彼が学校に来なかった理由4
なぜか(当然)BANされた緋影は、めげずに様々なSNSのアカウントを作って呪いの人形りんねちゃんの写真を上げるも、このアカウントは利用停止されました。このアカウントは凍結されました。このアカウントは存在しません。
なぜか(当然)すべてBANされた。
「な、なぜかりんねちゃんの可愛い写真が消えるんだが……あれか……まさか!? これが……バグというやつか!?」
あぐらをかき、スマホの画面とにらめっこをしクエスチョンマークつまり疑問符を頭上に浮かべてるがごとく困惑している緋影の膝の上にいつの間にか鎮座しているりんねちゃんも、一緒にスマホの画面を見ている。
もちろん、いつの間にかテーブルの上から緋影の膝の上に移動しているりんねちゃんは、普通に不気味な呪いの人形なのだが、緋影は全く気にしていない。
令和の男子高校生にしてはネット知識に疎い緋影はBANを知らないためアカウントがなぜ利用できなくなっているのかが理解できないのである。
そもそも、なぜBANされたのか――――――もちろん、偶然見てしまった人が恐怖に慄き、具合が悪くなり、やばい心霊写真を上げているアカウントが存在すると複数人から通報されたためであった。ちょっと?おかしいセンスの緋影にとっては可愛い可愛い人形で我が娘のりんねちゃんなのだが、他の人からすれば恐怖の呪いの人形の写真でしかない。
それはBANされれて当然で、むしろ怪異をネットに広げ、被害を拡大させている緋影の行為はネットテロでしかないのだが、本人は至って真面目に人形のりんねちゃんの可愛いさを全世界に広めたいだけなのだ。
まぁ、その純粋無垢?な緋影の気持ちが傍迷惑なのだが――――――本人はまだ諦めていない様子であり、呪いの人形のりんねちゃんもどうやらアカウントをBANされていることに大層ご不満であるようで、不服(無表情)のご様子だ。
りんねちゃんの無表情なドールフェイスがぷんぷん顔で不満爆発顔に――――――見えないこともない。そして、同じく緋影も無表情で眉一つ動かさないポーカーフェイスだが、怒り心頭のご様子である。
ジッとスマホの画面を眺めていた呪いの人形りんねちゃんから、突如として禍々しい漆黒で呪いのオーラが溢れ出すとスマホの画面にぐんぐんと吸い込まれていく。ちなみに緋影にはその禍々しいオーラは見えていない様子である。
「ん? あれ? いつのまにか新しいアカウントができてる」
そして、禍々しい漆黒で呪いのオーラがすべてスマホの画面に吸い込まれると一瞬スマホの画面にノイズが走るのである。すると、いつの間にかとあるSNSのアカウントの登録完了画面がスマホに表示されており、勿論だが緋影が登録し作ったアカウントではない。
何やら緋影のお膝の上で誇らしげな表情(無表情)の呪いの人形りんねちゃんの仕業である。呪いの人形にとってはSNSのアカウントを呪いの力?で取得することなど容易いのである。
突如できたアカウントに対して緋影は疑問に――――――思うこともなく、ものすごい速さで可愛いりんねちゃんの写真を投稿しまくるのであった。
「おお、問題なく投稿した写真が残っている……これで一安心だな」
これが後にオカルト界隈で伝説となるとあるSNSの呪いのアカウントとの爆誕の瞬間であった。このとあるSNSのアカウントが様々な問題を後に起こす事となるのだが、その話はまだ少し先のことであった。