メテオストライク
「ちょっと待ってよ!私の事『本物』って。どういう意味⁉︎私は普通の女の子だって言ってるじゃないですか」
「無駄なのよ。真琴さんに嘘は通じないのよ。この人は、いかなる時も、どんな時でも。あらゆる嘘を見破るのよ。だから既に手遅れなのよ。あなたは彼女と会話してしまったもの」
巫女の女の子が観察する様な仕草をして顔を近づけてくる。
つまりは、この人には隠し事が出来ないという事だ。
厄介な……
「とりあえず私の名前は水道真琴。この事務所の……そうね。所長の秘書ってとこかしら。まぁ何でもやるけど。とりあえず宜しくね。で、こっちの巫女服の子は巫女ちゃん。ちょっと、ややこしいけど名前が巫女なのよ。呪術とか悪魔とか、世間でいうオカルト系専門の能力者。あなたを呼び出したのは、この子の力。巫女さんやっているのは……あとで本人に聞いてちょうだい。で?あなたは何者?名前とかあるの?」
さっきは、私の風貌で呆れて出て行ったけど。今度は関心を持っているみたいだ。口調でわかる。
「私は……一応だけど人間。私のいた世界では……強めの力を持っていた側だけど。名前はフレデリカ」
「へぇ。人間なんだ。巫女ちゃんは悪魔の召喚術法で呼び出したって言っていたけど。でも、『強めの力』ってところで嘘ついたでしょ?ちゃんと正しく表現してちょうだいフレデリカちゃん」
この人は本当に嘘を見抜く力があるのだろうか。
それに『フレデリカちゃん』って。
「……一番強い力を持っていた。これでいいのかしら」
「よく出来ました。巫女ちゃんも上出来ね。ちゃんと『最強』を呼び出せてたわね」
「真琴さん……」
何の前振りもなく、耳元で声が聞こえた。
「きゃあ!な、なんなの今の声……うわあっ!だ、誰⁉︎いつからそこに」
すぐ左隣に黒髪の女の子が立っている。
なんだろう。この既視感。
「ありがとう凛さん。もう大丈夫よ。離れた大丈夫」
「はい。はじめまして……じゃないですね。早坂凛です。よろしくお願いします悪魔さん」
「彼女は完全に気配を消せるの。すごいでしょ?さっきフレデリカちゃんの背中をとったのは凛さんなのよ。さすが元ストーカー……いえ。なんでもないわ」
何かわからないけど、とりあえずは只者ではないのは確かだ。
「それよりも、私は何をすればいいの?私も早く帰らないといけないの。さっさと済ませてしまいましょ」
「そうね。ビジネスから仲良くなるパターンもあるしね。じゃあ仕事しながらお互い分かり合いましょうか」
メテオストライク。
そんな名前の高等魔法がある。
隕石を召喚し、対象に向かって落下させる攻撃用の魔法だ。
撃ち込む際に必要な高い難易度技術に比例して、破壊力も抜群の威力をもつ。
そういえば最近、居城に撃たれた記憶がある。まぁインパクト前に術者を倒したから、召喚された隕石は消滅し事なきを得た。
とにかく隕石というものは、大きな災害をもたらす災厄なのだ。
その隕石が、おおよそ一週間後に落ちてくるらしい。
今いるこの世界にだ。
魔法ではない。現実に存在する巨大すぎる石ころだ。
この大地の外側から襲来する。
その大きさは直径十八キロメートル。
ほぼ間違いなく、この世界の人類は滅ぶ衝撃らしい。
「ちょっと!こんな事している場合じゃないでしょ!このままじゃ、私まで巻き込まれるし。何とかしてくださいよ!」
「フレデリカちゃん?何言っているのかしら。どうにもならないから悪魔頼みしてるんでしょ。何のためにフレデリカちゃんを呼んだと思っているのかしら」
「待って待って!十八キロでしょ?無理でしょ?無理無理!そんな大きな物体どうしろって言うのよ。神様じゃないから私」
「それは困ったわね。計算上、この世界に存在する、人類の持つ破壊兵器では無理なのよね。映画みたいに隕石に取り付いて爆破なんて出来ないし。このままだとフレデリカちゃんも含めて、みんなおまとめしてお陀仏ってやつよね」
この水道真琴という人物。
全くと言っていいほど本心が見えてこない。
(ねぇ蒼の剣。今ある情報から解決策って何かあるかしら?少しでも可能性があればいいの。あなたの指示に従うから。お願い)
この世界の技術で解決できない以上、頼れるのは蒼の剣から知恵を借りるしかない。
(承知しました。所持している魔具、マスターのスキルを精査し、実行可能なオペレーションを提示します。お待ち下さい)
本当にお願い。
魔界に問題をいろいろ残してきてしまった。
こんなところで死ぬわけにもいかない。
「どうしたの。急に黙りこくっちゃって。打つ手なしなら言って。私も本当に諦めるから。正直な話、あなたが最後の希望なのよ」
「あら。思っているよりも信用してくれているのね。それじゃあ、あまり期待せずに待って。今、ウチの軍師様が策を練っているところだから」




