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【完結】My² Gene〜万能遺伝子と宵闇の光〜  作者: droegg
第7章 監獄の星[牢星]
66/91

34歳、独身

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【登場人物】


 ▼何でも屋(IMIC)



 [サンダー・パーマー=ウラズマリー]

 金髪の活発な青年。電撃系の能力を持つ。

 サンダー・P・ウラズマリーから「プラズマ」というあだ名で呼ばれる。

 遺伝子能力養成学校高等部を卒業し、輸送船に忍び込んで宇宙へと旅立った。


 [バリス・スピア]

 元軍医で、毒の能力を持つ医者。

 薄紫で、天を衝くようなツンツン頭。目つきが死ぬほど悪い。

 どんな病でも直す幻の植物を探すため、医星を出てプラズマと旅をすることになる。


 [水王(スオウ) 涙流華(ルルカ)

 元名家・水王(スオウ)家の侍で、水の遺伝子能力者。

 プラズマ達に妹を救われた一件で、自分に足りないものを探すため、水王家当主から世界を回ることを命じられる。


 [ラルト・ローズ]

 白色の長髪で、いつもタバコをふかしている政府軍中佐。

 口が悪く、目つきももれなく悪い炎の遺伝子能力者。

 政府軍内の裏切りにより、軍を退官してプラズマ達と旅に出ることを決心する。


 [レモン・ポンポン]

 褐色高身長、彫の深い濃い顔にアフロがトレンドマークの伝説のエンターテイナー。

 娯星テロ事件の後、プラズマと涙流華に強制的に同行させられる。ガタイの割にビビり。


 ▼政府軍

 [ラバブル・ラバーズ]

  政府軍元帥。褐色の肌に白髪、眼帯をつけている。今回の牢星調査の指揮を執る。


 [アイリス・ローン]

  政府軍中将。ピンク色のロングヘアで、見た目は少女のような風体。ギリ34歳。


 ▼Masters

 [ガウディオ・ジア]【瞬炎】

 Mastersの一人。電撃の遺伝子能力者。森星でプラズマ達と共闘する。


 [ルーノ・スクラブ]

 プラズマの級友。ガウディオの助手という形で行動している。セリナとは犬猿の仲。


 ▼殷生師団

 [アクスグフス・グシェ]

 師団のリーダー的存在。


 [アナイア・パイカ]【蠱毒】

 師団三強の一人。

 医薬品強奪事件、娯星テロ事件の首謀者。

 呪いの能力を操る。


 [アルコ・トーレ]

 医星でプラズマ達と対峙した男。医星のトップに立つため、万能遺伝子の恩恵を受けようとパイカに付き従っている。氷の遺伝子能力者。


 [ウィンド]

 師団三強の一人。

 プラズマが遺伝子能力養成学校に在籍していた時、襲撃してきた緑色の髪をした青年。

 風の遺伝子能力を持つ。My Geneの探索にはプラズマが必要だとして襲撃するも、パラム校長によって異空間に飛ばされる。


 [ヴァンガルド・キル]【破壊】

 師団三強の一人。

 ローズ家の者を10人以上殺害したとして、投獄されていた死刑囚。

 脱獄に成功した後、政府軍上級大将、大将と共に政府軍本部を襲撃し、プラズマ達と対峙した。


 ▼その他

 [セリナ]

 プラズマの幼馴染の女の子。

 勤勉で真面目な性格。氷の能力、封印系煉術を操る。


 [レオン・アイシー]

 セリナの師匠。氷の能力と封印の能力を操る。


 [アリス・ジア]

 プラズマの師匠。電撃系の能力を持つ女性。ガウディオ・ジアの妹。


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【お知らせ】

 表紙描くのまぁまぁ時間かかる…

 キャラも少ない……


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挿絵(By みてみん)


