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【完結】My² Gene〜万能遺伝子と宵闇の光〜  作者: droegg
第6章 伝説のエンターテイナー [娯星]
54/91

蠱毒のアナイア・パイカ

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【登場人物】


 ▼何でも屋(IMIC)

 [サンダー・パーマー=ウラズマリー]

 金髪の活発な青年。電撃系の能力を持つ。

 サンダー・P・ウラズマリーから「プラズマ」というあだ名で呼ばれる。

 遺伝子能力養成学校高等部を卒業し、輸送船に忍び込んで宇宙へと旅立った。


 [バリス・スピア]

 元軍医で、毒の能力を持つ医者。

 薄紫で、天を衝くようなツンツン頭。目つきが死ぬほど悪い。

 どんな病でも直す幻の植物を探すため、医星を出てプラズマと旅をすることになる。


 [水王(スオウ) 涙流華(ルルカ)

 元名家・水王(スオウ)家の侍で、水の遺伝子能力者。

 プラズマ達に妹を救われた一件で、自分に足りないものを探すため、水王家当主から世界を回ることを命じられる。


 [ラルト・ローズ]

 白色の長髪で、いつもタバコをふかしている政府軍中佐。

 口が悪く、目つきももれなく悪い炎の遺伝子能力者。

 政府軍内の裏切りにより、軍を退官してプラズマ達と旅に出ることを決心する。


 ▼政府直轄治安維持機関(十闘士)

 [メルツィア・ジア]【雷核】

 プラズマの師匠であるアリス・ジアの妹で、十闘士の一員。プラズマの3歳下だが、とても生意気。電撃の遺伝子能力者。


 [チェンドラ・イア]【懺悔】

 十闘士の一員。メルツィア・ジアの指導役。

 殷生師団の一人が潜伏している情報を得て娯星を訪れた。


 ▼殷生師団

 [アナイア・パイカ]【蠱毒】

 医薬品強奪事件の首謀者で、常に密室内で複数人に殺し合いをさせ、それを観察している異常者。

 彼の放った特殊な毒を持った昆虫や小動物によって、多くの惑星で死傷者が出ている。


 [ウィンド]

 プラズマが遺伝子能力養成学校に在籍していた時、襲撃してきた緑色の髪をした青年。

 風の遺伝子能力を持つ。My Geneの探索にはプラズマが必要だとして襲撃するも、パラム校長によって異空間に飛ばされる。


 [ヴァンガルド・キル]【破壊】

 ローズ家の者を10人以上殺害したとして、投獄されていた死刑囚。

 脱獄に成功した後、政府軍上級大将、大将と共に政府軍本部を襲撃し、プラズマ達と対峙した。



 ▼娯星芸能界

 [レモン・ポンポン]

 褐色高身長、彫の深い濃い顔にアフロがトレンドマークの伝説のエンターテイナー。


 [ロブルス・プレン]

 若い画家。一番最初に殺し合いを始めた男。


 ▼その他

 [セリナ]

 プラズマの幼馴染の女の子。

 勤勉で真面目な性格。氷の能力、封印系煉術を操る。



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【お知らせ】

 早く2部3部行きたい。

 チョロQチャージしてる気分。


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挿絵(By みてみん)



