10.5
どこで道を踏み外したのか。それはあの暗黒時代のせいか。それとも、冒険者になって、その過酷さを経験したからか。
そこまで過酷さを受けたのか。もっと過酷なダンジョンに、任務に、行っている人は大勢いる。
そこで死んでいるものも、大怪我をしたものもいる。
私はそこまでの体験はない、だろう。
吟遊詩人や他の冒険者の話を聞いてそう思った。そうだと思う。
町の人たちの生き方も見てそう感じた。
時代の流れがそういう形になった。そう、影響を受けやすいから。
理由はわからないが、ひとつは報酬にこだわっていることもある。
報酬によって身につける装備品は違ってくるが、それで他人と比べてしまうのではないだろうか。
他人よりも良い装備をしている自分に陶酔しているのではないだろうか。
ナッシュは大きいギルドだが、なぜかハドルドの方が報酬は大きい。
ハドルドは小さいながらも、その特性から、他のギルドがこなせない依頼もこなしている。また、国から支援も受けている。
報酬が多い理由はここにあるだろう。
そこで依頼をこなして、良い装備品を買える。それを身につけて、見栄を張る。
大きいギルドに入って、所属ギルドを他の人に見せて、見栄を張る。
けっきょくは見栄を張りたいだけなのかもしれない。
私が冒険者になったのは、そんな浅い理由なのか。
浅いかもしれない。凱旋パーティーを見て、それがある意味きっかけで。
でもそれもある意味、見栄。
粛々とお祝いもできたはずなのに、英雄に仕立て上げるという。
報酬が多ければ、生活は楽になる。そんなにその2つには報酬の差はない、か。
しかし、割とある、か。それは贅沢5回分くらいは違う。けっこう違う。
支給の装備品がいいとはいえ、ギルド所属の見栄が張れるとはいえ、その贅沢の分を考慮すると、やはり迷わざるを得ない。




