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作戦開始時刻 その3


「えっと……結論よね。つまり、この国には選ばれし限られた者しか閲覧できない、この国の歴史が五百年分綴られた書記があるのだけれど。二百年くらい前の史実に、あなたと似た風貌の英雄が出てくるのよ。外の世界である天界から人間を滅ぼしに来た強敵を退け、この世界を救いし英雄の話なんだけど……もしかして、これってあなた?」


「あっ……なんか聞いたことある話なのですが……すみませーん蒼の剣さん?今の話聞いていたかしら?」


「マスター。先程から進路修正のお願いをしているのですが。只今、作戦成功率が絶賛下降中ですが。いかがなさいますか?」


 この子……絶対怒っている。


「直ちに修正致しますよ…………はい!修正完了しました。それで、さっきの話だけど」


「承知しました。解析します…………」


「集中してなくてゴメン。この後はちゃんとやるから」


「問題ありません。この事に気づかなかった私にも落ち度があります。解析完了しました。マスターが想像している通りの結果です。現在の座標は当時のショウナン国のあった場所です」


 こんな事が。

 ここは私の故郷のあった世界。

 家族も親友も。初恋の人も。

 みんなが生きていた場所。

 

「フレデリカさん?泣いているの?」


 真琴さんの心配そうな声が聞こえてくる。


「大丈夫ですよ。私って昔から泣き虫なんですよ。だから心配しないでください。やるべき事は、ちゃんとやり遂げますから」


「そうじゃなくて。あなたの事を心配しているのよ。それに、その様子だと『銀髪の冒険者』ってフレデリカさんの事なんでしょ?つまりは、この地球は一度あなたに救われている事になるのよ。詳しくは今回の件を乗り切った後にでも話すけど、あの記録に嘘偽りは絶対にないのよ。だから間違いなくフレデリカさんは、この世界の恩人。お願い。図々しかもしれないけど……この世界の事お願い……」


 あの絶対に弱気という言葉とは無縁だと思っていた真琴さんが……


「私にだって……ちゃんと想いを伝えなきゃいけない人がいて。やりたい事だってあって。私だってまだ死にたくないのよ」


 その台詞から伝わってきた。

 水道真琴が持つ、本心からの強い想いが。


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