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17発目 戦場での死闘


 女は狙いを僕に変え、こちらに向かってくる!

ものすごい速度で向かってくる、僕では到底避けられない!


 その時、再び僕めがけて火球が飛んでくる──────!


 火球は僕と仮面の女の間に落ち、辺りを燃やす。炎に邪魔され、女は攻撃することができない。

「ちっ、奴らが来ちまうか。命拾いしたなてめえら。次は必ず殺してやる。」

そう言って、女はどこかへ消えていった──────。



──────



 『奴ら』が来ると言っていたが、おそらく反政府勢力のことだろう。僕一人で重症の春香を庇いながら戦うことができるだろうか。


 火球がまた1つ、2つ、とこっちへ向かってくる。


 燃え広がる炎の熱が僕の動揺を誘う。どうすればいい。1カ月程度の訓練しか受けていない未だ素人同然の僕が、この窮地を脱する方法は?

 策が思い浮かばないままでいると、火球が飛んできた方向から何人もの影が。やはり、仮面の女が言ったように『奴ら』のお出ましだ。

「みろよみろよ、はぐれグランデバイド兵だ!」

「ファッ、その内一人は四天王じゃないか。」

「自分トドメいいっすか?」


 ぞろぞろとやって来る敵に、僕らは完全に囲まれてしまったみたいだ。

この人数だ、勝ち目は少ないだろう。命があるまま帰還できるだろうか。降伏するか?だけどこの世界での捕虜の扱いはどういったものなのだろうか?戦ったうえで死ぬ以外の選択肢はないのか?

「素人同然の、ゲリラなら・・・今の私でも、どうにか・・・。」

倒れていた春香が起き上がり、再び剣を構える。

「向こうは戦うつもりみたいだぞ!やっちまえ!」


 傷だらけでありながら、流石は四天王というべきか、春香は一人でほとんどの敵をなぎ倒す。

「さすがは四天王だ。だが、手負い故か普段より動きが鈍い。いずれ倒せる、このまま続けるぞ。」

敵の中心メンバーらしき男が指示をする。


 再び斬り合いになる。男の見立ては正しかったのか、既に限界が近い春香は防戦一方になる。

 そして、この時を待っていたのか、ずっと木の陰に隠れていた男が春香の背後に飛び出した。

 僕はそれに気づき、春香と男の間に入り、彼の振る剣に真実の剣で対抗する。金属同士が勢いよくぶつかる甲高い音。

「邪魔するな!」

「僕もグランデバイド兵だ!仲間を助けるのは当然だ。」

春香が言っていたことは正しかったのか、敵は素人同然で、僕であっても十分に対応できるかもしれない。

 再び春香に刃を向ける男、迎え撃つ僕。

「今度こそ!四天王の首、もらい受ける!」

「そうはさせない!」


↓↓↓↓↓

≪PUSH≫


「うおおおおおおおおおお!!!」

「ぐわあああああああああ!!!」

僕の振るう剣が男を叩き、一人の撃退に成功する。奇襲要員が気づかれ、あまつさえ倒されたことに動揺したのか、敵たちの動きが一瞬止まる。

 僕はその隙を逃すまいと振り返る!


↓↓↓↓

≪連打≫


残り10人、9、8、7、6、5、4、3、2。

残り1人──────。

「うおおおおおおおおおお!!!」

「ぐわあああああああああ!!!」

僕が振るう剣が敵を一気に殲滅する。自分でも驚くほどの動きで『奴ら』をばったばったと薙ぎ払い、倒していく。

 気づけば、敵は全員倒れ、戦えるものは一人も残らなくなっていた。




「一カ月で、大した成果じゃないか・・・。くっ・・・。」

 傷だらけで、剣を支えにかろうじて膝立ちをする春香が僕を褒める。

やはり先ほどの傷と無茶がたたったのか、顔色は悪く、息も絶え絶えだ。

「だ、大丈夫?無理はしないでね。」

僕は彼女を心配するが、強がる返事が返ってくる。

「無理など、していないさ。普段通りと言っても過言では、ぐっ。」

どう考えても無理をしている。話しているこの間も、彼女は剣に体重をかけたままで、未だ立ち上がれていないのが何よりの証拠だ。

 ここに二人でいても、危険なだけでおそらく次の襲撃に僕らは対処しきれない。そう判断して、僕は詰所へ戻ることを決断した。



──────



 詰所に戻る決断を下した僕は、春香の剣をしまい、腰にかける。

「おい、なんのつもりだ?」


 そして、彼女を抱きかかえる。

「お、おい。ななななななななななな何をするんだ!?」

春香は突然の出来事に激しく動揺し、顔を真っ赤にする。

 僕もできればおぶる方が良かったと思うが、傷だらけの胸元が布と擦れれば痛みを伴うだろう。

「・・・。」

彼女も自分の置かれている状況がわかっているのか、最初に少し騒いだ以降は静かになってしまった。無言でいられるのもそれはそれで気まずい・・・。


 抱きかかえているためか、目が合う確率がヤバいよ。あと、僕もこういうキャラクターではないので、少しこそばゆく恥ずかしい。

「お、重くないか・・・?」

恥ずかしそうに春香が訊いてくる。

「全然、まったく重いなんて思わないよ。」

これは少し嘘だ。彼女自体は重くないと思うのだが、やはり装備が重い。いや、でも彼女自体も僕とそう身長が変わらないわけで普段から鍛錬を積んでいることを考慮すれば重いのかもしれない。いかんいかん、そんなこと考えるな、装備が重いだけだ。

「そ、そうか・・・。ならよかった。」

安心したようなことを言っているが、少し恥ずかしそうだ。


また目が合う。恥ずかしくなって、すぐに目を逸らしてしまう。

「こ、こういうことには、家柄故か、慣れていなくてな。」

春香が口を開く。僕は逸らした目を彼女に向けなおす。

「道場の生まれからか、女であっても強くあれ、なんて教えられてな。その意味を勘違いしていたんだろう。いつの間にか、人を頼る方法を忘れてしまっていたようだ。先ほどは取り乱してすまなかったな。ありがとう、大輝。」

彼女はちょっとした身の上話をして、先ほどのことを謝罪し、感謝の言葉を紡ぐ。

「そんな改まって感謝されると照れるな。あと、オルタランドの男女に対する考えはよくわからないけど、僕は相手が誰でもこうするよ。まあ、権田隊長だったら運べないと思うけどな。」

僕はまっすぐ向けられた感謝の言葉に照れてしまい、言わなくてもいい冗談を言ってしまう。

「そうか・・・。だが、私程度を運ぶのに苦労しているようじゃ、権田隊長だけでなく、世の大半の男はあの場に放っておくしかなさそうだな。」

彼女も照れているのか、僕と同じように最後に軽口をたたく。それと、僕が無理していることはお見通しという感じで、いたずらっぽく笑った。


《HYPER コミュニケーション RUSH》 『突入!!!』

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