あなたのこと
※ノンフィクション
少し顔を赤くしながら「一緒に帰れる?」と聞いてきた
あなたのこと
ずっと片思いしていた相手からの誘いに喜んで飛びついた
わたしのこと
スマートフォンを持っていない私に「なんか連絡できる手段ある?」
あなたのこと
初めてアカウントをつくり他の誰にも邪魔されることのない場所で話せる様になった
わたしのこと
他の人にからかわれながらゆっくりと近づいてきて「隣、座ってもいい?」
あなたのこと
授業など無かったかのように話し続けた
わたしのこと
普段とは違う帰り道に向かって歩き始めた
あなたのこと
雰囲気を感じ取ったあなたの親友たちを振り切ってから「付き合ってください」
わたしのこと
「今日の夜、電話できる?」毎晩のようにわたしに聞いてきた
あなたのこと
親の目をかいくぐりながら何時間も電話をした
わたしのこと
「ちょっと、話がある」
あなたのこと
少し身構えた
わたしのこと
「ストレートに感情を言われるのが苦手」
あなたのこと
わかったと納得しながらもそれすら愛らしいと思った
わたしのこと
「来週の日曜、ひま?」
あなたのこと
つい口角が上がりながら返事をした
わたしのこと
制服とは違う魅力をもった私服で待ち合わせの駅にやってきた
あなたのこと
いつも乗っているはずの電車でさえあなたと話すときだけ声が震えてしまった
わたしのこと
「片耳聞く?」イヤホンを差し出してきた
あなたのこと
あなたの好きな音楽を知った
わたしのこと
「今日は楽しかったよ また明日」
あなたのこと
手を振るあなたを見ながら「もっと一緒に居たかった」ともう遅い独り言
わたしのこと
学校ではほとんど他人のように接していた
あなたのこと
ほんの少しの悲しみとあなたと一緒にいられる喜びをかみしめた
わたしのこと
「なにか不満に思っていることがあったら言って」
あなたのこと
あなたから好きと直接言われたことがないことに気づき、はじめてあなたからの「大好き」をもらった
わたしのこと
あなたの横顔をずっと見ていたいと思った
わたしのこと……
電話の誘いをしても何かと理由をつけてはぐらかすようになった
あなたのこと
いろいろな人に相談して少しでも話しかけてくれるようしようとした
わたしのこと
たった一言「別れよう」と言った
あなたのこと
「まだ、あなたと一緒にいたい」と言った
わたしのこと
楽しくて、幸せで、それでいて多くの哀しみをはらんでいたあの頃のこと
まだこんな小説を書いてしまう私は本当に気持ち悪い