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15発目 軍隊への配属

 ファーストキスから2日後、僕は正式にグランデバイド王国兵としての登録を終え、配属される隊で自己紹介をすることになった。


 「ガッハッハッ!よーし、それじゃあ、新人二人。簡単な自己紹介を頼む!」

僕ともう一人に挨拶するよう促すのは、クマのように大柄で豪快そうな感じのする男。この隊の隊長・権田勝(ごんだまさる)だ。

「よーし、まずは異世界人、お前からだ!」

先に挨拶するよう言われたので、僕は一歩前に出て、名乗る。

「佐藤大輝です。異世界人の25歳です。よろしくお願いします。」

僕の挨拶が終わると、もう一人が挨拶を始める。

「は、ハジメマシテ!じ、自分は高橋翔太(たかはししょうた)と言います。20歳です。よ、よろしくお願いします。」

オドオドしている丸眼鏡の彼は高橋君と言うらしい。



──────



 自己紹介を終えると、さっそく訓練にとりかかる。最初のメニューはランニングらしい。僕は1カ月引き籠ることを強制されていたのもあり、すぐにみんなのペースについていけなくなる。

「ガッハッハッ!おい佐藤!お前は謹慎明けだからな!あまり無理はするな!」

権田隊長は見かけによらず優しい。

「はぁ、はぁ、ぜぇ、ぜぇ。」

僕は一人だけ置いてけぼりだと勝手に思っていたが高橋君も既に体力が限界に近いようだ。

「馬鹿野郎!何してるんだ高橋ィ!お前は謹慎してたわけでもなければまだ20だろうがよぉ!」

体調は高橋君には厳しいみたいだ。僕への優しさは期待のなさの表れか?

「はいィ!頑張りまずうぅ!」

二十歳の青年は根性を見せ、少し加速して僕を置いていく、と思ったが結局無理がたたったのか、僕よりも遅いペースになってしまった。



──────



 ランニングメニューが終わり、休憩時間になる。

「す、すごいですね。佐藤さん、初日なのに。僕なんか・・・。」

高橋君は僕を褒めてくれる。正直言えば、僕も全然ついていけてなかったが、彼が体力なさすぎなだけというか。

「いやいやそんな。無理しただけだよ。」

僕はうまく謙遜できなかった。彼は正直、軍人なんかにならない方がよさそうだ。

僕と高橋君が話していると隊長がやってきた。

「ガッハッハッ。お前ら、初日とはいえ遅すぎな!まあでも心配するな!異世界人は基本的には後方待機。高学歴も前線にいるのは最初の3回ぐらいのもんだ。今回無事なら、あと2回耐えるだけだ、ガッハッハッ!」

隊長は僕らの実力不足を心配しつつも、切り札と幹部候補生はすぐに前線配備はなくなる、と教えてくれる。

「でも、心配です。今回が最初で最後になるような気がして。ああ、どうしよう。」

それでも高橋君は心配してるようだ。それも無理はない。僕らがこれから向かうのは、反政府勢力との戦いなのだから。これまでも両軍併せて多数の死者が出ており、事実上の戦争と世間では言われているみたいだが、政府はかたくなに戦争や内戦とは認めていないみたいだ。


「ガッハッハッ。今回はこの隊に助っ人として、四天王の剣王鶴ヶ島春香様が来てくれるからな!心配には及ばねぇさ!お前らを特に気に掛けるように伝えてあるしな。」

今回の作戦では、春香が前線に来てくれることが決まっている。というのも、僕を無理やり前線配備にするにあたって、責任者が必要なためだ。

「そ、そうなんですね。でも、いくら四天王とはいえ、生身の人間なわけで、春香様も一瞬で死んでしまったり・・・。ああ、恐ろしい!」

めっちゃ心配性な青年は、春香さえも死ぬのではないか、と憂慮する。


「ガッハッハッ!死ぬかもな!所詮は人間だし!まあそうなったら隊は全滅だな!ガッハッハッ!」


隊長は彼を心配しすぎ、となだめるかと思ったが、そうではなかった。口では笑っているが、目は笑っていない。何度も死地をくぐりぬけてきた男だ。冗談で言っているわけではなさそうだ。

「だがな、始まる前から悪いイメージばかりするな。言霊ってのは案外馬鹿にできないもんだぜ?」

「はい・・・。そうですよね。よーし僕はできるぞぉ!」

高橋君は隊長に注意されると、すぐに前向きになった。よくわからない奴だ。



──────



 休憩が終わると、今度は素振りだ。ここでもやはり僕たち新人2名は全然ダメだった。

「馬鹿野郎!そんなんじゃ生き残れないぞ!」

「き、休憩は、ま、まだですか?」

厳しい言葉で隊長は叱咤激励するが、高橋君はすぐに根を上げる。

社畜精神が身についてしまった僕にはできないことだ。簡単に弱音を吐くというのも、才能なのかもしれない。


そしてその次のメニューも、そのまた次のメニューでも全然だった──────。




──────


 すべてのメニューを終えると権田隊長が呟く。

「まさか二人ともここまでできないとはな・・・。」

流石の隊長も呆れてしまったみたいだ。

「すみません。僕が至らないばかりに。」

つい謝ってしまうが、僕は何も聞かされないまま異世界転生させられ、成り行きで軍人になってるんだから入隊拒否しないだけ感謝してほしい。

「ごめんなさい。でも、頑張ります。僕が選んだ道だから!」

高橋君はやる気があるみたいだ。

「ガッハッハッ!いい心がけだ!明日からもみっちりいくからな!」

どうやらこの生活は、例の作戦が終わるまで続くみたいだ──────。

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