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銀雷の魔術師  作者: 天城 誠
おまけ
149/155

エリシアのお買い物

えーと、絵をいただいてこの前の話に載せさせていただいてます。

この話は私なりのお礼?で封印してたのを少し手直しした話です。


なかなか珍しいエリシア視点の話なんですが……何かがおかしいんですよね。

まぁ、あくまでもオマケとしてお楽しみください。


後、後書きにオマケのオマケ企画があります




「……なぁ、エリシア?」

「はい、なんですか?」




 エリシアはいつも通りに学校の寮のアルの部屋を掃除していた。

 というか、最早自分の部屋には掃除するとき以外帰っていないのだが、一応この学校には他の寮生の部屋で生活してはいけないという規則はないので問題はない。

 もちろん、両者の同意があること前提だが。



 そんなわけで私は、クローゼットを見ていたアルに向き直りつつ雑巾をバケツに引っ掛けておいたのだが、何やらアルはハンガーにかけてある私の服を見て何やら微妙な顔をしている。



「その……アル? 何か悪いところとかありましたか……?」



 少し不安になりつつ聞いてみると、アルは「違う違う」と首を振りつつ言った。



「エリシア、これ以外に服とかないのか? 自分の部屋とかにさ」



 言われて見れば確かに私は普段制服を着ていて、それ以外となると誕生日にアルからもらった服とか、お母さんが半年前に「女の子なんだからオシャレしないと!」と言って買ってくれた服とか、メイド服 (アルに貰った)くらいしかない。



「……その、ないです」



 痛恨のミスだった。

 いつも制服しか着ていないなんて、年頃の女の子失格。

 休日でも制服で、たまにメイド服を着るくらい(たまに着るとアルが喜ぶ)なんて、よくよく考えてみるとアルに呆れられても仕方がない。


 一体何を言われるだろうかと、私は体を小さくして俯いた――のだが、アルは微妙に申し訳なさそうな顔をしつつ私の手を握って金貨を10枚ほど(100万円相当)と白金貨を5枚 (500万円相当)を私の手に乗せた。



「ア、アル……?」


「ごめんな、ロクに気を遣ってやれなくて。今日はせっかくの日曜日だし、エリシアの着たい服を買ってこいよ。あと、お金は余っても返却するなよ。まぁ、余ったらパーティ用の新しいドレスでも注文すればいいさ」




 そう言ってアルは私の頭を優しく撫でてくれて、思わず了承しそうになった。

 けれども、確かに最高級の洋服でも買えばこれくらいでちょうどいいのかもしれないが(この世界だと魔法素材の服などがとても高価)、そもそも私自身が超級の魔法素材みたいなものなので、服に拘る必要はないのだ。




「こ、こんなにいらないです!」


「ダメだ。俺がエリシアがオシャレするのを見たいってことで納得してくれ。服以外にも欲しいものがあったら何でも買っていいからな」




 アルが私のオシャレを見たい……。

 そう言われては拒否することはできない。私はグッと拳を握って頷き、こうして私のお買い物は始まった―――。








 皇都において最も人気があり、ありとあらゆる服はここに集まるとまで言われた皇家御用達の店、それがエルミーナ服飾店である。


 いや、私はそんなところに来るつもりはなかった。

 アルに貰ったお金である。そんな無駄遣いはできない。時間をかけてじっくりアルのお財布に忍び込ませておくなり、それが無理なら料理の材料を買うのに使ってアルに食べてもらうなりで使おうと思っていた。


 流石にオシャレに金貨を10枚や白金貨を使うなんてのは無いだろうと。


 私だって本当にいいドレスとかがものすごい値段だったりすることは分かっている。でも、アルに「遠慮し過ぎじゃないか?」と思われないギリギリくらいまで節約するつもりだった。そのはずだったのだが……。




「……エリー、早く入ろう?」

「大丈夫ですよ、貸切にしたのは私ですから。さぁ、入りましょう」

「は、はい……」




 気がつくとローラとフィリアに連れられて、この超高級洋服店に入れられていた。

 どうやらアルに私の考えがバレていて、ローラとフィリアが派遣されたらしい。

 しかも貸切!? い、一体いくら掛かってるんです……?

