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【完結】My² Gene〜万能遺伝子と宵闇の光〜  作者: droegg
8章 URAZMARY[牢星]
83/91

水王大元帥反乱事件の真実

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【登場人物】

 [サンダー・パーマー=ウラズマリー]

 金髪の活発な青年。電撃系の能力を持つ。

 サンダー・P・ウラズマリーから「プラズマ」というあだ名で呼ばれる。

 遺伝子能力養成学校高等部を卒業し、輸送船に忍び込んで宇宙へと旅立った。


 [バリス・スピア]

 元軍医で、毒の能力を持つ医者。

 薄紫で、天を衝くようなツンツン頭。目つきが死ぬほど悪い。

 どんな病でも直す幻の植物を探すため、医星を出てプラズマと旅をすることになる。


 [水王(スオウ) 涙流華(ルルカ)

 元名家・水王(スオウ)家の侍で、水の遺伝子能力者。

 プラズマ達に妹を救われた一件で、自分に足りないものを探すため、水王家当主から世界を回ることを命じられる。


 [ラルト・ローズ]

 白色の長髪で、いつもタバコをふかしている政府軍中佐。

 口が悪く、目つきももれなく悪い炎の遺伝子能力者。

 政府軍内の裏切りにより、軍を退官してプラズマ達と旅に出ることを決心する。


 [レモン・ポンポン]

 褐色高身長、彫の深い濃い顔にアフロがトレンドマークの伝説のエンターテイナー。

 娯星テロ事件の後、プラズマと涙流華に強制的に同行させられる。ガタイの割にビビり。


 ▼政府軍

 [ラバブル・ラバーズ]

  政府軍元帥。褐色の肌に白髪、眼帯をつけている。今回の牢星調査の指揮を執る。


 [アイリス・ローン]【鬼神】

  政府軍中将。ピンク色のロングヘアで、見た目は少女のような風体。ギリギリまだ34歳。


 ▼Masters

 [ガウディオ・ジア]【瞬炎】

 Mastersの一人。電撃の遺伝子能力者。森星でプラズマ達と共闘する。


 [ルーノ・スクラブ]

 プラズマの級友。ガウディオの助手という形で行動している。セリナとは犬猿の仲。


 ▼殷生師団

 [アクスグフス・グシェ]

 師団のリーダー的存在。


[アナイア・パイカ]【蠱毒】

 師団三強の一人。

 医薬品強奪事件、娯星テロ事件の首謀者。

 呪いの能力を操る。


 ▼その他

 [セリナ]

 プラズマの幼馴染の女の子。

 勤勉で真面目な性格。氷の能力、封印系煉術を操る。


 [レオン・アイシー]

 セリナの師匠。氷の能力と封印の能力を操る。


 [アリス・ジア]

