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【完結】My² Gene〜万能遺伝子と宵闇の光〜  作者: droegg
8章 URAZMARY[牢星]
88/91

首謀者たちの末路

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【登場人物】

 [サンダー・パーマー=ウラズマリー]

 金髪の活発な青年。電撃系の能力を持つ。

 サンダー・P・ウラズマリーから「プラズマ」というあだ名で呼ばれる。

 遺伝子能力養成学校高等部を卒業し、輸送船に忍び込んで宇宙へと旅立った。


 [バリス・スピア]

 元軍医で、毒の能力を持つ医者。

 薄紫で、天を衝くようなツンツン頭。目つきが死ぬほど悪い。

 どんな病でも直す幻の植物を探すため、医星を出てプラズマと旅をすることになる。


 [水王(スオウ) 涙流華(ルルカ)

 元名家・水王(スオウ)家の侍で、水の遺伝子能力者。

 プラズマ達に妹を救われた一件で、自分に足りないものを探すため、水王家当主から世界を回ることを命じられる。


 [ラルト・ローズ]

 白色の長髪で、いつもタバコをふかしている政府軍中佐。

 口が悪く、目つきももれなく悪い炎の遺伝子能力者。

 政府軍内の裏切りにより、軍を退官してプラズマ達と旅に出ることを決心する。


 [レモン・ポンポン]

 褐色高身長、彫の深い濃い顔にアフロがトレンドマークの伝説のエンターテイナー。

 娯星テロ事件の後、プラズマと涙流華に強制的に同行させられる。ガタイの割にビビり。


 ▼政府軍

 [ラバブル・ラバーズ]

  政府軍元帥。褐色の肌に白髪、眼帯をつけている。今回の牢星調査の指揮を執る。


 [アイリス・ローン]【鬼神】

  政府軍中将。ピンク色のロングヘアで、見た目は少女のような風体。ギリギリまだ34歳。


 ▼Masters

 [ガウディオ・ジア]【瞬炎】

 Mastersの一人。電撃の遺伝子能力者。森星でプラズマ達と共闘する。


 [ルーノ・スクラブ]

 プラズマの級友。ガウディオの助手という形で行動している。セリナとは犬猿の仲。


 ▼殷生師団

 [アクスグフス・グシェ]

 師団のリーダー的存在。


 ▼その他

 [セリナ]

 プラズマの幼馴染の女の子。

 勤勉で真面目な性格。氷の能力、封印系煉術を操る。


 [レオン・アイシー]

 セリナの師匠。氷の能力と封印の能力を操る。


 [アリス・ジア]