(実際はお得意様というか皇女様なフィリアはお金を払わなくても貸切にできる)



 中に入ってみると、煌びやかな服から比較的質素な、しかし明らかに高級な素材で作られている服、そしてなんだか異彩を放つ奇妙な服までよりどりみどりだった。



「「「いらっしゃいませ、ようこそエルミーナ服飾店へ」」」



「はい、今日は私の大切な友人の服を探しているのです。ですが、せっかく友人と来たので私たちだけで見て回らせてもらいますね。何かありましたらお呼びしますから、その時はよろしくお願いいたします」




「「「かしこまりました、どうぞごゆっくり」」」




 店員さんたちは見事に一礼し、素早く後ろに下がっていった。

 フィリアって、本当に皇女様なんですね…。なんてことをサラリと挨拶しているフィリアを見ながら考えていると、フィリアに先導され、ローラに背中を押されて一番高級な服のところに連れてこられてしまった。




「さぁ、エリー。オシャレしてアルを驚かせてあげましょう!」

「……わくわく」


「た、高いです…っ!? も、もっと普通のお洋服でいいですっ!」




 何気なく値札を見て私は思わず絶句。服1枚で金貨1枚分って……。

 しかしながらフィリアとローラは全く私を無視してピンク色とかのとびきり可愛らしすぎる服とかを品定めしている。



「これとかエリーに似合いそうですね!」

「……ん、すごくいい」


「こ、こういうほうがいいです…っ!」



 そんなフリフリした可愛らしい服を着せられては堪らないと、私は素早く比較的質素なゾーンから白のワンピース(若干レース付き)を取ってきた。

 私としては十分に派手な部類だったのだが―――。




「エリー、それもいいですけど…。たまにはこういうのもどうですか?」

「……うん、似合ってるからとりあえずそれ『も』(ここ強調)購入」


「……あぅ」




「とりあえず試着してみましょう? エリー?」

「……大丈夫、大人しく着てくれれば悪いようにはしない」


「そ、そんな可愛らしい服は無理です…っ」




 ローラのセリフが悪役っぽいとかツッコむ余裕もなく、首を横に振りつつジリジリと後ろに下がる。が、ローラが笑顔で服を私に差し出しつつ言った。




「アルが可愛い服を着たエリーが見たいって」


「あぅぅ……」




 結論、諦めて試着した。

 可愛らしさを追求しました! とばかりのフリフリのピンクの服を渡され、「着せてあげようか?」と言うローラの提案を固辞して、試着室でサクッと試着して鏡を見て絶望した。




「………ぅぅ~~っ」




 確かに服は可愛い。可愛いけれども。

 私が可愛い服を着ると余計に幼く見えるという弊害が発生するのだ!

 ダメだ。せっかくいつもシンプルな服で少しでもオトナっぽくしているつもりだったのに、こんなのはアルに見せられない。



「エリー、着れましたか?」

「……入るよ?」


「ま、待ってください、やっぱり脱ぎま―――」




 問答無用で試着室のカーテンが開けられ、私はガックリと肩を落とした。



「……おおーっ」

「エリー、凄く可愛いですよ!」


「脱いでいいです……?」





「ど、どうしてですか? 凄く似合ってますよ?」

「……うん、可愛いよ?」


「……二人とも、正直に言って今の私が何歳に見えますか……?」





「……え、えーと……じゅ、12歳くらいでしょうか?」

「……ロリ?」


「あぅぅ……」




 ロリ、ロリって……。

 しかし、厳然たる事実として着せ替え人形みたいな自分が鏡にうつっていて、自分で言うのもなんだけれどもかなり子どもっぽい。いつも以上に。

 



