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近畿地方のある奇祭について

作者: 唐揚げ

 くまだんご祭り。

 

 私がその奇祭の存在を知ったのは、ある郷土資料館を訪れたときの事だった。そこの司書である芥見川助五郎丸は、私が幼稚園卒の頃からの知り合いであり、そういう奇妙な祭りに私を巻き込むのが好きな人間だった。であるからして、私がゴールデンウイークが始まる日の前日、一日、家で酒でも飲もうかとしていたら現れて、郷土資料館へと連れ去り、そこで延々とご高説を聞き知る事となったのであった。

 かくして、私は一人、近畿地方のとある田辺市へと旅行をすることとなった。

 ところで、田辺市について説明すると、和歌山という和歌山市以外に人権のない土地にある近畿の田舎である。そmそも、近畿地方というのは大阪、神戸、京都の三都市以外が寂れた土地であり、そのような主要都市以外には奇祭がゴロゴロと転がっているのだ。


「くまだんご祭りというのはですね。五穀豊穣、子孫繫栄、交通安全、其他諸々を祈る歴史あるお祭りなのです」


 専門家の喜多育代は、田辺市の市庁舎を前にそう説明してくれた。田辺市では、街を上げてのイベントであり、唯一の正常な市民は市庁舎に立てこもり、市職員と共にバリケードを築き籠城している。それには目もくれず、私は、街唯一の二車線道路を見た。

 二車線道路を占有する人の波、田辺市民以外にもいる気がした。沖縄の米軍基地反対祭りもこんな感じで、地元民以外の人が祭りに参加していたのだ。そうだ、祭りというのは、自由に開かれたものであるのだ。


「ささ、くまだんご祭りです」


 私は、喜多育代に手を引かれ、群衆へと人の波へと紛れ込んだ。人の波は、そのまま、道を進み、終点の田辺市民神社へと到達する。


「ここが目的地です」

「ここで何をするんですか?」

「見ていればわかります、見てください!」


 見れば、神社境内に設けられた特設ステージに、有名人のセリーナ・ハーモニーがいる。セリーナ・ハーモニーは、幼い頃から音楽の才能を持ち、多くの人々を魅了する才能を持っていました。彼女は独自の音楽スタイルで数々のヒット曲を生み出し、アーティストとしての成功を収めており、それだけではなく、数々の有名なアーティストのプロデュースを手掛け、その独創的なアプローチで業界の常識を覆すことが多くあります。また、慈善活動にも積極的に参加し、音楽を通じて世界をより良い場所にしようという使命感を持っていた。

 そして、特設ステージ上で、大きな身の丈ほどある団子を捏ね始めた。それは音楽家特有の動きで、なるほど、流麗で、神秘的な動きだった。プリンプリンにお尻と、ブリンブリンと胸を動かしている。


「招来! 招来!!」


 群衆が叫ぶ。


「こ、これがくまだんご祭り」

「今年は海外からのお客様も多い、インバウンドさまさま」


 くまだんご、それはヒトの大きさほどあるだんごの事だった。

 それを捏ねて、捏ね上げ、練り上げて、ゴマをまぶしていく。


「出来上がりました」

「あれがくまだんご。しかし、どうするんですか。食べるんですか」

「食べます。しかし、我々ではなく」

「誰です」


 喜多育代が、天を指出した。

 そちらへと目を上げれば、空に、Pと書かれた凧があがっている。


「点Pより来る神」


 ばりり、と空が割れて、手が現れた。


「招来! 招来!」

「招来!! 招来!!!」


 群衆が叫ぶ言葉が大きくなる。

 手はのそりとくまだんごを掴むと、そらへと消えていく。


「これが、くまだんご祭りです!」


 喜多育代が言った。

 私は、和歌山に二度と立ち入ることはないと思う。

 

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