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第6話 選択肢

選択肢が多いというのもまた困難だ。

その決定意思には労力を伴う。


貴族のように人生が決まっている方がずっと楽なのかもしれない。それが自分の本当にやりたいことなのかは別として。決まった道を、存在する目標をひたすらに追いかける。自由を求めたがる人もいるが、選択がない分、そこに削がれる力はない。


だからといって貴族に生まれたかったわけではない。貴族にも貴族なりの大変さがある。そもそもその目標までのツラい努力。目標を達成できなかった時の追い込まれ感。それは冒険者になる前の訓練生の時に、貴族ほどではないが、感じ受け取ったことがあるから、多少はわかる気持ちだ。


そもそもこうやって悩めるのもまた幸福なのかもしれないと。

ギルドの選択肢がある。それが自由。



薬草集めもまた選択のひとつだ。報酬は狩りをする冒険者にだいぶ見劣りするが、薬草は町民にも直接役立つし、目の前で渡して感謝されることも多い。人のぬくもりがそこにはある。

もちろん、大きい任務の凱旋パーティーでは人々の笑顔は見られるが、あまりに大衆なため、それがひとりひとりの人間と認知するには、私には難しい面がある。

わかってはいる。薬草をもらって笑顔だったあの人もこの中にいるのも。


しかし、直接お礼を言われるのと、大衆の声に歓声が混じるのとでは意味合いが全く異なる。


薬草集めはあくまで一例だが、そういった仕事というのは世の中に多く存在する。そして無駄なものも多く存在する。魔物がほとんど来ないような地域の護衛、いまパッと思いついたのはそんなものだが。

逆に、報酬が低くても、それは冒険者と比べてだが、それでも一生懸命働く者もいる。

冒険者がよく通る町の宿屋、鍛冶屋。


別に不公平だとか、大変そうだとか、そういうことではなく、事実、それらの職がちゃんと存在しているということ。そして、私はそこには向いていないのだろう、か。


私がこんな風に育っていなければ、そこにいたかもしれない。私があの凱旋パーティーに出会わず、適正訓練であの検査結果が出ず、訓練生後の最初の冒険者としての所属があのギルドではなく、その後、あのギルドを紹介されたのではなく。そうやって過去を振り返ると、ここにいるのは、今までの道の必然であって、また、偶然でもあって、運命でもあるかもしれない。

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