「うぅ~~……だから嫌だったんです…」


「だ、大丈夫ですよエリー、アルならきっと……」

「……もしかしたらアルがロリコンかも」




「アルにだけは子ども扱いされたくないんです……」




 アルに恋心を抱いたのはいつのことだったか。

 前世からと言えばそれまでだけれど、こっちの世界で明確にアルを異性として意識しだしたのは確か13……いや、12歳くらいの頃だっただろうか。


 一度、お風呂場遭遇アクシンデントが起きた時に私はものすごく恥ずかしかったのに、アルが何とも思っていないみたいだったのを見てすごく悲しかったのを覚えている。いや、申し訳なさそうではあったけれど。


 それからというもの、お母さんにお化粧を習ってみたり(アルの反応は微妙だったので止めた)、香水をつけてみたり(アルも私も香水の匂いはあんまり好きじゃないことが判明して止めた)、少しでもアルに女性としてみてもらうべく全力を尽くし、ある一つの答えを得た。



―――可愛い服を着ていると、余計にアルに子ども扱いされる。




 恋する相手に異性として見てもらえないどころか子ども扱いされるのが、いかに辛いか分かるだろうか。子どもっぽいのがコンプレックスな私ならなおさらである。





「……わかった。私たちに任せて」




 ローラは真剣な表情で頷くと、フィリアの手を引いて――――カオスな服が置いてあるゾーンに突撃した。



(な、なんだか嫌な予感がします……っ!?)





…………………





「<グラス・バード>の羽根を使った最高級ネグリジェですね」

「……うん、これならオトナっぽい」




 ローラとフィリアはどうやら、オトナっぽい服を探してくれることにしたらしい。

 オトナっぽい、確かにオトナっぽいですけど……っ。



「ス、スケスケです……っ!?」


「はい、夜着ですから」

「……頑張って、エリー。これがここの世界観だから」




 ローラの言葉にフィリアは若干不思議そうだが、私には分かる。

 ……前世のパジャマが懐かしいです…。




「で、でも、これだと下着が見えちゃうと思うんです!」


「ええ、そうですよ。夜着ですから」

「……ふふっ、大丈夫だよ。ちゃんと下着もスケスケなのを用意してるから」




 フィリアは『それが常識じゃないですか』という表情で、ローラは完全に笑いを堪えている。うぅ~~、全然だいじょうぶじゃないです! 後で覚えていてください……! 



「エリー、試着試着♪」


「ぜ、ぜったい着ないです!」

「でもエリー、試着はしておいたほうがいいですよ?」




 な、なんで買うことが前提になってるんですっ!?

 私はチラリとローラが笑顔 (すごく楽しそう)で差し出してくるスケスケ下着とネグリジェを見て、着たらどうなるか想像。




「あ、アウトーっ! ですっ!」


「大丈夫ですよ、貸し切ってますから他のお客さんはいませんし、この店には男の人は入店できませんから。貸し切れば可能ですけど」


「……アル呼ぼうか?」




「わぁぁーっ、わぁぁーっ!? アルはぜったいダメですっ!」




 もしアルが来たらどうなるのか想像に難くない。

 ローラがさも困った風を装ってアルにこう切り出すのだ。



『……アル、エリーが遠慮して服を買わない』

『エリシア、遠慮はするなとあれほど……』



『ち、違います! 私は……っ!』

『買っとけ、どうせお金には困ってないし使い道も大してないんだから』



『で、でも……っ』

『……エリシア』



『……はい』




 買わされます…っ、ぜったい買わされます……っ!

 アルに何を買おうとしてるのか知らせないのがローラの策士たる所以で、アルにスケスケ服を買わされそうなことを伝えられればアルも『……いや、それはいらないだろ』と言ってくれると思うのだが、私がアルに『……ス、スケスケの下着が』なんて言えるハズもなく。


 しかもアルから貰ったお金で買ったとなっては着ないわけにもいかないという私の心理を突いた最悪の策略です……。





「でも、それだとエリーは普段は寝るときに何を着ているのですか?」

「……あ、そういえば」



 フィリアが若干興味深そうに聞いてきて、ローラも若干興味があったようでスケスケ下着を押し付けてくるのを止めてくれたので、私はホッと胸を撫で下ろしつつ答えた。



「えっと、ちょっと古くなったワンピースとかです?」


「「………」」



 な、なんでそんな残念な人を見るみたいな目で見るんです…っ!?



