ジャングルの独裁星!?
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【登場人物】
▼何でも屋
[サンダー・パーマー=ウラズマリー]
金髪の活発な青年。電撃系の能力を持つ。
サンダー・P・ウラズマリーから「プラズマ」というあだ名で呼ばれる。
遺伝子能力養成学校高等部を卒業し、輸送船に忍び込んで宇宙へと旅立った。
[バリス・スピア]
元軍医で、毒の能力を持つ医者。
薄紫で、天を衝くようなツンツン頭。目つきが死ぬほど悪い。
どんな病でも直す幻の植物を探すため、医星を出てプラズマと旅をすることになる。
[水王 涙流華]
元名家・水王家の侍で、水の遺伝子能力者。
プラズマ達に妹を救われた一件で、自分に足りないものを探すため、水王家当主から世界を回ることを命じられる。
[ラルト・ローズ]
白色の長髪で、いつもタバコをふかしている政府軍中佐。
口が悪く、目つきももれなく悪い炎の遺伝子能力者。
政府軍内の裏切りにより、軍を退官してプラズマ達と旅に出ることを決心する。
▼政府軍
[ブラスト・オール]
政府軍大元帥。政府軍のトップ。
[ラバブル・ラバーズ]
政府軍元帥。政府軍のナンバー2。
▼その他
[セリナ]
プラズマの幼馴染の女の子。
勤勉で真面目な性格。氷の能力を操る。
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【お知らせ】
眠い。
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~森星・宇宙港の外~
「やっぱ暑いな~、森星は」
ラルトが手の甲で額の汗を拭いながら上着を脱ぐ。
カンカン照りに、蒸し暑いじめじめとした空気。熱帯気候のこの星は年中嫌な汗が滲む。
皆半袖の中、一人だけスーツのジャケットにカッターシャツを着ていたラルト。それを見たバリスがそのことを指摘する。
「てかお前なんで軍辞めたのにスーツ着てんだ……見てるだけで熱いわ…」
「スーツ着てないと落ち着かねぇんだよ……あぁ~あっつ……」
「この程度で暑いなど、貴様は修行が足らんのだ」
汗で髪を頬やデコに張り付かせた涙流華がラルトに言う。
ラルトは涙流華に対して“けっ”と悪態をつくと、そのまま続けた。
「初めて森星に来たら星王に謁見しなきゃならねぇんだ」
「えっけん?」
プラズマが首をかしげる。
「星王に挨拶しに行くってこった。だからまず王宮へ向かうぞ」
ラルトはみんなを連れ王宮行きの国内線に向かう。
「ラルトは来たことあるのか?」
プラズマが汗を拭きながら問いかける。
「少佐のときに任務で来た。星王候補の護衛でな。そのとき護衛した候補は負けちまったが、政府寄りだったから、政府軍としてはサポートしたかったわけだ」
ラルトは続ける。
「今もまだそのときの相手が星王じゃねえかな。ま~あ乱暴でな。俺たちもよく影からあっちの陣営に攻撃されたさ」
「なんだそりゃ! そんなやつに挨拶しに行くのかよ!」
プラズマは怒った様子で答える。
「武闘派で過激派。政府寄りや異星寄りのやつは片っ端から片付けてるって噂のある星王だな」
バリスが補足する。
「王宮ではまじで静かにしとけよ、プラズマ、涙流華」
ラルトはトラブルメーカー2人に釘を刺すが、涙流華は納得いかない様子でつぶやいている。
「なぜ私がこのバカと同じ扱い……!」
~王宮・受付前待機室~
申請には星間パスポートと書類1枚だけで簡素なものだった。手続きを済ませたプラズマたちは謁見まで待機室で待機する。
「いいかお前ら、星王の前に言ったら跪くんだぞ?」
バリスの忠告に対してプラズマからも涙流華からも返事はない。
「特にルルカ。お前だ!」
「侍が他国に頭を下げろというのか?」
「軽くでいいんだよ! お前も水王家次期当主なら国際的礼儀くらい身につけろ!!」
バリスの至極真っ当な指摘に、涙流華は激怒した。
「分かっておるわ!」
ラルトはすでに謁見したことがあるため、受付で待っていた。ラルトは不安な面持ちでプラズマ達の謁見が平穏に終わることを祈っていた。
