下した。
そして、俺は撃墜を確認してから、魔力の解放を抑え―――
―――激痛に身を焼かれた。
「――がはっ、無理し過ぎた・・・かな」
俺はそのまま意識を失って、落下する直前、
誰かが俺の名前を叫ぶのを聞いた気がした。
こんな作品を読んで下さった方。
ありがとうございます!
もしかしなくても、最近面白くないなー。と思われてるかもしれませんが・・・。
面白い作品が書けるよう、頑張りますので、どうか生暖かく見守ってください!