 プラズマの師匠。電撃系の能力を持つ女性。ガウディオ・ジアの妹。


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【お知らせ】

 これが一部最終章。


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~第七区画・~



「何か用ですか? アルティマ教官」

 扉の開いた独房に(うつむ)いて座していた中年の褐色肌の男。黒い髪は無造作に伸び、伸びた髭が蓄えられている。

 声は低く、そして疲れ切っていた。


「なんだ? もっと喜んだらどうだ。せっかく会いに来てやったというのに」

 教官と呼ばれるアルティマという国家転覆の罪で捕まっていた男。小麦色の肌をした坊主の老爺、(もと)元帥のアルティマは房内に入って行くと男の前で腰を下ろした。


「お前はここから逃げないのか? バイス」

 独房に座する褐色の男、バイス・ギガ。かつて政府軍で上級大将をしていた男だった。


「私はもう外の世界に興味はありませんから」


「そう言うな。お前の子供や孫たちもいるだろう」


 アルティマの言葉にバイスは力なく鼻で嗤うと、少し顔を上げてアルティマの背後に立つ影に目を向けた。

「白い髪、その目つき……」


「そうだ。ローズ家の者……バルルト・ローズの孫だ」


「ローズ元帥の……」

 バイスは虚ろな目でラルトを見つめている。


「あの時のことをこいつに話してやってくれんか?」

 アルティマの申し出に対し、バイスはゆっくり首を振った。

「話したって……何も変わりません」


「今も昔も…政府軍は変わらない。あなただってそれはよくわかっているでしょう」


「何かを変えるために話してほしいんじゃない。こいつにはあの時のことを聞く権利がある。あの時こいつもあの場にいた。そうだろう?」


 バイスはタメ息をつくと観念したように俯いたまま語り始めた。


「あの事件……水王(スオウ)行不地(イカズチ)大元帥が起こした反乱事件。戦争の発端となった事件だ…」


「公式には水王大元帥と当時の元帥、バルルト・ローズさんが戦ったことになっている」


「突然水王大元帥が水王家とローズ家の跡取りを人質に取って大元帥棟に立てこもった。その場に居合わせたローズ元帥が水王大元帥と対峙し、両者とも死んだ」


 ラルトも独房の中に入ると、言葉を発した。

「それは政府がでっち上げた嘘だとオール大元帥……今の政府軍大元帥から聞きました。あの時、水王大元帥とローズ元帥(うちの爺さん)は共に戦った。別の乱入者と」


「そして当時の五大名家のジア家、キル家…そしてアンタたちギガ家が結託して水王家とローズ家を嵌めた」

 ラルトの言葉にバイスは素早く顔を上げると、睨みつけるように視線を向けた。

 ラルトはその視線を受け、バツが悪そうに目を逸らす。


「当時の五大名家。水王家の行不地(イカズチ)さん。ローズ家のバルルトさん。ジア家のルースさん。キル家のウォリオール。そしてギガ家の私……」


「私やウォリオールが政府軍に入ったときから、イカズチさん、バルルトさん、ルースさんにはよくしてもらっていた。同じ釜の飯を食い、何度も死線をくぐってきた」


「銀河の平定を求めて、私達はひた走り続けた」

 当時のことを思い出したのか、バイスから柔らかい笑みが漏れた。


「イカズチさんが大元帥、バルルトさんが元帥になったころだった。2人は銀河を揺るがす()()を感知し、それを解決するために動き始めた」


「当時将校だったルースさん、ウォリオール、私には何も言ってはくれなかった。恐らく巻き込まないようにしてくれていたんだろう」


「しかし私達は共に命を懸けた仲。水臭いとして3人でイカズチさんたちに隠れて調査をすることにした。そこで分かったのは、()()を防ごうとするイカズチさんとバルルトさんを狙う影が暗躍していたことだった」


「私達はイカズチさん達に知られないようにその刺客を始末しようと動いた」


「そこである筋から聞き、その刺客たちはアクスグフス・グシェの創った実験体と呼ばれる研究の産物であることを知った」


「そして、私達3人は央星衛星でその実験体と対峙した。実験体の数は約20以上はいた。何より驚いたのは実験体は皆少年少女だった」

 記憶に深く残る実験体たち。黒いフードに身を包んだ少年少女。将校でもてこずる程の強さ。バイスたちもかなり苦戦を強いられたのだった。


「何人かは倒したが、その中でもリーダー各の実験体たちの強さは桁違いだった。私達は窮地に追いやられていたが、あちらも痛手を喰らい撤退したことで九死に一生を得た」

 戦闘マシーンとして育てられたかのような無駄のない動き、躊躇いのない殺意。言い表せない恐怖を抱いたのを覚えている。


「私達は央星の政府軍本部に戻って大元帥に報告をしようとした。だが央星に着いたら宇宙港でMastersが待ち構えていて、“この件からは身を引け”と忠告……いや警告をされた」


