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呪いの人形りんねちゃん幼馴染という名の浮気相手を見つける。

 とある高校の校舎の四階廊下のど真ん中を無表情で歩く人物がいた。右前腕にゴスロリ衣装を纏った黒髪ツインテールの人形ドールを座らせ、無表情、無感情の人形ヒトカタ 緋影ヒカゲなのである。普通、学校で人形ドールなんかを持っていたら、奇異の目で見られ、蔑まれるのは必然なのだが、彼に向けられる目は恐怖であった。


 その理由は明白で、彼が持っている人形ドールが普通の人形ドールではなく呪いの人形ドールだからだ。昼休み、突然生徒指導室に呼び出された緋影だったが、いきなり教頭先生からりんねちゃんの登校を許可してもらえ、特別生徒として認めることにしたと説明を受け終始無表情の内心困惑の緋影だった。


(ということは……りんねちゃんの制服がいるな)


 人形ドールであり娘のりんねちゃんがこの高校の生徒になるというのであれば、流石にこのままのゴスロリ衣装ではいけないだろうと考え、りんねちゃんの制服を調達する方法を考える緋影は真っ先に自分が作るという方法を思いついた。


 しかし、ここで問題が発生した。作るにしろ、見本の女子の制服がないということに――――――今、りんねちゃんが着ているゴスロリ服を作る時も、ゴスロリ専門店に足を運び、数時間にわたって店に居座り、ゴスロリ衣装を片っ端から見て回っていたのだ。


 流石に、何も買わないのも気が引けて、緋影は真っ黒なゴスロリ衣装をセットで購入したが、なぜかそれを今度ゆゆ姉にあげようと決めていた。


 とどのつまり、りんねちゃん用の制服を自作するにしても、女子の制服の作りを理解しないといけない訳で、その女子の制服をどう調達するかを緋影は悩んでいるのであった。そして、緋影が一年三組の教室前を通りかかった時、ふと開いていた窓越しに懐かしい人物の姿を見つけるのだった。






 一方、昼休みの一年三組の教室にて、一組の教室と打って変わり平和な日常の昼休みの教室という感じの中、昼食のお弁当を食べ終え談笑する女子生徒の二人組がいた。


「あっ…………ひ、緋影君が廊下を歩いて……る」

「……はぁ~、気になるなら話しかけに行けばいいじゃんか」

「ふぇっ!? そ、そんなの…無理だ…よ~……そ、それに別に気になって…ない…よ」


 見た目だけでパパ活してるだの、ヤバい奴らと付き合いがあるだの言われるトドロキ 曜子ヨウコにとって、普通に接し仲良くしてくれる七川ナナカワ アユムはとても貴重な友人だ。高校に入って知り合ったため、まだ日は浅いが、それでも曜子にとってはとても大事な友人なのだ。


 そんな人見知りで陰キャな友人の好きな相手に気がつくまで、そう時間はかからなかった曜子なのである。はっきり、その相手が視界に入れば目がすすすと吸い寄せられ、乙女の顔になっていれば嫌でも気がつくというものだ。


人形ヒトカタ 緋影ヒカゲか……まぁ、顔は悪くないと思うけど……」

「よ、ようちゃん!? し~、シー…だ…よ」


 曜子にとって、緋影という人物は見た目であれこれ陰口を叩かれ、それが嫌で嫌いな曜子でも、遠目から見た彼の第一印象は不気味だと思ったのである。仮面を貼り付けたような無表情に、真っ赤な鋭い眼光に見慣れてるはずの黒い髪がやけに黒く感じられ、整った顔、高い身長と本来なら存在感があるはずなのに、視線を逸らせばいつの間にか消えてしまいそうな謎の存在感の希薄さ、それが曜子が彼を不気味だと感じた理由だ。


 話したことはなく、正直にいうと曜子はあまり関わりたい人物とは思っていなかったが、本日、彼女の中で人形ヒトカタ 緋影ヒカゲは絶対に人生で関わりたくない人物堂々の第一位に躍り出た。


 理由は、歩に促され緋影の存在を目視で確認したためである。そう、曜子は、ヤバい奴がヤバい人形ドールをつれていてヤバさが10倍にも感じたからである。


 本日、呪いの人形ドールを持ち込んだ生徒が一組に居るとは風の噂で知っていた曜子だったが、まさか、その人物が自分の友人の幼馴染であり、想い人の人形ヒトカタ 緋影ヒカゲだとは、思いもしなかったようで、すぐに恐ろしから一瞬で視線を逸らしぽけ~っと緋影に見惚れている歩の方に向き直る。


「あゆ……あれはやばいって……ッ」

「えぇぇ!? そ、それは、そう…だ…よ。だって、緋影君だ…よ……ま、まさか……よ、ようちゃんも……緋影く…んのこ…と」


 曜子にマジトーンでそう言われ、歩は驚きの声をあげ、親友が私の想い人を寝取ろうとしていると衝撃的な表情を浮かべ戸惑い勘違いしているようで、うるうると曜子の方を見つめながら寝取らないでと視線で訴えている歩に呆れ果てる曜子なのである。

