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高度一万五千メートル 

「マスター。私の発生させているフィールドで生命の維持を確保します。気圧と酸素濃度等の影響は無視できます。目標の座標までのジャンプが可能となりました」


「了解!じゃあ一気に行くね」


 蒼の剣がマーキングしてくれた地点までの距離をイメージで測る。

 かなりの距離だけど、目標までの間に障害物がない。


「これなら余裕……跳躍!」


 ビカァー


 太陽の光に全身が包まれる。

 

「何これ……すごい……」


 世界の端が見える。

 ここは、大地が丸い形をしている事を視覚で確認できる場所だ。


「マスター。砲撃のシークエンスに入ります。右腕部強化……続いて右肩部強化……完了。続いて胸部、腹部。強化完了。頸部強化……完了」


「蒼の剣……すごいわね。あなた」


 身体の部分的に強化する事で、通常の強化魔法よりも数十倍の効果があるらしいけど。

 自分の各部位に力を感じる。  


「あの超重量の魔導砲を支えながら、砲撃の反動に耐えるには、これくらの肉体強度がなければ。でないと反動でマスターの肉体が破壊されてしまいます」


「ありがと。今までで一番強くなってる気がする。見た目変わらないのに。なんか、強度上げるって聞いていたからムキムキマッチョみたいになるんじゃないかと心配してたんだよね。それじゃあ、今回の主役様を出そうかな……よいしょ」


 本来は『よいしょ』なんて言葉は必要ないけれど、その掛け声に合わせ右手の手刀で空間に穴をあける。

 必要なものをイメージし、開いた異空間に手を差し込む。

 金属の物体が手に触れた。

 今、私が……この世界が一番必要としているもの。


「超弩級型魔導砲スカイフィッシュ!」


 空間の裂け目から、掴んだ物体を一気に抜き放つ。

 右腕に装着された、五メートルほどもある銀色に輝く筒。

 その姿から、これが武器である事がわかる……はずがない。

 装備者に対して、あまりにも巨大すぎる。

 部分的とはいえ、あの巨体から流用した武器だ。

 持ってきたのは主砲の先っぽだけだけど、それでも人が持つ装備としてはサイズがおかしい。

 蒼の剣の強化魔法がなければ私の右手は根元から取れている。

 

「マスター。重力魔法で魔導兵器の重さはゼロにしてあります。砲撃時の反動のみ注意が必要です」


 さすが蒼の剣様。頼りになる……


「……って。あれ?もしかして……私って……何もしていなかったり……?まずい。役立たずだ」


 この子は私の出来ない事を簡単にやってのける。

 多分だけど、魔力供給をした蒼の剣と本気で戦ったら……勝てない気がする。特に、魔道士らを空間ごと切った技の対抗策は今だに見出せない。

 これじゃあ昔の『タンク』時代と何も変わらない。

 今の私は蒼の剣が所有している燃料タンクみたいなものだ。


「………………」


 全然笑えない。冗談としては使えないかも。

 まぁ『タンク』の存在自体が歴史から抹消状態だし、このジョークは誰にも通じないかもしれないけど。


「マスター。目標を捉えました。現在地から十八万キロの地点です。予測よりも超高速で接近中の為、現時刻から射撃を開始してください。命中率向上の為、私自身をマーキングとします。あらゆる事態を想定し、マスターの一割分の魔力のチャージを推奨いたします」


「わかったわ。おいで蒼の剣」


 柄を握り魔力を送り込む。

 魔力が抜けていくのがはっきりわかる。

 いつもは私が力を込めているだけだけど、今は蒼の剣からも積極的に吸収している。いつもよりも急速に魔力が減っていくのがわかる。


「これなら普段から少しずつ魔力を渡しておけばよかったわね」


「そうですね。今回のオペレーションから学習しました。今後、マスターさえよければお願いします……マスター。予定量の魔力エネルギーがチャージできました。射撃体制へと移行しましょう」


 私の手から離れた蒼の剣は魔導砲の先端部で空と対時する。

 

「では、私は一足先に目標まで跳躍します。跳躍と同時にターゲットに張り付きますので……計算上十五分後に発射をお願いします。私の方で誘導しますので、そのまま撃ってください。都度、修正しますのでお願いします」


「それより、あなたは大丈夫なの?移動先って宇宙で過酷な環境でしょ?それに魔導砲の直撃が当たっちゃったら……」


「問題ありません。高レベルの絶対障壁を張りますので大抵の衝撃はガード可能です」


「ははは……もう何でもありね」



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