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銀雷の魔術師  作者: 天城 誠
第一章:魔法学校合宿編
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第四話:拠点

俺は森の中を歩いていた。

実はかな~り丈夫な白と青の制服(長袖長ズボン)に黒いコート。

(前に軽く流したが、コートを着るのが今の皇国の流行なのだ。あと、俺は寒いのイヤ)

腰には愛剣<アウロラ>と<アリアティル>。


さて、父さんが俺を引き取ってくれたのは前に言ったが、

別に両親にすてられた訳じゃない。


父さんが領主の仕事で、ティルグリム山脈近くに行った時に、

瀕死の重傷を負った俺の母さんに会って、俺の事を引き取ってもらえないか頼まれたそうだ。


そのときに俺が成長したら<アウロラ>を渡して欲しいと頼まれ、預かったらしい。

つまり、この剣は母さんの形見でもある。

ちなみに、父さんはせめてものお礼にと、

魔法剣<エルディル>をもらったが、エリシアに似合うから。という理由であげている。


確かに白い<焔>属性の剣でぴったりだが。

いい父さんだよな。

いい意味で論外だ。(論ずるまでもなく良い人という意味だ。今回は。)



さて、もう一度言うが俺は森を歩いている。

なんで飛ばないの?って感じだが、理由は簡単。


飛行魔法は魔力消費が激しいのだ!

明確な目的地があるならまだしも、あてどなく大量の魔力を消費するのは良くない。

サバイバルである以上、夜も大変なのだ・・・魔獣の森だし。

二人以上いれば交代で寝れるんだけどなぁ・・・


なんで一人なのか、その理由を説明・・・・いや、少し回想をしよう。






――――さて、時刻はおよそ3時間前。午前8時頃だ。


テントは全て魔法によって撤去が完了し、俺たち生徒は学園長に集められた。



「さて、お前たちも大分肉焼きができるようになって何よりだ。

 先日の宣言通り、今日からサバイバル合宿とする。

 私はこの場所で採点を行う。他の先生方は巡回する。

 他の先生に獲物を見せても、私が採点できる。甘い先生に見せても無駄だ!

 

 当然、二人以上のほうが有利だが、今日の間は合流を認めん!

 明日以降は偶然出会った場合は、合流しても構わんが。

 お前たちは、一人でいることの危険さを今の内に知れ!

 一人で何でもできるなどと甘い考えは持つな!

 

 さてと、ここで大切なのが、先ほど配った魔法玉だ。(2話参照)

 三つ配ったそれぞれが、シールド、発信機、緊急離脱の3つとなる。

 シールドは一人が二つ以上持つと、互いに打ち消すから気をつけろ。

 シールドの魔法玉が破壊されたら、すぐさま緊急離脱の魔法玉を発動しろ。

 最寄の先生のところに転移する。

 

 あと、シールドを過信すると死ぬ。お前たちなら平気だと思うが、絶対死ぬなよ。

 死なないことが最重要なのは、どこでも同じだ。

 生きていれば、及第点は間違いなくやる。それでは、健闘を祈る!」






――――という感じだった。


・・・とんでもない先生だよな。

まあ、きちんと色々配慮はされてる気はするが。

あと、<火>属性の生徒もサバイバルはやる。

前回行かせずに食事を作らせたのは、「食事を作ってくれる存在のありがたさを知れ!」とのこと。

あと、役割分担の大切さだったっけな?


そんなわけで、俺は魔力を温存してるのだ。

本来ならば食料探しをしなくてはならないが、昨日の干し肉に、今朝汲んだ湖の水がある。


というか、水も念のために汲んだだけで、魔法でどうにでもなる。

学園長には感心されたが。


まあ、何が起こるか分からないしな。

魔法が効きやすい場所とか、効きにくい場所とかあるらしいし。


魔法の効きやすさっていうのは、そんなに大差がでるものでは無い。

まあ、迷宮の中だと効きやすかったり、効きにくかったりが極端らしいが。

地脈と精霊と気勢と相性と気運と星の巡りがなんとかかんとか?


・・・まあ、難しかったので割愛。

つまり、魔力はプライスレス。お金じゃ買えない。大切に。



某空飛ぶアイテムも連続で飛んだらバッテリーが切れて、

大事なときに、「またバッテリー切れぇ!?」ってなるから。

魔力も温存したほうがいいのだ。



「とりあえず安全に眠れる場所があればいいんだけどなぁ・・・」

結界を張って寝る手もあるが・・・

ビッグボアに突進されたら最悪だな。


「でも、ビッグボアはそうそう会う魔獣じゃないしな・・・」

二日連続エンカウントの為、説得力は皆無だが。

と、なにかおかしな気配を感知。


「なんだ・・・?魔力の流れがおかしい」

俺は、何か漠然とした――だが、確かに異変を感じた。


「なにか隠蔽呪文がかけられてるのか?」

そう、まるで何かが隠されてるように感じたのだ。

が、次の瞬間にはその感覚は既に無かった。


「・・・天駆ける疾風の翼をこの背に!<ウィング!>」

俺は、とにかく安全を確保するべく、一旦空へと舞い上がった。



(・・・ない。何も無い。)