~第四区画~


「はぁ~あ……なんで私がこんな監獄に……」

 ぶつぶつと文句を言いながら歩くピンク色の髪の少女……

 もとい政府軍中将アイリス・ローン。34歳。


 ラバーズ元帥の指示で彼女は独りで調査に回ることとなった。とは言っても案内役の看守は付いているのだが。


「なんかおっさん臭いし…」

 その言葉に40代くらいの案内役の看守は気まずそうに自身の脇辺りを嗅ぎ始めた。

 アイリスは背後で自身の臭いを気にしている看守に気付く様子はない。


「ねぇ? ここなんの犯罪者の集まりだっけ?」

 歩きながら突然質問するアイリス。脇辺りを嗅いでいた看守は驚きで体をビクつかせた。


「あ! あの……違法薬物です。主に遺伝子能力強化剤とかの…」


 アイリスは“あっそ”と素っ気なく返答した。

「ちゃちゃっと終わらせて、早くハイボール飲みたい~」


「濃いめのハイボール所望~」

 彼女は歩きながら“シュッシュッ”と軽いシャドーボクシングのように小さな拳を右、左と繰り出している。


「あ~、虚し……あ~あ。早く寿(ことぶき)退官したいわ~」


「なんかさぁ、政府軍のおっさん、おばさんでさぁ、“せっかく上級大佐として引き抜いてくれたんだからもっと昇進して恩に報いるべきだ”とか“女性軍人の立場向上のために上を目指すべきよ”とか言ってくるやついるんだけどさぁ」

 アイリスは看守に対し愚痴を吐きながら、囚人達を観察して歩いている。


「私は結婚して幸せな家庭を作りたいっての! 好きにさせてよね!」


「結婚して寿退官したいって言ったらさ、“考えが古い!”とか言われるのよ!?」


 するとアイリスはその場に立ち止まると、地団駄を踏んだ。

「ほっといてよ! 私の人生でしょ!! 自由にさせてよ!」


「そりゃぁ私みたいな落ち着きのない人間を引き抜いてくれて政府軍には感謝してるよ? 時間もできてお料理教室も行けるし、アーサナ・ヨーガにも行けるようになったし」


 アイリスの愚痴は止まらない。


「でもさぁ! 私の人生なんだと思ってんの!? 私だって白馬の王子様に拾われる権利あるでしょ!?」


「それなのに何が【鬼神】よ…! おかげでみんな怖がって話しかけてくれないじゃない!」

 彼女は男性から話かけられないことを非常に気にしていた。政府軍は比率的には女性が少なかったため、男性から声を掛けられることは決して珍しいことではなかった。

 それが余計に彼女を傷つけていたのだ。


「確かにスタイルはまぁあれだよ? けど結構可愛い部類には入ると思うのよね。もちろん客観的に見てよ? なのに話しかけられないって絶対二つ名のせいじゃん!」


 自分の顔は決して悪くない。なのに話しかけられない。これは自分の物騒なイメージや二つ名のせいだと彼女は結論付けた。


「このままじゃぁ、あの二人に負ける……!」

 彼女が口にした“二人”とは、共に結婚を夢見る女性軍人であり、共に競い合うライバルだった。

 一人は政府軍大尉。もう一人は十闘士。アイリスが十闘士のころから2人とは過去の任務で何度も共闘したことがあった。

 その際に意気投合(大喧嘩)し、その後も事あるごとに集まり愚痴を肴に酒をあおっては互いを罵り合っていた。


 彼女達もアイリスと同様に怖がられている存在だったが、スタイルが良い上に物騒な二つ名もない。アイリスはこのままでは先を越されると焦りを抱いていた。


「くそっ……あいつらの惚気(のろけ)話なんて聞きたくない……! 先越されたくない…!!」

 アイリスは再度その場で地団駄を踏んだ。


 割と大声で話すアイリスに我慢できなくなったのか囚人の一人が声を上げた。

「うるせぇぞお嬢ちゃん」


「あぁこら!!? お前が黙ってろカス! もうすでにお嬢ちゃんの歳じゃねぇんだ! ブッ(ころ)すぞ!」

 アイリスは息つく間もなく荒々しく囚人を罵倒した。

 流石の1級犯罪者たちも引いている。


「はぁ…こんな仕事についてるからいつまで経ってもお淑やかさが身につかないんだ…」

 平和を愛する穏やかな一族として知られるローン家。

 親族はみな琴を弾いたり詩を吟じたりと、如何にも穏やかな生活をしていた。


 その中で唯一活発に遊んで(喧嘩して)回る者がいた。

 その者こそこの女性、ローン家長女のアイリス・ローンだった。


 彼女は長女としてローン家を背負っていく存在として期待されたが、あまりのじゃじゃ馬振りに見放されてしまったのだ。


 相手にされなくなった彼女は喧嘩に明け暮れ、荒れに荒れて結局ローン家から勘当(かんどう)されてしまった。

 