 プラズマの師匠。電撃系の能力を持つ女性。ガウディオ・ジアの妹。


≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡

【お知らせ】

 もうそろそろ一部完結か…


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「だからやめてください! 元帥!」

 監獄所長の寺法井(じほうい)剣逸(けんいつ)は、目の前で攻撃体勢をとっている政府軍元帥ラバブル・ラバーズに対して必死に呼びかけた。


 辺りには囚人達が大勢倒れている。

 囚人を一蹴した後、ラバーズ元帥は突然所長に攻撃を仕掛けたのだ。


「アクスグフスと結託して我々政府軍の目を欺こうとしたのだろうがそうはいかんぞ!」


「突然なんですか!? 話が読めないと言っているしゃないですか!」


「欺こうとしたが、その調査隊にサンダー・パーマー=ウラズマリーがいたのだから、アクスグフスも動かざるを得んわなあ!」


「残念だが、オール大元帥は全てを読んでいた! だからこそ政府軍からは私とアイリス・ローン中将を派遣した!」


 ラバーズは鉄の煉術で杭のようなものを宙に出現させると、それを寺法井に向けて放った。

 鉄の杭は螺旋状に伸びながらドリルのように寺法井に迫っていく。


 寺法井は左腰に携えられた鞘から刀を引き抜いた。

 そして鉄の杭を一閃して斬り伏せる。


「鉄をいとも簡単に斬るか。流石は水王家筆頭家臣の一つ、寺法井家の者というわけか」


「水王家とは…というより寺法井家、父上とは縁を切っているので、もう関係はありません」


 ラバーズは右手の平から鉄を生成すると、再度螺旋状に鉄を伸ばした。


 そして一気に間合いを詰めて寺法井斬りかかる。

 寺法井もそれに合わせるように刀を振るった。



「はーい、そこまで」



 ラバーズ元帥と寺法井所長の間に入り、片手でそれぞれの武器を止める小さな人影。


 小さな手は虹色の鉱石を纏ったように光沢を放っている。


 2人とも力を込めるがその人影にとめられて、びくともしない。

 さらに力を入れるラバーズ元帥に対してその影は小さな手でラバーズ元帥の腕に触れ、諭すように語りかけた。

「そこまでですよ、ラバーズ元帥」


 彼らの前に現れたのはピンク髪の少女…もといアイリス・ローン中将だった。


 彼女の背後には男が気を失って倒れており、彼のよれた後ろ襟から察するにここまで引きずってこられたようだった。


「ローン中将」

 ラバーズ元帥が彼女の名を呼ぶと、身長140センチメートルもない小さな女性が、うつ伏せに倒れる男の後ろ襟を掴むと軽々と前方に男を投げ捨てた。


「こいつ、殷生師団のアナイア・パイカです。何かから逃げてるところを捕まえました」


「で、色々聞いたら()()()()()()()()んですけど…」


 含みのある物言いをすると、彼女は所長の寺法井に目を向けた。

「所長は今回の騒動は噛んでないみたいです。というか仲間外れ?」


「今回の件の首謀者は主にアクスグフス、パイカ、そして副所長のリカルド・デ・ロレンツィです。ロレンツィは今回調査に対応するチームに、彼の息がかかった職員を当てています」


「対外的な対応の責任者は副所長。所長は今回の調査の些細までは把握していなかったのではないですか?」

 アイリスの指摘に寺法井は肩をすくめた。

「恥ずかしながら、その通りです」


 その言葉を聞いたアイリスは、2人の間を通って先へと進んでいく。

「これで誤解は解けましたかね? では元帥、所長。こいつをお願いしますね」


 汚れを払うように、アイリスは黒いシルクの手袋に包まれた手を叩いた。

 寺法井は進んでいくアイリスに問う。

「貴女はどちらへ?」


「どこって、アクスグフスをとっ捕まえに行くに決まってるじゃないですか」


「早く帰ってオンライン対戦潜らないといけないので」

 アイリスは“あー、だるっ”と言いながら走り始めた。




〜牢星地下・研究施設〜



「プラズマ…」

 プラズマの心情を心配し声をかけるバリス。


 プラズマも心配をかけまいと声を絞り出した。

「セリナ達なら大丈夫だ…!」


 項垂(うなだ)れるプラズマ達。

 そこに場の雰囲気を壊すかのように大声を張り上げる女性が現れる。


「アクスグフスをヤるなんてすごいじゃない、捜査隊」


 プラズマ達が吹き抜けの2階部分…エレベーターの近くに立つ女性目を向けると、そこには逆光で黒く染まった小さな影があった。


 そしてその影は一回のジャンプで信じられないほどの距離を飛ぶと、プラズマ達の前に着地した。


 プラズマは見覚えのあるその女性の容姿をつい口に出してしまう。

「あんた、ピンク髪の子供…!」

 

