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女坂探偵事務所 その2


「何これ⁉︎美味しいー!巫女さん!巫女さん!これなんていう料理なの⁉︎私は猛烈に感動しちゃってます!」


 お皿に盛られた料理をスプーンで頬張る。

 真っ赤でとろみのある見た目通り、スパイシーでピリピリと舌が痺れる。よく炒めらた挽肉も何かの香辛料と相重なって、とても香ばしい。

 このプニプニした白い立方体は豆腐と言うらしい。原材料はなんと大豆が使われているという。

 さらには、この辛い料理を真っ白なライスにのせるとさらに美味。

 赤みのかかった油がライスに染み込み食が進む。

 この感覚は初めての体験。

 無事に隕石を破壊して帰る際には、このレシピを持って帰ろう。


「フレデリカは初めて食べるのかしらなの?それは麻婆豆腐なのよ。ここのお店の麻婆豆腐は妾のおすすめなのよ。ちなみに、おかわりは無制限に自由だから好きなだけ食べるといいの」


 なんと。このクオリティーで食べ放題とは。

  

「フレデリカさんも辛いの好きなんですね。私も辛い食べ物大好きなんですよ。もちろんここの麻婆豆腐もお気に入りです」


 早坂凛が微笑みながら豆腐を口へと運ぶ。

 美少女は食事する姿も様になる。




 二時間前。

 機械式魔法戦車である『スカイフィッシュ』を受け渡してきた。


 女坂探偵事務所からヘリコプターとやらで『飛行場』という場所に移動した。

 見覚えのある景色だと思ったら、外国軍隊専用の基地の飛行場みたいだ。

 見覚えがあると感じたのは、大昔に私自身が軍の基地に勤務していたからだろう。

 この飛行場というところの印象。とにかく広大な広さの土地。

 肉眼では端っこが見えないほどの広さ。

 そこに、私が住んでいる城の面積よりも広そうな建物があった。

 ヘリコプターを降りた私たちは、その建物へと入る。

 中は何も置いていない倉庫みたいな場所だった。

 おそらくは、外にあった『飛行機』という乗り物の整備する場所なのだろう。

 なるほど。ここなら機械式魔法戦車の巨体でも収納できる。

 

 空間を割り、巨大な鋼の塊を無限空間からマジシャンの様に取り出す。普段は冷静沈着な水道真琴も、この光景には驚きの表情をあらわにしていた。

 何かよくわからない、背徳感付きの優越感が気持ちいい。

 ともかく、『スカイフィッシュ』を受け渡し女坂探偵事務所へと戻ってきた。

 そして今はお昼ご飯として『麻婆豆腐』とやらを貪り食らっているところだ。


「時に。フレデリカは明日から、空間転移のマーキングで彼方此方回るのよね?」


 彼方此方という台詞に合わせて、巫女が指をクルクルと回す。


「そうね。まだ時間はあるけど、余裕をもって明日から行動しといた方がいいよね。今回の場合は特に」


 現在、正確な隕石の落下地点は割り出せずにいる。

 正確な座標が出るのは、おそらく落下直前。

 それに備え、転移で瞬間移動できる様に各地点をイメージ出来るようにしておかなければいけない。

 各地を回るメンバーは、この場にいる三人。

 私、巫女さん。それに早坂凛さん。

 今は、その打ち合わせがてら昼食をとっている。

 探偵事務所から五分ほどの場所にある食堂だ。


 ここは『アキハバラ』と呼ばれる街。

 巫女さん曰く、


『世界で一番エキセントリックに進化した都市』


「ふふふふ……せっかく経費使えるわけだし豪遊してしまうのね」


「巫女さん。あまり無駄使いすると真琴さんに怒られますよ」


「いいのよ凛ちゃん。作戦をしくじったら皆死ぬのよ。あまり悔いを残し過ぎると成仏できないのね。店員さんすみませーん!餃子を二人分所望するのね」


 巫女が新たな料理を注文する。この子ってば見た目に似合わず大食いのようだ。でも『ぎょうざ』なるものは気になる。言葉の響きが既に美味しそうだ。


 それから餃子とデザートを平らげ、私達は店を出た。

 

「さぁて。食後に運動がてら散歩でもするのね。フレデリカ。妾についてくるのよ。とっておきの場所に案内してあげるの」


「えっ?とっておきの?……えっと……よくわからないけど。でも、お願いします」


 明日から忙しくなるかもしれない。

 せっかく知らない世界に来たのだ。

 異文化にふれておくのも悪くないかもしれない。


「ち、ちょっと巫女さーん!もしかしてフレデリカさんを、あ・の・お店に連れて行くつもりじゃないですよね⁉︎ダメですよ!あんな乱れた内容の本を見せては!」


「乱れているだなんて失礼なのよ。あれはあれで我が国の文化なのよ。それにフレデリカには素質を感じるのよ」


 巫女さんが『ぎゅっ』と手を握ってきた。なんとも熱烈力強い。そして熱い視線。何が彼女をここまで燃え上がらせるのか。

 それにしても。たった一日、一緒に過ごしただけなのに、ここまで心を許せるようになった。私のことも人として接してくれている。

 きっと根はいい人なのだ。


「何の素質なのかは分からないけど、巫女さんがそう言ってくれるなら私はついて行きます」


 私も巫女さんの手を握り返す。

 

「大丈夫かなぁ。フレデリカさん。本当に無理しなくていいんですよ。巫女さんの趣味に付き合う事ないですから。気持ち悪くなったら私に言ってくださいね。すぐに連れ出しますから」


「ありがと。早坂さん。なんか久しぶりに人の優しさに触れたよ」


 相変わらず優しい。私も、この人くらい優しくなれたらな。

 でも『気持ち悪くなったら』というワードが気になる。

 まっ、いいか。今日は楽しもう。


「凛でいいですよフレデリカさん。本当は最初、悪魔を召喚するとか言うもんだから、ちょっと怖かったんです。フレデリカさんが来てくれてよかったです。改めて、よろしくお願いします」





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