 ~星立中央放送局・収録スタジオ~



 死を覚悟したポンポンが振り返ると、男の振り上げた腕から血が噴き出していた。

「頭に筋肉ついてる奴なんていないってさ、お前って珍しい生き物なんだな、ルルカ」


「言葉を返すがお前もその珍しい生き物だぞ、プラズマ」


 煽るように変顔をするプラズマを無視して涙流華(ルルカ)は刀に付いた血を振り払っている。

「やるじゃないか。“あふろのえんたあていなあ”」


 プラズマは顔を元に戻すと涙流華に続いた。

「流石はヒーロー!」



「うがぁぁぁぁぁ腕がっ、腕がぁぁ!!!」

 男は右腕から血をまき散らしながら狼狽(うろた)えている。


「うわぁぁぁ! よくもぉぉぉ!」

 男は痛みで半狂乱となり、残った左手で涙流華に襲い掛かるが、プラズマに左顔面を蹴り飛ばされ壁にぶち当たった。



 ポンポンは顔を上げて、2人に問うた。

「き、君たちは……?」


「俺達は何でも屋だ!」




 ~中央報道局・最上階~



 薄暗くモニターが所狭しと並ぶ部屋に、薄紫色の髪の男が立っていた。

「チッ、トーレを向かわせて正解だったか。まさか邪魔が入るとは……」

 その男、パイカは殺し合いの舞台に乗り込む人影を見て舌打ちをしていた。

 しかし、彼の目に映ったのは…


「ん? いや、あれは……蠱毒(こどく)の雲行きは怪しいがそれ以上の目的が達成できそうだ……」


「まさかわざわざ対象から巣の中に入ってくれているとはな」

 パイカは不気味に笑っている。



 ガチャッ



「【蠱毒(こどく)】のパイカ!!」



「十闘士か。チッ、次から次に」

 扉が開き、自身の二つ名を呼ぶ声にパイカは舌打ちをしながら一人呟いた。


 そして扉の方を振り返ると、彼は作ったような笑みを浮かべる。

「十闘士のチェンドラ・イアと……そこのお嬢さんは見ない顔ですね。どうしてここにいらしたんです?」

 パイカに焦りはなく、旧友とでも話すように余裕を見せている。


殷生(いんせい)師団のお前を捕まえりゃ政府軍にもMastersにもデカい顔できるからな」

 イアの言葉にパイカは困惑した。

「捕まえる……?はて、私は何か悪い事をしましたか?」


「アルコ・トーレの医薬品強奪の共犯と……毒物による殺人だろうが」


 イアはあえて罪状を説明するが、それでもパイカは驚きを続けていた。

「アルコ・トーレ……誰ですかそれは?」


「あくまでも……とぼけるわけか」


 見る見るうちに苛立っていくイアに、パイカは“あっ”と手を叩いた。

「もしかして、先ほど66階で起きているテロ犯を捕まえに行ってくれた方ですかね?」


「しょうもない芝居しやがって。ジア、66階に行ってあいつらと合流しろ」


「はい」

 メルツィアはイアの指示通り、すぐ様部屋を出ていった。


「おっと、口が滑ってしまいましたね」

 パイカは軽く息を漏らすと、自身の額に手を当てた。


「私はあなた方十闘士が嫌いです」

 急に表情を曇らせたパイカ。その眼差しには嫌悪感が含まれていた。

「知能が無くて、暴力的で、不躾(ぶしつけ)で、傲慢で……」


「自分たちが銀河で強いと思っている」

 怒りからかパイカの頬は引き()っている。

「あなた一人でこの私の相手をできると思っている」


「だからこそあなた一人をここに残すようにしたのです。あなたのその鼻をへし折るためにね」

 パイカの宣戦布告をイアは鼻で笑った。


 パイカは一歩前へと歩み出ると、得意げな顔で話始めた。

「知ってますよ。あなたの能力。水系統を主力とする煉術(れんじゅつ)と、非常に厄介な遺伝子能力ですが……」


()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


 するとイアは“面白い”と言わんばかりに口角を上げた。