 そしてそのまま彼女は思うがままに拳を振るっていたところ、十闘士の目に留まり加入することになったのだ。十闘士に入った当時、彼女はまだ17歳。十闘士の中では4番目に長く居続けている。


「絶対そう! 職種が悪いのよ! どう思う!? 看守さん!」

 そしてアイリスは初めて看守の方に振り返った。


「ってあれ?」

 先程までいたはずの看守がいない。


「お? 私結構長い事話してたぞ? 独り言だったとかめちゃくちゃ恥ずかしいじゃん」


 彼女が周囲を見回し、看守を探していたときだった。


 突然、ブザーが鳴り響くと監房の扉全てが開かれたのだ。


「えっ? うそでしょ…? 電子制御バグった?」


 次々と監房から受刑者たちが歩み出る。視界に入るだけでも100人近くはいた。瞬く間にアイリスは1級受刑者たちに囲まれてしまう。


「えっと、暴動ってことにして赤…っと」

 アイリスは極めて冷静に、所長から説明されていた異常事態を知らせる携帯報知器のスイッチを押下する。


「こいつ政府軍の服着てやがる」「やっちまうか」「嬢ちゃん遊ぶ?」

 思い思いの言葉を発する受刑者達は、軍服の少女を見て悪意に満ちた笑みを浮かべている。

 ここは死刑囚か、死ぬまで懲役の囚人ばかり。10年、20年がザラの長期収容者が多いため、最近政府軍に入った彼女を知らない者が大半なのだろう。


「お嬢ちゃんとは言ってくれるのね。遺伝子能力も煉術(れんじゅつ)も使えないアンタたちに何ができるって言うの?」


「使えない遺伝子能力ってのは……これのことか?」

 スキンヘッドの中年男が彼女の前に出る。彼が右手を前に突き出すと、床のコンクリートから練り出るように槍を生成させた。


 監獄では週に1回遺伝子能力抑制剤を打っているとのことだったが、どうも効いていないようだった。

「抑制剤腐ってんじゃないの……? それともゴキブリみたいに耐性できちゃった?」


「ゴキブリとは言ってくれるじゃねえか、お嬢ちゃん。俺達は怖いオトナだからよぉ。お嬢ちゃんみたいに小さい子だろうと殺しちまうぞ?」


 凄む囚人を前にしてもアイリスの表情は一切変わらない。彼女は黒い光沢を放つシルクの手袋を外すと、軍服のポケットに入れた。

 そして周囲の全員に聞こえるほどの大きなため息をつく。


「アンタたちが私に襲いかかる。私がアンタたちをぶっ倒す。政府軍からお褒めの言葉を貰う。私のことがまた公表される。私のイメージがまた物騒になる。余計に男性が私に声を掛けてくれなくなる」


