12. 見栄
見栄。
それは人を愚かにする、しかし、人の本能に基いた基本原理。
見栄がなければ、あんな装備品は売れないし、あんな家も売れないだろう。
豪華な剣、アクセサリー。街に来る商人は喜んでそれを売る。
あんな役職もない。あんな職業もない。
最小限のもので十分なはずだ。
凱旋パーティーだってそうだ。王、それもまた形だけ。貴族、それもまた不要。
あまり他人の見栄に興味はない、から、具体例をあげるのが難しくなってきた。
私の見栄は、何だろうか。
大きいギルドに入ること。周りの人に羨ましいと思われること。これはある。
報酬が高いこと。その報酬で装備品を整えること。豪華な休暇を過ごすこと。これもある。
それを得たところで何になるのか。何を求めているのか。
誰かに認められたいのか。
承認欲求?
それであれば、もっと楽な方法はある。
吟遊詩人や踊り子、演奏者になって騒いだらいいのだ。街中でみんなに見てもらえる。冒険者で何かをやるより安全で簡単に見てもらえる。認められるかは定かではないが。
しかし、それをやらないのは、それに恥の気持ちがあるからか。それとも、その先にあるものが虚無だからか。
やってもいないのにそれが虚無とわかるか。
そもそも見栄を張っている時点で恥そのものではないだろうか。
冒険者として、何かを得て、周りに自慢したところで、それもまた一時的な欲求解消で、けっきょくのところ、虚無そのものであろうに。
虚無とは。
それは、それを一時的に満たした後に訪れる、空虚な気持ち。何も得られなかった感覚。得られはしたが、また得たいという渇望。
後悔。それをしても意味がなかったという。
そもそも私の欲求は?