 一瞬にして眉間に皺が寄るアイリス。

 徐々に額付近の血管も浮き出てきている。

「アイリス・ローン! 34歳だ! 子供じゃない! 一回言っただろクソガキ!!」


 “ふん”と気を取り直すように視線をプラズマからアクスグフスに移すアイリス。

 腕や足がもがれているアクスグフスは見るも無惨な状態だった。

 アイリスはアクスグフスが死なないように治癒の煉術を発動させ、薄い黄色の空間で包んだ。

「アクスグフスの身柄は政府軍が貰い受ける」


「こいつを助けるのかよ!?」

 プラズマの言葉にアイリスは毅然と答えた。


「当たり前でしょ。こいつは殷獣(いんじゅう)研究の第一人者。今や殷獣は至る所で被害を出してる。聞かなきゃいけないことは山程ある」


 “納得?”と問いながらもアイリスは押しのけるように軽くプラズマの肩を正面から押した。


「ま、これで殷生師団も壊滅ね」


「ウィンドはパラムさんが始末、ヴァンガルド・キルは単独行動、アクスグフスとパイカは捕まえた」


 アイリスの言葉にバリスが反応する。

「パイカを捕まえたのか!?」


「えぇ。何かから逃げてるところをね」


「あとは、副所長のリカルド・デ・ロレンツィが見つからなくてね。アイツが師団と繋がってた」


「で、他の人達は? ガウディオ・ジアとかレオン・アイシーとか、その取り巻きは?」


 アイリスのその言葉に一同は黙り込む。

 その雰囲気にアイリスもことの顛末を悟った。


「あっ…………ごめん……」


「と、とにかく! アクスグフスとパイカは政府軍がもらい受けるからね!」

 アイリスはアクスグフスとパイカを掴んで引きずっている。

「あとは副所長のロレンツィね……」





〜牢星・監獄宇宙港間護送通路〜


 宇宙港から監獄までを繋ぐ通路。

 被疑者を逮捕した後収容するときや、他星に移送するときに使用する護送用の地下通路だった。


 そこを息荒く駆け抜ける者がいた。


「くそっ…アクスグフスが失敗するとは…! まずい! まずいぞ!」

 宇宙港へと必死に逃げる男の前に、黒いローブに包まれた人物が立ちはだかった。男は頭にフードを被っており、その顔貌は見えなかった。


「リカルド・デ・ロレンツィ監獄副所長殿!」


「どうもどうも。そんなに急いでこの先にセリヌンティウスでもいるんですか?」

 声からそのローブの人物は男だと分かる。


 聞き慣れない言葉に逃げる男、ロレンツィ副所長は復唱する。

「せりぬん…?」


 ローブの男はガッカリしたようにため息をついた。

「古代文学ですよ。有名なのになぁ……」


「お前は誰だ! 政府軍側か!? 一神(いっしん)側か!?」


「なるほど…一神のことまで知っているのか〜!」

 ローブの男は褒め称えるように拍手した。


「ボクはねぇ、そのどちら側でもない。“世界を平和にしたい側”の人間かな?」


「Mastersの【鏡獅子(きょうしし)】か!?」


「違う違う! 彼はこんな喋り方じゃなくてもっと真面目だよ!」


「ボクは、アクアレギア家の者だ。知ってるでしょ? アクアレギア。五大名家の!」

 彼の言うアクアレギア家とは、水王家やローズ家、ジア家が没落した後の五大名家として数えられる新興名家だった。


 大元帥ブラスト・オール率いるオール家。

 ロイ・カレセフューレ率いるカレセフューレ家。

 遺伝子研究の分野で著名なミルフォード家。

 先の戦争で功績を上げたニーズヘッグ家。

 

 そして実力が(おおやけ)になっていないアクアレギア家。


 これが現在の五大名家だった。


「ボクはストリーム・アクアレギア。一応アクアレギア家の当主だよ」

 

「ふざけたことを……お前のような者が五大名家の者なわけないだろう…!」

 そう言いながらも、ロレンツィはかなり警戒心を強めている。


「それにアクアレギア家は詳細は知られていない。情報を開示しないアクアレギア家がお前のようにペラペラと喋るわけもない」


 黒ローブの男、ストリーム・アクアレギアは“うーん”と言いながら首を傾げた。


「情報は言ってるんだけどなぁ。こんな風に」


「そもそも五大名家の者がここに来る理由があるか!? いや、ない! 一体誰が呼んだというんだ!」


「それは、“無能の皇帝”にウラズマリーのところに行くように言われてるからねぇ…仕方がないってモンだよ」


「“無能の皇帝”…四帝(よんてい)だと? ならやはり一神(いっしん)側か…!」


「それも違うんだよなぁ。これは“無能の皇帝”が指示したことだから。皇帝はボク以外にも沢山の人にウラズマリーに目を掛けるよう言ってるし、ボクもその一人」


「もしお前の言うことが本当だとして、そんなことを言っていいのか? 情報が漏れるぞ?」

 今までのやり取りで黒ローブがアクアレギア家ではないと判断したロレンツィは薄ら笑いを浮かべている。


 彼は完全に黒ローブの男を舐め切ってきた。


「ご心配どうもありがとう。けど大丈夫。情報が漏れることは絶対ない」


 突然ストリームの声色が下がる。


「君はこれから死ぬし、この通路もここを中心に半径1キロメートルは潰すから」


 先程までの陽気な雰囲気は微塵もなく、極限まで研ぎ澄まされた殺気がロレンツィを貫いた。


「来世では仲良くできたらいいね」


▼▼▼



 牢星での騒動は後の調査によって、アクスグフス・グシェ、アナイア・パイカ、リカルド・デ・ロレンツィによって画策されたものと報告された。


 その理由については、牢星の地下で囚人を使って殷獣実験を行っていたことを隠すため。

 そのため、政府軍やMastersの合同調査チームが派遣された際に囚人の暴動として排除しようとした。


 こう結論付けられた。



 アクスグフス・グシェ、アナイア・パイカは政府軍中将アイリス・ローンによって捕らえられたと公表され、副所長のロレンツィについては死亡したと発表された。


 ロレンツィ死亡の発覚理由は、監獄宇宙港間護送通路の崩落によって調査に入った職員があるものを見つけたからだ。


 宇宙港側から護送通路を100メートルほど入ったところに、ロレンツィの頭部のみが地面に立てられていた。


 頭部の周りには血溜まりができ、顔は真っ白と形容するのが相応しいほどの血色だった。



 今回の件で、政府軍とMastersは調査チームに被害なしとして発表した。

 実際はセリナ、アリス、ガウディオ、レオンが犠牲になっていたがニ組織の威光を保つためにも事実を歪曲して公表したのだ。



 こうして牢星での騒動は調査チームが難なく収めたとして世間的には発表され、事態は収束に向かった。



To be continued.....


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