想定外の医療の星
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【登場人物】
[サンダー・パーマー=ウラズマリー]
金髪の活発な青年。電撃の能力を持つ。
サンダー・P・ウラズマリーから「プラズマ」というあだ名で呼ばれる。
遺伝子能力養成学校高等部を卒業し、輸送船に忍び込んで宇宙へと旅立った。
[セリナ]
プラズマの幼馴染の女の子。
勤勉で真面目な性格。氷の能力を操る。
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~輸送船~
―まもなく医星です―
―大気圏に突入します――
アナウンスが流れ、プラズマは窓の外から景色を眺めた。
だんだんと見慣れたような風景が近づいてくる。
出発してから早3日。
ずっと真っ暗だったせいか、久々の景色にプラズマはテンションが上がりまくっていた。
「これが他の星かぁー!ルーノの言ってた源星じゃないけど、まぁいっか!」
窓から見える摩天楼にプラズマはワクワクで胸を躍らせている。
案内のとおり輸送船は段々と減速しながら、高度を下げていった。
「すげぇ!!これから俺の旅が始まるんだ……!!」
プラズマが外の景気に釘付けになっていると、輸送船が宇宙港に着陸して、少しの揺れと共に停止する。
プラズマが降りる準備を始めようとすると、機体は再度前進を始めた。
「まだ動くのか?」
機体のエンジン音が徐々に大きくなったと思うと、再度離陸を始める。
「あれ?なんでまた飛ぶんだ?」
プラズマが疑問に思っていると、機体が轟音とともに大きく揺れ、重力が体にのしかかる。
「な……!落ち……!?」
窓の外を見ると森がどんどんと近づいてくるのが目に入った。
墜落する輸送船を見守るように、黒いフードをかぶった一つの人影が森の中へと消えていく。
▽▽▽
▽▽
▽
目を覚ましたプラズマの目の前に広がるのは真っ白い壁と、そこに埋め込まれた電灯だった。
天井だ。
プラズマはベットの中で横たわっていた。
プラズマは痛む体をゆっくりと起こす。
「ここ……は……?」
「よかった~、あなた林に倒れてたんだよ」
視界の片隅に入ったのは、丸椅子に座る黒髪の若い女性だった。
プラズマは記憶を巡らせる。
「林……?そういえば輸送船が……」
『……のニュースです。中心街区の山中に墜落した輸送船の事故から11日が経ちました』
『警察によりますと、輸送船には巨大な氷塊が突き刺さっていたことから何者かの……』
「これ……11日経って……?」
プラズマはふと聞こえてきたニュースに耳を疑った。
何者かによる輸送船の墜落。
ニュースで流れる映像を見る限り、命を落としていてもおかしくない程の大事故だった。
「ニュースのとおりよ。船が墜落したの。いや墜落させられた、かな?」
「君は運が良かった。リネン類の輸送船に乗ってたおかげで墜落の衝撃がかなり軽減されたみたい」
ホログラムのニュースに目を向ける女性にプラズマは尋ねた。
「あんたは……?」
「私はこの診療所の医者、ヴィスタ・ドーンズよ」
「医者か……助けてくれたのはありがたいけど、俺金持ってないんだけど……」
「お金なんていらないよ!傷が癒えるまでここにいていいから!」
彼女の柔らかく温かい笑みがプラズマを安心させた……
時だった。
「おいおい、またか?」
病室の端の方から鋭い男の声が響いた。
プラズマの視界には入っていないが、遠くから聞こえるスリッパで床を小刻みに踏みつける音から、苛ついているのが窺える。
「毎度毎度お前が野良犬拾ってくるから、全然儲からねぇじゃねぇか!」
「特にこいつなんて一日一食飯食ったかと思えば、すぐに死んだように眠入りやがって」
「食っちゃ寝を10日繰り返して、後で金払えよな」
プラズマは妙に納得したような表情を浮かべている。
「あれって夢じゃなかったのか」
すると、ヴィスタは丸椅子に座ったまま振り返って彼を諫めた。
「こら!バリス!医者は金儲けのためじゃないの!」
そこまで聞いたバリスと呼ばれる男は、ヴィスタとシンクロするように言葉を発した。
「「命を救うための存在なの!」」
「だろ?」
「金がなきゃ自分の命すら救えねぇぞ。ただでさえここには2人しか医者いないんだからよ」
ヴィスタはハァっとため息をつくと、プラズマに力ない笑顔を向けた。
「ごめんね、お金のことは気にしなくていいから」
「あんた達2人しかいないのか?」
ヴィスタの視線は天を仰ぐ。
「ま、まぁ……少数精鋭と言いますか……」
「もっと医者雇えばいいじゃん」
その言葉にヴィスタは再度深いため息をつき、下唇を噛み締めた。
「この星は医療の星。銀河で一番医療が発達してる星なんだけど……」
「今この星には3つの医療機関しかなくて……」
「一つが神立総合病院、もう一つが研星会病院」
「そして……うちの『ヴィスタ診療所』の3つ。」
「3つ……!?」
医療の星なのにも関わらずたった3つしか医療機関がないことは、プラズマでも分かるほどの異常さだった。
「神立と研星は提携してるから実質2つ……この星の医者の99.9%以上がそのどちらか」
「てことは……」
「そう。その0.1%以下のはみ出し者が私とバリスってこと」
「なんであんたらだけここで病……」
プラズマがヴィスタに尋ねようとした時だった。
『オラァ!!出てこい!!』
『今日こそ話つけようや!!』
外からいかにもチンピラが叫んでいるような怒号が聞こえてくる。
「またか……」
紫色で天をつくような髪をした目つきの悪い白衣を着た男――バリスがプラズマの前に姿を現したかと思うと、そのまま診療所の入り口へ、パタパタとサンダルの音を立てて気だるそうに歩いていく。
「なんなんだ?」
突然の怒声にプラズマは驚いていた。
「ちょっと……ね。あなたは気にしなくていいから、ここで寝てて」
ヴィスタはそう言い聞かせるとバリスの後を追った。
「ちょっとバリス!乱暴はダ…………」
バタンっ
「あいつら大丈夫なのか……?」
To be continued.....
【EXTRA STORY】
~輸送船墜落現場~
「はい、約15m×約20mの氷塊と言われており、医星警察は現在も捜査を続けています」
『わかりました。ありがとうございました』
「さらに警察の調べによりま、あっ、ありがとうござ…」
『スタジオに戻します。ありがとうございました~』
「はい、オッケーで~す」
「はぁ……」
「惑星間は電波も安定しないし、よくあることだから……気にしない気にしない!」
「はい……」
To be continued to next EXTRA STORY.....?