「十闘士でも一人しか能力を知らないのに、お前は本当に知ってそうだな。一体誰から聞いたのやら……」


「だが俺の能力を知っているのなら、諦めがつくだろう。大人しくお縄につけ。」


轟唱(ごうしょう)水流丹(すいりゅうたん)!」


 イアの放ったパイカは迎撃するように毒々しい黄緑色の液状の弾を放った。

「そっちが先に手を出したのだから、これは正当防衛ですよ?」




 ~中央報道局・スタジオ~



「ラルト! 早いとこ氷を溶かしてくれ!! 体温が下がる!」

 バリスがラルトに呼びかけた。

「分かってら!!」


 バリスが負傷者の応急処置をして回っていると、倒れている男性に対して何度も何度も刃物を振り下ろしている男を見つける。


 バリスはすぐさま煉術(れんじゅつ)を放った。

「てめぇ! やめねぇか! 風唱(ふうしょう)!」

 その男、ロブルスはバリスの放った突風によって吹き飛ばされ、壁に打ち付けられた。


「痛っ……何するんだいきなり……」

 ロブルスはゆっくりと立ち上がると、静かに言葉を発した。

「俺は今日伝説になるんだ……」


「殺し合いを余儀なくされ、その悲惨な経験を通して芸術性を発揮する天才画家へと……!」


 ロブルスはバリスに向かって刃物を突き出すが、バリスは半身となって躱して再度風唱(ふうしょう)を打ち込む。


 再度風によってスタジオの入り口付近まで吹き飛ばされたロブルスは目の前の扉に目を向けた。

「扉が溶けてる……! ここから出られる!! 俺はこの経験を表現するんだ!!」


 ラルトの炎によって扉の氷が溶けていることを目の当たりにしたロブルスは立ち上がると、一目散に扉へと駆けだした。


「クソっ! 逃げる気か!!」

 バリスがロブルスに手を伸ばす。


 その時、スタジオの入り口の扉が開かれ1つの人影が現れた。


 その人影は、バリス、ラルトとは因縁のある人物だった。


「アルコ・トーレ……!」



 トーレはロブルスの持つ氷の刃物を溶かすと、続いて彼の両足を凍らせた。


「何でも屋に見つかった以上、蠱毒の完成は難しい」

 ゆっくりとロブルスへと近づくトーレ。


「君たちの役目はもう殺し合いじゃない。我々の手駒となることだ」


 じたばたと身体を動かすロブルスに不気味な笑みを向けるトーレ。彼はケースに入った注射器を懐から取り出した。


「有名画家のロブルス。確か君は花の遺伝子能力だったね。さて、君はどんな()()を見せるのか楽しみだ」


 トーレはロブルスの右の肩口以外を凍らせると、3本の注射をロブルスの右の二の腕連続で打ち込んだ。

「急激な遺伝子能力の解放に君の脳や心臓、遺伝子は耐えられなくなる。残り少ない余命で、好きなだけ命を表現してくれ。アーティスト」


 その様子を見ていたバリスは焦りの表情を浮かべている。

「ありゃぁ、医星でヴィスタに使った薬だろうな」

 ラルトもバリスと同じことを感じ取っていた。

「あぁ。花の能力なら進化のしようによってはちょいとヤバいかもしれねぇぞ。気をつけろバリス」


「それを“毒”の能力者の俺に言うか?」


 さらにラルトは続ける。

AGIS(エイジス)に到達してるのは確実だろうが、もしAGRY(アグリー)までいってたらめんどくせぇ」


 森星で対峙したロレンツが頭を()ぎる。

 彼は遺伝子能力強化薬を打ち込み、遺伝子能力との同調であるAGIS(エイジス)、さらなる能力の解放であるAGRYアグリーまでも開花させた。

 彼らはそれを危惧していた。


 ラルトは警戒しながら手に炎を(たぎ)らせている。

「バリス、とにかくやつの攻撃には当たるなよ」


「だからそれを“毒”の能力者の俺に言うか?」



 眼前で急激な進化を遂げようとしている()()を前に、バリスは一人呟いた。

「ったく、プラズマとルルカのやつどこ行きやがったんだ……早くこっち戻ってこい……!」




 ~スタジオ・舞台袖~