「あいつら、本当に大丈夫か…? 涙流華がやらかすに1票だな…」
~王宮・謁見の間~
「次の者たち入れ!」
王宮の者に案内され、プラズマ、バリス、涙流華は王座へとつながる道に足を踏み入れる。
長く奥まで続く一本道。
その傍ら屈強な戦士達横一列に向かい合って並んでおり、皆大剣を構えている。
その道の先には黄金色のたてがみを生やした、上半身裸の大男が立っていた。
プラズマ達はその大男の前で立ち止まった。
するとその大男は不遜な態度で玉座に座ったまま、話し始めた。
「星王のドルニク・バリスタだ。よくぞ我が星に参られた。大いに楽しんでいってくれ」
穏やかな表情ではあるが、声は非常に低く威圧感があった。その佇まいにバリスは“流石は星王だ”と納得していた。
しかし、一瞬にして星王は表情が冷たくなる。
「ただ無粋なことをすればすぐに叩き潰す。よいな?」
先ほどの挨拶の時とは比べ物にならないほど冷酷で、これでもかというほど殺気を放っている。
通常の謁見者であれば、ここで星王の力を思い知らされるのだが……
そうはいかないのが、この何でも屋だった。
「叩き潰せるのであればな」
涙流華は“やれるものならやってみろ”と言わんばかりに笑みを浮かべている。
すかさずバリスが涙流華の後頭部を叩く。
「バリス貴様何をするっ!」
「こっちのセリフだ!」
その傍らでプラズマは星王に軽いノリで話しかけている。
「おっさんのそのたてがみって地毛?」
バリスはプラズマの後頭部も叩いた。
「すいません……はは…」
バリスはプラズマと涙流華の後頭部を押さえて頭を下げさせた。
そして自身も頭を下げる。プラズマは訳も分からず、バリスにされるがままだったが、涙流華はバリスの手を掴んで払いのけようとしていた。涙流華の後頭部では、彼女とバリスで頭を下げる、上げる攻防戦が繰り広げられていた。
その様子を冷たい視線で見下ろしていた星王のドルニク・バリスタ。
「まぁ良い、行け」
頭を下げたことに納得したのか、鬱陶しそうに手で“しっし”と退室を促した。
謁見後、プラズマと涙流華は、受付でライブ映像を見ていたラルトと、その場にいたバリスからこっぴどく叱られることとなった。
~王宮前広場~
王宮をすぐ出たところに位置する広場で一行は一度立ち止まる。
「ルルカの父ちゃんが言ってた宇宙亀買いに行くか」
宇宙亀とは遺伝子操作を施した巨大な亀で、甲羅部分に住居を構える船のようなものだ。
生物の遺伝子操作には批判もあったが、宇宙亀はその利便性から動物愛護者や倫理観を唱える者からも黙認されているのが現状だった。
プラズマから宇宙亀購入を聞いていたラルトが地図を開いて目的地を探していると、プラズマと涙流華が露天に引き寄せられていく。
「見ろルルカ! 変な形の果物だ!」
プラズマと涙流華は初めて見る果物を前にはしゃぎまくっていた。
「お、旅行者とは珍しい! これ食べてきな!!」
店員から差し出された果物を涙流華が奪うように手に取ると、すぐさま口へと運んだ。
「!!」
涙流華は目を見開いて満足気な笑顔を浮かべている。
「こんな果物を食べたのは初めてだ! どこか水っぽくて甘すぎずジャキジャキする歯ごたえも良い!」
涙流華は興奮気味にプラズマ相手に下手くそなグルメレポートを披露している。
「おい! お前ら行くぞ! あれに乗って一時間だ」
ラルトは広場の端に止まっている何頭もの象を指差す。
「ん? あれなんだ?」
ラルトが指さした象の近くには、のぼりを掲げた集団が何やら大声で叫んでいた。
『星王の暴力的、独裁的政治をとめろーー!』
『星王の虐殺をとめろーー!』
『星王の排他的政策をとめろーー!』
『星王の他民族排除を止めろーー!』
近づいていくと、のぼりには『打倒バリスタ政権』と仰々しく書かれていた。声を上げる集団は星王に反対するデモ集団だった。
虐殺、独裁という言葉にプラズマは驚いている。
「あの星王ってやっぱすげぇやばい奴だったのか?」
