それはありふれた一日のはじまり
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街はずれの古城、この前まで窓という窓のカーテンが昼間は締め切られ夜は開け放たれたそこに流れる風の不気味な音とその主の恐ろしさから近寄ってはいけないと街で言い伝えられてきたそこでカーテンと窓を開け気持ちよさそうに太陽を浴びながら男が呟く
「あー、今日も太陽はあったかいなー…この気持ちのいい暖かさは何よりも尊い…」
うんうんと頷きながら満足そうにしているその背中に声がかけられる。
「ご主人様ー!ご飯が出来ましたよ?」
「いややっぱりアカメの暖かさの方が尊いわ」
振り返り自分の腹くらいまでしか身長のない黒髪の片目に眼帯をつけた赤い目の少女を男が抱きしめる。
「あー、アカメはあったかいなー小さいなー可愛いなー」
そのまま頭を優しく撫でる、その優しい手つきにアカメと呼ばれたその名の通り赤い目をした少女が気持ちよさそうに目を細める。
「ご主人様は少し冷たいですけど…それでもあったかくて好きです…って!朝ごはんが冷めちゃいますよ!」
「ああ!行こう!」
そう言いながらも男は少女を撫でたままである。
「言ってる事とやってる事が違いますよ、せっかく作ったんですから…温かいうちに食べて欲しいです…」
「ごめん!すぐに行こう!」
今度は言葉通り立ち上がり歩きだした男の名前はフリード・アスタロト・フォン・アルカード。
今は人魔共和国と呼ばれ元勇者が王として治める国でありかつては魔王が治め魔界と呼ばれたこの地にてアスタロト領と呼ばれる領地を変わらず治める吸血鬼である、その魔術に対する造詣の深さと純血の吸血鬼特有の銀髪に血のように赤い目、そして唯一太陽を克服した吸血鬼であることから敵味方問わず畏怖と畏敬の象徴として扱われた彼は…
ロリコンであり、シスコンであった。
「アカメ、何度も言ってるけどご飯は一緒に食べよう」
「ですが…仕える主と共にテーブルにつくというのは…」
「その主人からの命令だ、一緒に食べよう。それからおにいちゃんと呼んでほしい」
真顔で阿呆な要求をするがいつも通りの事なのでアカメも慣れたものだ。
「食事はご一緒させてもらいます、しかし仕える主人の事をお兄ちゃんとは…呼べないです…」
顔を真っ赤にして俯くアカメに満足そうに頷くフリードの耳にタタタタッと足音が聞こえる。
「いぇーい!おっはよーお兄ちゃん!今日も元気にやっていこー!」
席に座るフリードの膝の上に飛び乗って犬歯がよく見えるにっと輝く笑顔を見せる銀髪金眼に尻尾に耳のある…銀狼の少女に加えて足音はもう一つ
「ダメだよーコルル、お兄さんがこまっちゃうよー」
寝起きなのかいつもツインテールにしてある金髪をところどころ暴れさせながらメイド服のボタンを留めきれないままゆっくり走ってくるエルフの少女、アリア。
「リデルもアリアもしっかりしてよ〜」
「大丈夫大丈夫、ね?お兄ちゃん」
可愛らしいコルルの問いかけに対してフリードは緩みきった笑顔をうかべながら
「もちろん!可愛いから問題なし!」
そう言って先ほどアカメにしたように今度は後ろからだが抱きしめて撫でる、コルルが振る尻尾がペシペシとフリードの顎を叩くがそれさえも愛おしいとでもいう風な表情だ。
「もー、今日は国王様のところへ行くんですからもう少ししっかりしてくださいー!」
ハッハッハと笑うフリードは心の底から嬉しいとおもう。この環境が、彼女達が笑える今が。
人の国であろうが魔物の国であろうがはたまたそれが共存する国であろうが資源の問題故に存在してしまう奴隷や捨て子。
これはそんな辛い生活の中をたまたまロリコンに救われた少女達とフリードの太陽よりも暖かなのんびりとした日常の話。