 涙流華によって腕を斬られた男は叫びのたうちまわっていた。


「人を殺して(たの)しいか?」

 無様にのたうち回る自分を、一人のサムライが冷酷な目で見下ろしている。


 静かに……だが、戦闘の素人でも分かるほどに、そのサムライからは殺気が放たれていた。

「おぉぉぉお前!! 俺を殺すのか!? お前も人殺しじゃないか!!」

 男は冷酷な鬼を前にして無様にも生きるための言葉を紡いでいる。


「腕を斬り飛ばされているのに訳の分からんことをベラベラとよく喋る」

 涙流華は刀に水を滴らせると、血を落とすようにして振るった。


「お前の言う通り、私は命を奪ったことのある“人殺し”だ」


 涙流華の暗く、重い雰囲気にプラズマは不安の眼差しを向ける。

「ルルカ……」


「お互い大事な者を守るために戦い、命を奪った」

 血が落ちたのを確認すると、涙流華は左腰の鞘に刀を納めた。

「それに比べ、お前の様な屑を殺すことに何ら躊躇いはない」


 冷たい雰囲気を(まと)ったまま(おもむろ)に涙流華は居合の姿勢を取る。いつでも首を斬りとるこができる。そのような殺気がその場を包んだ。



 しかし……


 刀の柄を握る彼女の手は包み込むように抑えられた。


「プラズマ……!」

 一瞬だが、涙流華の放つ空気が和らいだ。

「ルルカ、お前が手を汚すな」


「プラズマ……貴様。この様な屑を生かしておけと?」


「不要な殺しはやめろって言ってんだ」


「不要だと? 人を殺めたこともない小僧が指図するな。こいつを自由にしておく利点はない」


「なら……」

 プラズマは涙流華の手を押さえながら半狂乱となっている男に電撃を浴びせ、気絶させた。


「これでいいだろ? 気絶して自由じゃない!」

 涙流華はプラズマの手を払い、刀から手を引くと踵を返し、ラルト達の元へと歩き始めた。

「甘いな。いつかその甘さが取り返しのつかないことになるぞ」


 暗く、重い雰囲気を纏う彼女の背をプラズマは見つめることしかできなかった。


 …わけもなく……


「うるっせぇよ! このバカザムライ! 大将がやめろって言ってんだ! 言うこと聞け!」

 プラズマは涙流華の背を飛び蹴りした。


「プラズマ、貴様っ! 誰が大将だ!」

 涙流華は鬼の形相で振り返る。


「貴様のような甘ちゃんに何がわかる!!」


「俺はただ、こんな奴らのためにお前がこいつらの命背負うなって言ってんだ!」


「わ、分かったような口を…!」

 涙流華がプラズマの胸倉を掴み上げると、プラズマも彼女の胸倉を掴み返した。

「何をそんなに冷酷に振る舞ってんのか知らねぇけどな、一人で背負い込むなよ! 全部一人で解決しようとしやがって! 俺もバリスもラルトもいるだろ! 辛いならもっと頼れよ!」


 涙流華は眉間に皺を寄せ、顔を伏せた。

「うるさい……」


「あん!? なんだ分かってんのか!? この冷酷ごっこザムライ!」


「うるさいわっ!! それに貴様……! 


「“れでぃ”の胸元を掴むな!!」

 彼女は右手を離すと、体を右に少し捻りそこから左回転で中段突き…ボディアッパーを繰り出した。

 怒りの乗った強烈な打撃にプラズマはダウンする。


 怒りで拳を握る涙流華。背後から聞こえる声でふと我に戻る。

「き、君たち……ありがとう……」


 アフロの巨漢、レモン・ポンポンが少女を守るように抱きしめていた。


「……あぁ! お前らは隠れとけよ!」

 涙流華はプラズマに気づかれないように、斬り落とした男の切断面を凍らせると、プラズマに手を差し伸べる。

「ふんっ、早く行くぞプラズマ。モタモタするな」

 涙流華の手を取り起き上がったプラズマは彼女とともにバリス達の元へと向かった。



 To be continued.....

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