「ホントに嫌になる」

 アイリスの目は虚ろになり、純粋な殺気を放っている。


 先ほどまでの雰囲気とは違う。明らかに殺す意思を持った少女に囚人の中の数人がざわつき始めた。

「おい、ちょっと待て……あのピンク髪に幼い見た目! こいつまさか……!」




~第二区画~


「なんの音だ!?」

 けたたましく鳴り響くブザー音。涙流華は声を張り上げて案内役の看守に問う。


 看守はホログラムを確認すると、叫ぶように返答した。

「第四区画で異常事態です!」


「あの小さい中将さんのとこか!」

 バリスは、ピンク色の髪の政府軍中将を思い出していた。


「赤…ってことは、囚人の暴動です!」


「暴動!? 俺達も行った方がいいのか?」

 バリスは周囲の監獄を警戒しながらも、看守に問うた。


「私が行ってきます!」

 看守はそう言い残して来た道を戻っていった。


「なんで俺達が行くとこ行くとこトラブルに見舞われるんだ……」

 バリスは“またか”と額を押さえて現実を受け止めようと努力している。


「まぁでも俺達の区画で起きなかっただけ不幸中の幸いか…?」

 バリスは響き続けるブザー音の中、何とかポジティブに考えようと自分を言い聞かせていた。


「残念ながら私達も不幸の渦中にいるみたいだぞ」


 涙流華の声にバリスが顔を上げると、監獄の扉が開いており続々と囚人が出てき始めていた。

「嘘だろ……? 」


「やるぞバリス。丁度こいつら(性犯罪者)逸物(いちもつ)を叩き切ってやりたいと思っていたところだ」




~第六区画~


「第四区画で暴動です」

 監獄所長は看守用ホログラムで情報を確認していた。


 政府軍元帥ラバーズは軍用のホログラムを開いていた。

「圏外……ローカルホログラムしか使えないのか」


 ブザー音とともに赤色のランプが点滅しており異常事態であることを知らせており、一定の周期で彼らを照らす。


 ラバーズ元帥は所長の方へと振り返る。

()()は順調に進んでいるか? 所長殿」


 その問いに所長は目を細めた。

「何の話です?」


「囚人をけしかけて暴動を起こし、我々調査班を消そうという魂胆、もしくは鎮圧させて一件落着ということにしたいのだろう?」


「だから何の話です?」


「だがお前達は一番ハズレの選択肢を引いたな。第四区画はローンだ」


「彼女がどうしたというのです?」

 所長は尚も睨むようにラバーズの話を聞いている。



「彼女は二重遺伝子能力者(ダブルジーナー)だ」


 二重遺伝子能力者(ダブルジーナー)。世界には2つ以上の遺伝子能力を持っている者がいる。数は決して多くない。

 先天的に有している場合と、稀ではあるが後天的に獲得する場合。


 アイリスは後天的に獲得したケースだった。



「一つはGene of Physical Boo(身体強化)st」


「そしてもう一つは……」


「Gene of Enemy-Engine、条件下能力上昇能力(エンジンレイズ)だ」



「周りに敵がいると認識していればしているほど、遺伝子能力が強化される」


「だからこそ彼女は十闘士に選ばれ、政府軍に引き抜かれた」


「多対一が彼女の専門分野。それこそが【鬼神】という二つ名を授かった所以だ」




~第四区画~


「こいつまさか…! 十闘士の【鬼神(きじん)】だ!!」

 囚人の内の一人が怯えたようにそう叫ぶ。


 その二つ名を聞いたアイリスは薄ら笑いを浮かべている。

 アイリスの笑みは彼らが見てきたどの笑みよりも恐怖を抱かせた。


「はじめまして~。今は政府軍中将やってまぁす、【鬼神】のアイリス・ローンでぇす♡ 今日はお互い楽しい時間が過ごせたらいいなと思ってまーす」


「死なないようにせいぜいよろしく」


To be continued.....


【EXTRA STORY】


~半年前・イタリーレストラン個室・「月1寿(ことぶき)会」~


「らからさぁ、言ってやっらわけよ! ほっとけよーって!」


「アタシもこの前“結婚してぇな”ってぼそっと呟いたらよぉ? あの上級大将のとこのお局いるだろ? あいつが“貴女のその言葉は旧西暦的な発言ですよ”とか言ってきやがってよぉ?」


「上級大将付きのベテランだかしらねぇけど、アタシャ大尉だぞ? お前よりも階級上だっての! お前にアタシの生き方強制してないだろ! 放っといてくれよな?」


「いるいる! そういう自分の上司の階級が高いからって威張っれるやつ!」


「分かるかぁ? アイリス! 今日は珍しく意見が合うじゃねぇか! お前もそう思うだろ? レイディ!」


「私十闘士だから政府軍のことは分かんない。それよりもアルティマ、生ハム食べ過ぎだから。私の分まで食べてる」


「あぁ? レイディてめぇ、ネチネチとお局みたいなこと言いやがって。そんなんだから結婚できねぇんだぞ!」


「それはアンタもでしょ。それにアイリス、アンタは飲みすぎ。一人でワイン8本も開けて。呂律回ってないし」


「うるさいなぁ、あんら、いつもはふざけてるくせに飲んだときらけ真面目になるのやめなさいよ! 面白くない!」


「なによそれ! 酒飲んでるときは私がスベッてるとでもいいたいの?」


「そうだよ! そういう置きにいってるところがお前はダメなんだよっ! どうせいっつも笑いに走ってるのだって、男に相手にされないときの保険なんだろ?」


「うるさい! アルティマこそ髪とかしたり、肌のケアしたら? ただでさえ汚部屋だしシャツもしわくちゃなんだから」


「この…」「くそっ…」「なにを…」



「「「そんなんだから男できないんだよ!」」」



 To be continued to next EXTRA STORY.....?

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