「そしてMastersの配下職員が監視につき、その翌日にキル家が襲撃された。これ以上追えば、こうなる。そう脅してきてたんだ」

 ぼんやりと抱いていた不信感がはっきりと黒く染まった瞬間だった。


「そしてさらにその翌日、水王大元帥反乱事件が起きた」


「キル家が襲撃されたことを受け、ジア家とうちのギガ家はそれぞれの家で襲撃に備えていたが、水王家、ローズ家の子供達は保護のために政府軍本部に来ていた」

 確かに反乱事件の当日はラルト、従妹のレミ、涙流華、千里華が大元帥棟に遊びに行っていた。

 当時そんな情勢のために連れてこられていたとは知る由もなかったが。


「もちろん政府軍本部が一番安全だ。まさか政府軍の中心に襲撃してくるとは思うまい」


「だが、()()は来た」

 その言葉にラルトは眉を動かす。水王行不地とバルルト・ローズを襲った人物については以前オール大元帥から聞いたことがあったからだ。


「ヴァンガルド・キルとラグナロク・ニーズヘッグですか?」

 ラルトはオール大元帥から聞いていた2人の名前を口にした。


「一人は合っているが、もう一人は違う」

 その言葉にラルトは分かりやすく動揺を見せた。


「一人はキル家の者。リアオルガルド・キル。お前の言った通りラグナロク・ニーズヘッグと名前を変えた者だ」


「そしてもう一人は……」


 バイスは悲しそうな目でラルトを見つめた。

「ローズ家の者。バルカン・ローズ……お前の父親だ」


「なっ……なんの冗談ですか」


「冗談ではない。ウォリオールの息子とバルルトさんの息子が襲撃した。私達が駆けつけたときには、すでにバルルトさんは殺されていた」

 当時の光景がついさっきのことのように(よみがえ)る。

 仰向けに倒れ、口元が血に塗れ、胸と腹部には大きな穴が穿たれていたバルルト・ローズ。

 全身は焼けただれ、下半身は瓦礫に覆われていた。


 そして何よりも悲しかったのがその戦場の状況だった。

「大元帥棟を見るに、イカズチさんとバルルトさんは本気を出せずに防戦一方だった」

 バルルトの代名詞である白炎と行不地の得意とする氷は一切戦場にはなかったのだ。


「そして大元帥執務室の端に鉄の煉術で守られていたのがお前を含めた子供達だ」


 ラルトは動揺を隠せず声が震えたままバイスに問うた。

「なら俺の親父とキル家の奴が水王大元帥とうちの爺さんを殺したっていうのかよ……?」


「いや……それも違う。周辺にイカズチさんの遺体はなかった。恐らくだがバルルトさんが敵を引きつけて逃がしたんだろう」


「これが真実だ。ラルト・ローズ」

 ラルトの頭は真白だった。

 ラルトの一族は戦争の後にヴァンガルド・キルという者に皆殺しにされた。そのときに父親のバルカン・ローズも殺害された。

 それが教えられた顛末だった。


「そしてルースさんとウォリオールは国家転覆罪に加担したとして死刑。冤罪だ」


 バイスの言葉にアルティマが反応した。

「儂と同じだが、刑は随分と違うようだな」


「真実を知る者を消したかったのでしょう」


 ラルトは憔悴し切った様子で声を上げた。

「じゃぁなんであなたはここに!?」


「それは私の子供達がある条件を呑む代わりに私の死刑を減刑してくれたからだ」


「条件?」


「そう。条件は2つ。一つはドラゴナイズドというイカズチさんと繋がっていた者の一族を滅ぼすこと」


「もう一つは私達一族の力、GIGA(ギガ)を政府に提供することだ」


 ラルトは聞き慣れない言葉を復唱した。

「ギガ?」


 バイスは“あまり大っぴらに公表されていなかったからな”と一呼吸置くと、ゆっくりと説明を始めた。

「昔ある能力を持った一族がいた。罪深き遺伝子能力。今の殷獣(いんじゅう)化技術の元になった能力だ」


「ローズ、条件下能力上昇能力(エンジンレイズ)を知っているか?」

 