「……エリー、いくらアル相手でもそれは……」

「その……お金に困っているのですか?」


「だ、だって……一応、これまではただの養子というか居候でしたし……」





 タダで泊めてもらっている上にお小遣いやら何やら何でも貰えてしまう環境であるが故に、自分に使うお金については可能な限り節約してきた。

 愕然としているフィリアが何か言おうとしたものの、それをローラが止めて口を開いた。



「……エリー、アルのこと、好きなんだよね?」

「そ、それはその……はい」




「……いい、エリー。アルは何だかんだ言っても貴族の次男だよ(とても全くそうは見えないけど)。一般的な平民からすれば王子様と同じようなものなの。それなのにあっちの世界観引きずってると足元掬われるよ。……というか、お金とアルならどっちが大切なの?」


「―――アルです…っ!」



 そう、そうだった……。

 アルやお父さん、お母さんが好きなものを買うようにってお金をくれているのだから、ちゃんとその好意に甘えてオシャレをすればよかった。


 それなのに私は、申し訳ないなんて見当違いの事を言ってほとんど手付かずのまま貯金してしまっていた(返却はアルに禁止された)。

 むしろ、せっかくくれたものを使わないほうが失礼ではないだろうか?







「それじゃあちゃんと買い物する?」

「はいっ!」



「約束だよ? アルに誓ってね?」

「はいっ! ……え?」




 若干涙目で即答した私にローラは満足げに微笑むと、どこからともなく何に使うのか全くわからない服を大量に取り出した。




「え、えっと……?」


「……でも本当にこのお店すごいね、フィリア。スクール水着から着ぐるみ……これ獣耳?」

「はい、それは魔法具で聴覚を強化できる逸品ですね。金貨3枚くらいしますけれど、今なら尻尾もついてくるみたいですよ」




「うん、エリーなら似合いそう。買いだね、フィリア」

「はい、そうですね」


「あ、あの…?」




 なんだかものすごく嫌な予感がします……っ!?

 私は冷や汗をダラダラと流し、ローラとフィリアが心底楽しそうに笑った。



「……アルのためだよ、エリー。試着試着♪」

「ふふっ、みんなでお買い物って楽しいですね♪」


「……ア、アルっ、たすけてください~~~っ!?」




 私の心からの叫びは、しかしアルには届かなかった。









――――――――――――――――――――――――――――――





「――――っと、こんなもんかな」



 エリシアを買い物に行かせ、なおかつフィリアとローラも同行させることで物凄く久しぶりに一人だけの時間を作った俺は、皇都の店を色々と回ってエリシアの誕生日プレゼントの準備をしていた。



「やっぱり、直前に準備してるとバレるからな」



 心配性のエリシアが誕生日を忘れられてるのではと凹む恐れもあるけど、まぁそれは誕生日イベントの定番ということで我慢してもらおう。

 皇都で一番いいものを手に入れようとしたせいでもうすっかり暗くなってしまっているというか、もう晩飯も間に合わないな……。まぁ、エリシアなら誠実に謝れば許してくれるだろう。



 俺は飛行魔法を起動して勢いよく飛び立ち、午後10時くらいに屋敷に帰還。

 正面玄関から入るのが面倒だったので、自分の部屋の窓から直接入った。



 のだが、部屋は真っ暗なのに何やら人の気配が―――というか、エリシアの気配があった。

 俺は何気なくエリシアの気配のあるベッドの方を見つつ謝ろうとした。




「あー、ごめんなエリシア。帰るの遅くな…って……?」



 謝ろうとしたのだが、驚きのあまり言葉が続かなかった。


 エリシアは白銀の髪から同じく白銀の狐っぽい耳を生やして恥ずかしそうに俯き、いつもの寝巻き用ワンピースとかではなくスケスケのネグリジェを着ていて、雪のように白い肌がほんのり羞恥で赤く染まっているのもほとんど丸見えだった。


