決戦 二時間前……
凛ちゃんのおかげで、少しだけ緊張がやわらいだ。
こんなにピリピリするなんて自分でも想像していなかった。
勝手に私の事呼び出しておいて、空から落ちてくる石ころを破壊しろなんて無茶な命令。最初は気に入らなかった。
それに馴染みのない別世界の事だ。別に失敗したとしても私の心は痛まない。正直、そんな気持ちだった。
しかし、彼らと一週間以上過ごしてきて気持ちが変わっていった。
衣食住を共にし、この世界の人たちの気持ちを分かるようになれた。
それに好奇な目で私の事を見ていた彼らも、同じ人として扱ってくれる様になった。これも気持ちが通じ合えたからに違いない。
だから何としても、この世界を救わないといけないと思える。
巫女さんや凛ちゃんを死なせたくない。
これが今の私の気持だ。
「フレデリカさーん。あなた宛に電話きてるわよ。はい。これ」
女坂探偵事務所のスタッフの声が後ろから聞こえてきた。
例の携帯電話とやらを渡された。
たしか、通信で話が出来る便利な機器だ。
イヤフォンが入っていない方の耳に押し当てる。
「やっと出たのね。ご機嫌様フレデリカ。まさか緊張なんてしてないのよね?」
この声は巫女さん。
しかも私の緊張具合を見抜かれている。
「ま……まさかー。余裕よ余裕。安心して作戦終了を待っていて。ちゃっちゃと終わらせて帰るから」
「あら。あなたが緊張するなんてね。神経図太さで余裕で乗り越えるかと思ったけど、やっぱり人の子なのね。ちょっと安心したのよ」
巫女さんも私の事を人として接してくれる。
この世界にとって異物である私にとって、これが何よりも嬉しい。
「はいはい。巫女さんも素直に言葉にしてくれればいいのに。心配して連絡くれたんでしょ?励ましのメッセージありがと」
「あら。あなたも言うようになったのね。まぁ、全てフレデリカに押し付けてしまって、真琴さんも私も。もちろん凛も申し訳なく思っているのよ。一時は諦めて最期の時をどう過ごすか考えていたくらいなのよ。だから失敗したとしても誰もあなたを責めたりしないわ。あまり気に病む事ないわよ」
「巫女さんって優しいよね。それに普通の喋り方できるのね。普段から、その喋りでいいのに。ふふふ」
「うるさいなぁ。あれが私の処世術なのよ」
普通の喋りの巫女さんは可愛い。
「ふふっ。ゴメンゴメン。また、今の巫女さんが見られるよう頑張ってくるから。また変なお店とかに連れてってくださいね」
「言われなくても強制的に連行するからね。だから、ちゃんと生きて帰ってきなさいよ」