「ラルトが言っていたように、過激派なのだろう? それに加えてあの不遜な態度。別にそこまでの驚きもないが」
涙流華は謁見での星王の態度が気に入らなかったのか、かなりイラついている様子だった。
デモを傍目にプラズマ達はその横にある象を使用するため、受付を進めていく。
受付を終えると、金を支払い象に乗った。
宇宙亀の販売所に向かうため、象に揺られ約30分。申し訳程度に開かれたジャングルの中の道。舗装もされておらず、道の脇にはところどころ伐採した切り株が残っていた。
プラズマとバリス、涙流華とラルトに分かれて象に乗り、彼らを森星の案内人が先導する。プラズマ達の後ろの象に乗っていた涙流華とラルトはこの30分ずっと言い合いをしている様だった。
プラズマが象の上から見える景色を見て感想をこぼす。
「にしても緑ばっかりだなぁ~」
「この緑のおかげでこの星は木材資源が豊富だからな」
バリスが屋台で買った果物を頬張りながら答える。
さらに約10分象に揺られたところで、前方に集落が見えてくる。
集落の手前にある木製の鳥居の前で一行は象から降りた。
「着いた~疲れた~」
プラズマは大きく伸びをすると、集落へと入っていく。
集落は木製の簡素な家が建っており、ちらほらと村人が歩いている。
皆、薄い布でできた服や草を使用した履物を着用しており、自然と共存していた。
宇宙亀の購入で異星人が訪れるためか、そこまで注目は集めなかった。
「あそこだ。異星人にも良心的な値段で売ってくれる店らしい」
ラルトは腕をまくり、村の奥に建つ比較的大きな木造の建物を指さした。
「すいませーん、宇宙亀売って欲しいんですけど」
ラルトは空っぽの店に入り店員を呼ぶ。
すると立派なたてがみを生やした初老の大男がドスドスと店頭へ出てきた。
「お、客なんてめずらしい」
「ここの評判はよかったはずでは?」
ラルトが受付カウンター前にある椅子に腰をかける。
初老の男はラルトに古いコップに人数分のお茶を汲むとカウンターに置いていった。
「うちのせがれが星王になってからは客がぐんと減ってね」
「うちの……せがれ……?」
「てことは、ここ星王の実家!?」
プラズマは大声を上げる。
「あんたは異星人にも普通に対応してくれるのに、なんで星王は異星嫌いなんだ? すごいデモやってたぞ?」
そう言ってバリスはコップを手に取ると、確かめるように茶の匂いを嗅いだ。
「あいつも昔は政府や異星に寛容だったんだ」
「あいつが星王選に出た時、政府寄りの候補者と対立してな」
ラルトは少佐時代に護衛していた候補者と戦っていたバリスタを思い出していた。
「色々あってあいつも政府や異星に対する考え方が変わったんだ」
初老の男はコホンと咳払いをして自己紹介をする。
「それはそうと、挨拶が遅れましたな」
「儂はザルダム・バリスタ。ようこそ森星へ」
To be continued.....
【EXTRA STORY】
~17年前・央星~
「っぺぇっっっっ!!」
「なんだこれ!!!? すっぺ、まっず、変な味する!」
「ジア家からいただいたドライフルーツの一種だ」
「はは、サンザシの味はまだ早かったかな?」
「じゃあそろそろおじいちゃん達はお仕事の話をしてくるから、他のドライフルーツでもつまんでおきなさい」
「いや、こんなまずいのもういらない」
▽▽▽▽▽
「あっ、いた!ここにいたの!?」
「お、ちょうどいいところに。これやるよ」
「これなに?」
「サンザシって美味しいお菓子だよ。特別にルルカにあげる」
「あ……ありがとう!! だいじにたべるね!!」
「なんならこれ全部持ってっていいぞ」
「ふくろなんこもあるけど、ぜんぶいいの?」
「あぁ、当たり前だろ。お前は特別だからな」
「とくべつ…か。ありがとう!」
「おいしいおかしぜんぶくれるなんて、ラルトくんやさしいね」
「お、おう」
「で、どうだ?」
「んん……うん……お、おいしいよ……」
「無理しなくていいよ」
「いや、おい…しいから……」
To be continued to Next EXTRA STORY.....?