 というか下着もスケスケで、不安そうにパタパタしてる狐っぽい尻尾とかイロイロ丸見えだった。



「お、おかえりなさい…。その、お風呂にしますか? ご飯にしますか? それとも……その……わたし、です…?」




 俺はたっぷり数秒硬直してから、なんとか言葉を捻り出す。



「…………とりあえず、何だ。可愛いよ」

「ほ、ホントですか…っ!?」




 エリシアの不安そうな顔がパッと輝くような笑顔になって獣耳がピコッと動き、尻尾が喜びを全力で表現してパタパタと振られる。

 とりあえず、こういう不安そうなときは褒めておくに限る。




「よかったです……」



 エリシアは「安心しました……」とばかりの脱力した表情になりつつスケスケの体を腕で隠して、改めて俺に笑顔で言った。



「アル、おかえりなさいです。お風呂とご飯、どっちにしますか?」

「じゃあ、エリシアで」




 俺は何気なくエリシアに近づき、「え?」と呆然としているエリシアの尻尾を掴んだ。



「ふゃぁ!?」

「いや、エリシアがいいって言うから」



「そ、そのっ、言葉のあやというかです…っ!?」

「うわっ、尻尾にも感覚あるのか。恐るべし魔法世界……」



「あぅぅ……っ」





 とりあえず、エリシアを買い物に行かせて良かったなと俺は思った。

 まぁ、エリシアがどう思ったかはまた別の話。






オマケのオマケ。読者さんに助けてもらう企画



エリシアのメイド修行シリーズ(打ち切りの可能性あり)





「メイド心得ひとーーーつ! 『ご主人様の命令は絶対』っ!」


「ご主人様の命令は絶対ですっ!」

「わーわー」




「ふたーーーつ! 『いつも明るく、スマイル0円プライスレス』っ!」


「いつも明るくプライスレス、ですっ!」

「いつもニコニコ、貴方の後ろに這い寄る笑顔~!」




「………」

「………リリー、何か間違ってないです?」

「いいのいいの。というか、エリーも普通に間違えてるでしょ」





 というわけで私とリリーは、シルフィーからメイド修行を受けるためにシルフィーの部屋でメイド服を着て、謎のメイド心得を大声で言わされていた。

 ちなみに受講理由は私はもっとアルの役に立ちたいからで、リリーは暇だからとのこと。



 シルフィーは私たちがうまく言えなかったからか、少し拗ねたような顔をしていたものの、2,3秒で立ち直ってビシッと指を私に向けて言った。




「メイドとは何かっ! それは……私たちメイドにとっては自分より上の身分の人に尽くす職業! お客様、あるいはご主人様の喜ぶ顔が見たいから……粉骨砕身・誠心誠意・獅子奮迅で全てを捧げる! あるいはお金や生活の為に全てを我慢する職業!」



「す、すごいです…っ!」

「……ところどころ妙に生々しいような」




 私がメイドの予想以上の奥深さに感動していると(嫌な相手に仕えるような忍耐は私には存在しないから)、リリーも(ある意味?)感動したようで苦笑いしている。

 シルフィーも私たちの反応に満足したのか、満足げに頷くとどこからともなく何か手をいれる穴のようなもののある箱を取り出した。



「さて、そんなわけでまずはメイドの辛さを知ってもらっちゃいますよっ♪ この箱には私が想定した大変な任務が入っているから、ここから私がランダムで引いた指示に従ってメイドのお仕事体験をしてもらいます♪」


「す、すごそうです…っ」

「……も、もっと普通のメイドを想像してたのに」




 シルフィーは恐れおののく私たちを見て非常に楽しそうにしつつ、無造作に箱に手を突っ込んでガサガサと漁り、一気に引き抜く。




「ど~れ~に、しようかな~っ♪ キミに決めたっ! ジャジャ~ン♪」


「そ、それは…っ!?」

「う、嘘っ!?」





―――――――――――――――――――――――




アル「えーと、ここでシルフが引いた指令の内容を募集します。何でもいいので適当に何か楽しそうなことを思いつきましたら是非送りつけてください」



リリー「えっと、ただし『リック兄さんとキス』のようなエリーが(怒りで)爆発しそうな指令はお願いですから止めてください」



アル 「是非ご応募お願いします!」


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