 

「違うって、もう……いいから!! あれ、見てみろ!!」

「緋影く…ん? いつも通り……か、かっこいい…よ?」


 曜子は、歩の背後に素早く移動し彼女の美少女フェイスを両手で挟むとぐいっと、顔を下にずらし、歩の視線を緋影の顔から胸のあたりに向けさせる。


「あわ!! な、なにする……の!? って……あ、あれ……あの……おにんぎょうさん……こっち見てる……ね?」

「は、はぁっ? ま、待て……あの人形ドールさっきまでこっちなんて見てなかったぞ!! って、ヤッバッ、人形ヒトカタこっち見てるじゃん」


 そして、曜子が驚いて歩の顔から手を放すと、歩の視線がすすすと緋影の顔に吸い寄せられ、バッチリと視線が合う緋影と歩なのである。


「ね、ね…ぇ、よ、ようちゃ…ん……ひ、緋影……くんと……視線がバッチリ合っちゃった…よ……ど、どうし…よ?」

「バカッ!! 視線を合わせるんじゃない!! こっちを向け!!」

「い、痛っ…い…よ!! よ、ようちゃ…ん…に、人間の首…は、左右に…は…ごじゅ…ど…が…限界だか…ら!!!」


 見つめ合う歩と緋影に対して、めちゃくちゃ動揺した曜子は、無理やり歩の顔をまたまた背後から両手で掴むと顔を無理に180度と自分の方に向けようとしたため、歩は首に大ダメージを受け涙目で曜子に抗議した。


「わ、わるいっ!! あゆ!! だ、大丈夫か!?」


 プンプンと涙目で怒る歩に平謝りする曜子というコントをジッと眺めていた緋影なのである。


(あゆみちゅん……そういえば同じ高校だったな……昔はよく一緒に遊んで……いたかな?……あゆみちゃんなら……いや、でも、さすがに、いきなり制服を貸してほしいと頼むわけにも……)


 そう、緋影と歩は幼馴染である。ちなみに彼女の名前はアユムなのだが、緋影はなぜか彼女のことをずっとあゆみちゃんと呼んでおり、歩もそう呼ばれることを気に入っているのである。まぁ、この話は別の機会に語られることで闇深い歩の過去話は、今は取り立てて気にすることでもない。


 そして、緋影の浮気オーラを察したのか彼の右前腕におとなしく鎮座していたりんねちゃんは顔を見上げハイライトオフのヤンデレ無表情ドールフェイスで緋影をジッと見ていた。


(あの人形ドール今度は人形ヒトカタの方見上げていやがる!! ぜってぇーいつの間にか勝手に動いてるぞ!! あれ!!!)

「うぅぅぅ、まだ痛む…よ…………ね、ね…ぇ、ひ、緋影く…ん……わ、私によ、用があるのか…な? ずっと、こっち見てる…よ……ど、どうしよう……ようちゃ…ん!! ど、どうしたらいい…の?」

(こ、こいつ!? あの人形ドールのヤバさ気づいてないのか!? まぢかよぉ!!)


 自分の首をさすりながら涙目で再び緋影の顔の方に視線が吸い寄せられていく歩は、呪いの人形ドールのヤバさに全く気がついていないようで、曜子は頭を抱えてしまう。


「ね、ね…ぇ、ようちゃ…ん……き、聞いて…る? ひ、緋影く…んにあ、挨拶しにいくべき…か…な?」

「あ、あぁ…………い、いやいや!! い、今はダメだ!! まだ、その時じゃないって!!」

「で、で…も、ようちゃ…ん……いつも、もっと積極的にいかないと……って……さっきも……そんなこと…言ってた…よ?」

「そ、それはそうだけど……い、今はまだその時じゃないんだって!!」


 なぜか、いつもは奥手で緋影のことを気にしまくっているが話しかけに行かない友人の歩が、絶対に関わりたくない本日に限って積極的に緋影に話しかけに行こうとしていた。しかも曜子も巻き込んでである。


 これには、呪いの人形の恐ろしさを感じ取った曜子は、必死にそれを阻止しようとしていた。


「や、やっぱ…り、な、なにか……用があるのか…も……わ、わた…し……ひ、一人じゃ緊張するか…ら、ようちゃ…ん…も、着いて来…て」

「ちょ、あゆ……な、なんで今日に限って、そんな積極的なんだよーッ!!」


 廊下で立ち止まってこちらを見ている幼馴染の緋影のもとに向かうため、決意し立ち上がると、親友の曜子の腕にしがみつき、ずるずると引きづって教室の外に連れて行く歩なのである。そんな、今日に限って大胆な歩に、今まで適当、無責任に積極的に攻めていけ、恋愛は攻めこそ正義だなどと発言をしていた過去の自分を呪う曜子なのであった。

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