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何が書けるんだろうシリーズ

短編 皿

作者: 間開

特にありません。

 当時は、「自由航行型は時代遅れ」という風潮が広がっていた。

 無論、その意見も合っているし否定はしない。座標固定型のほうが安定性が高く、他者からの視認も難しいからだ。しかし、そこには重要な問題が隠されている。

 

 そう、見てもらえないのだ。

 

 どんなに優れたフォルムをしていようとも、その姿を写真やビデオに収めて貰えなければ外見なんて意味が無くなる。現在の自家用船を見たまえ、どれもこれも同じような外見で、認識タグを取っ払えばどれが自分のものかも分からないだろう。


 

 話を変えよう。諸君らの中にアダムスキーという名前に聞き覚えのあるものは、いるようだな。

 そこの君。そう、最前列の。最前列には君しか居ない。説明してみてくれ。

 

 そうだな。試作機の中でも問題なく飛べるようになった頃のもの、それらに付けられた名前でもあり、名付け親でもある。

 

 新しい物に名前を付けたくなるのは分かるが、自分の名前を付けてしまうのはいかがなものか。しかも自分の所有物ではないものに、だ。

 

 うむ、もう座っていいぞ。自由航行型……彼らが言う所のジグザグ、円盤、ほわんほわんというイメージの大半は、このアダムスキー型と呼ばれた物が作り出したと言っても過言ではない。音に関しては彼らが創作した物に何かしら付ける必要があったのだろう。鳥の鳴き声がピーピーと聞こえたとしても、実際に鳥たちはピーピー鳴いている訳ではない。この話は記録機に入れるまでも無いぞ。


 次第にアダムスキー型、初期シリーズの一部だな、これの目撃例が減っていく。彼らの言葉で言う所のUFOのイメージを固定させないため、とも言われている。徐々に流線型の物を作り始め、球体型や彼ら自身の姿に似せたものも飛ばすようになっていった。シリーズが代を重ねる毎に彼らの映像技術も進歩し、いわゆるフェイクというものが流行り始めた。

 

 内部構造を想像してみると分かりやすいが、噴出孔が複数あったり放射版が上下逆さまに付いているなど笑ってしまうようなものが多かった。当時の参考資料は後で見てみると良い。夕飯後のまったりした時間にポップコーンを用意してからだぞ。用意出来ればの話だが。

 

 脱線したが、彼らはロマンを捨てきれていなかったのだ。外から来たもの、知的地球外生命体の存在を。 しかし、ここで悲劇が起こる。

 

 何が起きたか説明出来る者……よし、じゃあ君にしよう。

 

 

 そうだ、正解だ。座ってくれ。

 異星人を名乗る地球人が現れ始めてしまったことにより、露出を控えるよう通達が下る。これが旧型の生産に大幅な歯止めをかけてしまう。

 より安価に作れる現行機の方が、手っ取り早く調査できる。不規則に飛びながら加速する必要も無いし、短距離ワープを繰り返して大気圏外まで抜ける事もない。そのような要因から、現在では博物館以外では旧型を見ることは出来ないのだ。

 

 そして、ロマンを失わない者達のための娯楽作品として幾つか作らせた物がある。これは君たちの中にもファンがいるのではないかね。そう、わざわざ叫ばなくても聞こえる。そのドラマだ。不思議な物の中に潜ませる事により誤魔化しているが、恐らくは気付く者もいないだろう。あのBGMが実は――――時間切れのようだな。


 よし、今日はここまでにしておこう。証拠映像については各自見てレポートを提出するように。優秀な者には点数と……例の打合(ディスクロージャープロジェクト)せへの参加権を与える。以上だ。

全部喋らせてみたらどうなるかを、試してみたかった。

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