 バイスの問いにラルトは答えた。

「ある条件を満たせば能力が倍々に上昇していく特殊遺伝子能力です……ね?」


「そう。我々の一族は、負の感情…怒り、憎しみ、悲しみ、苦しみ、嫉妬…そういう感情を条件として能力が上昇していく」


「さらに血が肌に触れることでも能力が上昇するエンジンレイズでもあった」


「私達の一族は煉術(れんじゅつ)で断続的に少量の血液を流し、蒸発させて常に肌に触れさせる術を会得した」


「それらを組み合わせた我々の遺伝子能力がGIGA(ギガ)というものだ」

 条件下能力上昇能力(エンジンレイズ)は非常に珍しい。


 純正と呼ばれる先天的なものと、人工と呼ばれる後天的なものがあった。

 二つ以上持っていることはさらに珍しく、エンジンレイズは一人一つしか持っていないというのが一般的な認識だった。

 またその組み合わせも純正と人工という組み合わせしかなく、純正で二つ以上持つことはこのギガ家以外にないことだ。



「何世代も前のある兄妹の代でギガ一族は二分した」


「兄はそのままのGIGA(ギガ)を継承し、妹は竜の能力を持つ男と結ばれた」


 ラルトは怪訝な表情を浮かべている。

「竜の能力?」


GIGA(ギガ)に加え、硬い爬虫類のような鱗と巨大な翼を持ち、炎を吐く能力。彼らは竜化した者(ドラゴナイズド)と呼ばれるようになった」



「本筋のGIGA(ギガ)をも凌ぐ、非常に強力な遺伝子能力だった。それゆえに多くの権力者たちが彼らを手中に収めようと奪い合った。政府も同じだ」


 ギガとドラゴナイズドは別れたものの、両家の仲は悪くなく互いに手を取り合っていた。

 しかしいつの時代も権力者は力を欲する。ドラゴナイズドはそういった輩に目をつけられてしまったのだ。


「そのためドラゴナイズド一族は銀河の端にひっそりと暮らすことを選択した」


「しかし政府は自分達にとって脅威になる可能性があるとして数世代にわたってドラゴナイズド一族を狙い続けた」


「何度も滅ぼそうとしたが、ドラゴナイズド一族も一筋縄ではいかない。政府軍も本気で潰そうとすれば軍に大きな犠牲が伴う」

 実際に政府は、銀河の調和を乱す者として何度かドラゴナイズドに軍を派遣したが、いずれも少しの損害を与えるのみで失敗に終わっていた。


「そんな睨み合いを続けていたところ、いい捨て駒が手に入った。水王大元帥反乱事件で私を無理くり捕らえ、私が死刑を免れるための交換条件として、私の子供達がドラゴナイズド一族を滅ぼす」


「私は見捨てて欲しかったが当時の私は一切の接見を禁じられそれも伝えられず、子供達がドラゴナイズド一族を滅ぼしたと知った…」


「生き残ったのは数人だ」

 バイスは顔を伏せた。


「その内の一人が今十闘士(じゅっとうし)にいる【斬竜】レア・ギガですか…」

 ラルトはその二つ名に納得したように軽く頷いた。


「あぁ。レアは私の孫娘だ」


「そしてもう一つの条件であるGIGA(ギガ)の提供。それに目をつけたのがアクスグフス・グシェだ。殷獣はその研究結果だろう」


「殷獣の元がギガ家…!?」



 その時だった。


 大きく揺れる監獄。

 爆発音とともに地震のような揺れが続いた。


 するとバイスが焦ったように立ち上がる。

「この力の感触……GIGA(ギガ)だ……!! どこかで暴走している…!」



To be continued.....



【EXTRA STORY】


~牢星調査前・大元帥執務室~


「ラバブル。第七区画にバイス・ギガがいる。頼んだぞ」


「バイス・ギガ……分かった。全く…お前の遠回しの言い方にも慣れたよ」


「それを言うなと言ってるだろう」



 To be continued to next EXTRA STORY.....?

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