表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/16

春の昼下がり

日差しが明るくなり、春を感じさせる。

そんな昼下がりーー。


咲耶と佐織はいつものイタリアンレストランで食事をしていた。


「ねぇ、咲耶。」


「えっ?何?」


パスタを食べる手を止めて、咲耶が佐織を見る。


「昨日の日下部さんとの夕食、どうだったの?」


「あぁ。昨日の夕食ね。

美味しかったよ。日下部さんのおすすめの和食屋さんで食べたけど……。」

のんびりとした咲耶の口調に


「いや、そういうことじゃなくて。」と佐織がちょっとじれったそうに言う。


「じゃあ、どういうこと?」

咲耶は美味しそうにまた、パスタを口に運ぶ。


「何かさぁ、日下部さんに付き合おう的なこと、言われなかった?」


「別に……。また、一緒にご飯行きましょうとは言われたけどね。

あと、日下部さん、写真が好きみたいで写真展に誘われた。

自分が撮った写真が展示されてるとかで。」


「それって、デートだよね。」


興奮気味の佐織を見ながら咲耶は首を傾げた。

「デート……なの?」


「そうだよ。」


「ふ~ん。」


咲耶の怪訝そうな態度に呆れたような佐織の顔。


「咲耶ってさ、高校時代も大学時代も特定の人を作らなかったよね。

たまに同級生や先輩に誘われて、映画に行ったりしたけど毎回、一度きりみたいな……。」


「そうだね……。

だって、話も合わないし。

別に隼人や佐織がいたから、話す人いたし。」


「隼人君?」


「うん。気を遣わないで話せるよ、隼人とは。」


「そ、それはそうだろうけど。」


「隼人とは、いくらでも話ができるし、感性が合うっていうか、楽しいんだよね。

話していて……。」


「咲耶……。」

隼人君は、兄妹でしょうという言葉をやっとの思いで飲み込んだ。


考えてみれば、咲耶と隼人は赤ちゃんの頃に生き別れて……また、高校生になって再会した。

まぁ、他人に近かったかもしれない。

でも、恋人にはできないんだよなぁ。

お互いに……。


佐織は美味しそうに食べる咲耶をじっと見つめていた。


実は、日下部に佐織は咲耶について、色々聞かれていたのだ。

食べ物は何が好きかとか、どんな所に連れて行ったら喜ぶかとか……。

でも、付き合って欲しいとまだ言えないのは、日下部の自信の無さ故のことかもしれない。


日下部さん、誠実で良い人そうなのに可哀想だな……。

佐織の頭の中には、日下部の人の良さそうな顔が浮かんだ。


「どうしたの、佐織。食べないの?」


咲耶の不思議そうな顔を見て

「ううん、食べるよ。大丈夫。」


佐織が精一杯の笑顔で答える。


「早く食べないとお昼休み、終わっちゃうよ。」


「そうだね。」

佐織と咲耶は急いでパスタを平らげ、席を立った。


「そういえば……。

昨日勇太君から聞いたんだけど隼人君、バレンタインデーにチョコをもらったんだって。」


レストランから会社へ向かう道で佐織が咲耶にバレンタインデーの話をし始めた。


「えっ、そうなの?誰から?」


「それがさぁ、女子高生からなんだって。」


「女子高生?

隼人はどこでそんな若い人と知り合ったのかな?」


「お店に来ていたお客さんみたいよ。」


「そうなんだ。」


「隼人君、手作りチョコに驚いて、ホワイトデーのお返しを考えているようで……。

でも、まだその子の連絡先も知らないみたい。」


「ホワイトデーねぇ……。」


咲耶はしばらく考えていたが、

「私、良いこと思い付いたかも。」と言い出した。


「良いこと?どんな?」


「後で話す。勇太君にも協力してもらわないと……。」


「え~っ、勇太君に?ますます聞きたい。

今、聞かせて~っ。」


佐織がお願いモードになったが、

「仕事が終わってからね。」と咲耶は笑いながら歩いている。


しばらくして、「わかったよ。」としぶしぶ答える佐織。


二人は、会社の入り口まで戻ってきた。 


花壇に咲く色とりどりのビオラが、日差しを浴びて賑やかに二人を迎え入れてくれた。


「一体、咲耶は何を思い付いたんだか……。」

咲耶の横顔をそっと見ながら佐織は一人思いを巡らせていた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