あらすじ
時刻は朝の8時である。
いつもは7時30分には起きているが、昨日の飲み会の疲れがあるせいか少し寝坊してしまった。
ぼんやりとした頭のままパソコンに向かい、今日の株の気配値を見る。
気配値とは、取引が開始される前の株を買いたい人と、売りたい人の需要と供給が一致した値段である。
日本株の取引は、9時から始まるので、気配値はその日の開始の値段のある程度の参考になる。
私、雨宮ヒスイは現在28歳となり、大学院の修士課程を卒業して、はや4年が経過していた。
中学時代は学年トップの成績であったし、高校時代も県内一番の進学校でそれなりの成績を修めていた。
大学も旧帝大を卒業し、そのまま大学院まで進学した。
大学院卒業後、一度は日経平均にも採用されている食品関連の大企業に就職したものの2年も立たないうちに会社を辞めてしまった。
給料はそこそこ良かったが、上司と折り合いがつかなかったのと、このままサラリーマンとして平凡な人生を送るのがいかがなものかと考えたからである。
ちなみに昨日の飲み会は、大学、大学院時代の友人との飲み会であった。
友人達は皆、現在も大手企業に勤めている。
インサイダー情報でも聞けたらと思ったが、聞いたところでインサイダー取引に手を染める気はないので、意味のないことである。
さて本日の取引を始めるか。