上空50メートルほどまで一気に舞い上がり、周囲の魔力を探知するが、

遠くに人間らしき魔力をいくつか感じるのと、

小型の魔獣の気配ばかりだ。

先ほどの違和感の正体も、強力な魔獣の気配も無い。


(でも、魔獣は人間よりも上手く気配(魔力)を隠すからな・・・)

俺は、念を入れて南へ移動することにした。






―――さて、南へおよそ5キロ(俺主観)移動し、

俺は魔力温存について思い出した。



俺は、森の少し開けた場所に着地。


「お、池がある」

俺は池に近づき、水質チェック。


うん、大丈夫そうだな。たぶん。

よ~し、昼ごはんにするか!


今日の昼ごはんは干し肉焼きと、湖から汲んでおいた水。

いや~、質素だが、食事があるって素晴らしいな。


「そうだ。自分で拠点を作ればいいんじゃないか」

そう、そんな立派なものじゃなくていい、ちょっとした秘密基地みたいなので・・・

魔法があるから丈夫につくれるだろう。


そんなわけで、俺は残りの時間を拠点作りに費やした。









――――新番組!「劇的?ビーフ&アフロー!」――――


*この企画は、アルの脳内で行われました。よって、今いない人物も登場します。

  また、突発的企画なので、しつこいのが嫌いな方はスルーして下さい。









♪~~チャララララ~ン、チャ~ラン、ラン!チャララララ~ン、チャラララン!









「えっと、なんということでしょう? 本日も始まりました。『劇的?ビーフ&アフロー!』

実況はエリシア・フォーラスブルグです?」


「解説は、私!リリネア・フォーラスブルグです!」



「えと、リリネアさん、本日はどのようなお宅なんでしょうか?」


「はい、エリシアさん。今回のお宅はこのような感じです!」



―――デデーン!



「なんということでしょう。ただ池の近くの広場に穴が掘ってあるだけですね」


「はい、そうなんです。今回のお宅はただの穴です。

 このままでは風通しも悪く、カビが生えそうです。

 雨も吹き込んできますし、お風呂場も台所も階段すらもありません・・・」



「なんということでしょう。魔法製、築5分だそうです」


「そうなんですね~、非常に手抜き工事ですね!

 工匠はこの家をどのように変身させるのでしょうか?」



「なんということでしょう。

 今回、この家を改修していただいた工匠は、アルネア・フォーラスブルグさんです」



「どうも。アルネア・フォーラスブルグです」


「ようこそいらっしゃいました。おにぃ・・・アルネアさん。

 今回の改修のテーマをお教えくださいますか?」



「はい、そうですね・・・今回は防犯を重視してみました。」


「なんということでしょう。ただの穴に防犯なんてあるのでしょうか。

 では、VTRを見てみましょう」



「え~、まず工匠は、内装に手をつけるようです。

 さあ、この水がしみこみやすく、ゴツゴツザラザラの床をどうするのでしょうか」



「なんということでしょう、そこら辺に生えてた柔らかい草を敷き詰め始めました」


「これは、おにぃ・・・アルネアさん。どのようなものですか?」


「はい、これはそこら辺の草ですね。これで床が柔らかくなります」


「なんという手抜きでしょう。面倒なので結果を見ましょう」



♪~~チャララ~ラ~ラ~ラ~ラ~~。チャララ~ラ~ラ~ラ~ラ~。


「なんということでしょう。

ゴツゴツザラザラだった床も、工匠が敷いたただの雑草でふかふかに?」


「これで、問題だった快適さも多少改善されたのではないでしょうか?

 次は、玄関をみてみましょう」



「なんということでしょう。ただの穴だった入り口に扉が付きました」


「おおっと、これは大きいですね。工匠さん、これにはどのような工夫があるのでしょうか?」



「はい、これにはバリアや強化呪文が掛けられているので、百人乗っても平気です」



「なんということでしょう。このバリヤで防犯も物置もバッチリです?」








「こうして、また一つの家的な何かが救われました!」


「なんという宣伝でしょう。当番組では、工匠に改修を依頼したい、

 家のようだけど家じゃない何かを募集しています?」(現在は締め切りました)


「工匠が、貴方の家のようだけど家じゃない何かをある意味劇的に?改修します」


「「「それでは皆さん、またお会いしましょう~!」」」


「えっと、この番組はフォーラスブルグ家の提供でお送りしました」



――こうして、俺の拠点は完成した。


なんだか想像以上にたくさんの方に読んで頂いたみたいで驚いてます。

こんな更新速度しか取り柄の無い作品を読んで下さって、

本当にありがとうございます。

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